Monday, March 19, 2007

日本の技術、欧米中の技術

日本企業が技術力で優位に立っている。その優位を確立するやり方が、こつこつと一歩一歩確実に、しかし地道に進むことで成り立っている。論理というより感覚に近い神経を研ぎ澄ましているのが、日本の技術力の根底にある。論理性ではインドや欧米に勝てない。そして10年、20年のオーダーで技術を磨き、その技術を使った部品や製品にしている。このため、古い職人的な企業が生き延びる。
これに対して、欧米中での企業は論理で新しいサービスや物を作り、それを核に急速に企業を大きくしている。パラダイムシフト的な全く新しい考えが出てくることが多い。しかし、その後、それが改善され、製品が良くなって行くかというと違い、また新しい概念のサービスや物が違う企業から出てきて、前の物やサービスを駆逐するという展開になる。コンセプト競争になる。
日本企業は概して大きな企業が新しいサービスを構築するが、欧米では新興企業が新しいサービスを構築する。日本でも欧米のようなベンチャー企業の隆盛を望んだが、それはどうも無理であるようだ。ソフトバンクの孫さん、楽天の三木谷さんなど、成功と呼べる物は数えるほどしかない。
大企業から分社した「ルネサンス・テクノロジ」「エルピーダ・メモリ」の方が話題性がある。
このように、どうも日本人の気質はこつこつと技術を改良するのに適しているようである。どうもこれは昔からのような気がする。
事例1:中国の景徳鎮で陶器が出来た。この景徳鎮が元軍に破壊された時に、その陶工が日本に亡命した所から、日本にも陶芸ができたが、陶工の多くが朝鮮に逃げたために、その朝鮮に攻め入った豊臣秀吉軍に連れられて日本に来た陶芸家が日本で有田焼(伊万里焼)を作り、欧州に輸出した。陶工は日本では大事にされたので朝鮮時代より日本の方が居心地がいいので、仕事に専念でき、柿右衛門の赤を作り出すことになる。日本は技術がなかったことで、技術を大切にするトップがいた。
事例2:イトーヨーカ堂がコンビニエンスストアーを日本に入れるためにセブンイレブンと交渉して、販売権とそのマニュアルを手に入れたが、日本では使い物にならなくて、1から作ったという。そして、米国のセブンイレブンが赤字で倒産寸前になった時に、イトーヨーカ堂は日本のビジネスを守るために、米国のセブンイレブンを買うことになる。アイデアは米国生まれで、その店舗運営は日本ということになっている。
この事例だけではなく、液晶テレビ、ビデオも発見は米国ですが、それを製品化して、リーズナブルな価格にする地道な努力は日本がしている。一度製品化して、キーデバイスができると、それを日本から買って、台湾、韓国、中国は同じ物を低価格で作り始める。
部品開発には、地道な努力が長い期間必要なので、どうしても歴史のある体力を持った、しかし、目立たない会社が部品産業に乗り出してくる。ベンチャーではできない。アイデアの発見は米国であるので、大手企業がそのアイデアを日本に持ち帰るが、そのアイデアを落とし込む部品レベルになると、技術力を持った企業しかできない。
このため、米国は起業家が新しいアイデアを持って、そのビジネスに投資してくれる投資家が必要であるが、日本は企業が企業内で投資して、新しい部品を作っている。このように、日本と米国の投資に対する考え方が違っている原因にもなっているようだ。
日本は古いアイデアにしがみ付いていると、欧米中から新しいアイデアを持ち出されて、失敗することになる場合がある。これは気をつける必要はあるが、日本企業も変わり身が早くなっている。
価値観競争の行方は、どうなりますか??

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