Monday, March 19, 2007

石油の変調

ガワール油田は今から約60年くらい前に発見されたもので、今でも世界最大の一日当たり450万バーレルの生産量を誇っている。ガワール油田だけで、世界最大の産油国サウジアラビアの石油生産の6割をも生産している突出した大油田だ。この産油量が減少している。サウジの他の油田をフル動員しても、このガワール油田の減産分を取り戻していない。
「オイルピーク」論があるが、サウジではとうとうオイルの生産ピークから減産になったということである。地球物理学からサウジのペルシャ湾からウラル山脈にいたる地域が産油地域であるが、ガワール油田に匹敵する油田はない。この地域以外でもこのような大きな油田は見つかっていない。
このため、イラク石油の生産が急務になっている。カスピ海の石油も同様である。イランの石油生産はここも減産になっているようであり、イラクとカスピ海に期待が掛けられることになる。このため、カスピ海に面した天然ガス産出国のトルクメニスタンのニヤゾフ前大統領の葬儀には世界からの弔問客が来ていたようだ。
イラク石油増産のためにもイラク戦争を早期に終わらせる必要が出ている。このため、米国はイラン、シリアと同席して、イラク平和会議を開催したのだ。石油生産を順調に再開するのはどうしても治安の安定が不可欠である。
もう1つ、スリーマイル島原発事故で建設を中止していた米国が30年ぶりで原子力発電所の建設を再開する。しかし、現時点で原子力発電所の設備を製造できるのは、日本とフランスのアルパしかない。
そして、日本の日立はGEと、東芝はWHと協力して市場を開拓しているが、30年前の方式の原子力発電所である。三菱は独自開発の新原子力発電所設備を開発した。これを持って世界市場に登場している。これも石油の枯渇が見えてきて、米国も三菱の原発を準備し始めている。
米国の発電所は石炭火力発電所が総電力量の60%にも達している。これは中西部にある露天堀の炭田から安価な石炭が大量に産出するからであるが、とうとう米国でも温暖化ガス問題がクローズアップしてきて、石炭火力発電所を新設できなくなっている。
世界最大の石炭産出国はお隣、中国ですがここでも原子力発電所を作り始めている。中国は世界最大の消費国でもあり、石炭不足を起こす可能性があるためだ。
日本は石油の90%以上を中東のペルシャ湾の石油に依存しているが、とうとうその見直しを迫られている。サウジのガワール油田が枯渇するということはその周辺油田の寿命もそう遠くない。すると、どうしてもロシアからの石油輸入を視野に入れた対応が必要になってくると思うがどうでしょうね??

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