Tuesday, January 31, 2006

★アメリカを空洞化させた国際資本

 アメリカではかなり前から、中産階級が少しずつ没落して貧困層になっていく傾向が続いており、ここ数年、その動きが顕著になっている。
 第二次大戦後のアメリカ経済の成長を、第一次石油ショックが起きた1973年を境に前後に分けると、1945年から73年までの平均成長が4・0%だったのに対し、73年から2002年までの平均成長は2・7%である。アメリカは70年代に経済が成熟し、成長が鈍化したことが分かるが、これを人々の所得の面から見ていくと、さらに興味深いことが分かる。
 アメリカの全国民を所得順に並べた場合、そのちょうど真ん中に来る人の年収は、1945年から73年までを平均すると年率3・1%増えていたが、73年から2002年までの平均は、年率0・2%しか伸びていない(インフレ分を補正した統計)。
▼ハイテク技術だけ維持するのは無理
 1980年代以来、米政府は市場原理を重視する自由貿易の経済政策をとり続け、世界からより良い商品が安く輸入されたため、人々の収入が増えなくても、生活の豊かさは改善される傾向があった。だが同時に、アメリカでは市場原理が重視されて国内の産業があまり保護されなかったため、米企業、特に製造業は国際競争にさらされ、人件費の安いアジアなどの企業に勝てず、いくつもの業種が衰退した。生き残った企業も、国際競争に勝つためには人件費を増やせず、その結果、一般的なアメリカ人の収入が伸びないことになった。
 1960年代まで、大手米企業、中でも製造業の社員の生活は、世界一豊かなものだった。「アメリカの豊かさ」を象徴するイメージとして、今でも1950-60年代のレトロな商品が喚起されるのは、その時代が米国民にとって最良の時代だったからだろう。当時のアメリカは、国内で消費する商品の96%を自国内で作っていた。
 ところが今や、アメリカは商品の多くを輸入に頼っている。繊維製品の3分の2は輸入品だし、アメリカの製造業はテレビも冷蔵庫も自国では作っておらず、日本や韓国などのメーカーに頼っている。自動車産業も、ここ数年の原油高騰でガソリンの値上がりが続き、人々は燃費の良い自動車を求めているのに、GMとフォードは効率の良いエンジンを開発してこなかったため、売り上げを日本車や韓国車に奪われ、倒産寸前である。
(米連邦議会では最近、自動車の燃費改善を義務づける法案が提出されたが、否決されている。省エネ促進の試みは以前から何回も繰り返され、そのたびに頓挫している。アメリカの上層部には、大量の石油を輸入せざるを得ない経済体質を維持しようとする勢力がいるように感じられるが、この件に関しては改めて考察する)
 米製造業の状況について「アメリカはハイテク技術の部分だけを国内でやり、他の重要でない部分はアジア諸国に任せたのだ」と考えられないこともないが、多分それは違う。製造業の技術の多くは、製造現場での試行錯誤の中で磨かれていくものであり、アメリカに工場を持たないで、アメリカの技術を高度化していくことはできない。工業用ロボットや半導体製造装置など、製造業関係のハイテク技術の多くは日本が持っており、アメリカが持っている産業技術は防衛や薬品などごく一部の分野に限られている。
 アメリカの雇用全体に占める製造業の割合は、60年代には30%以上だったが、最近では10%以下で、2000年からの5年間で18%も雇用が縮小した。アメリカの製造業はまさに死滅しつつあり、それは貿易赤字の増加につながっている。アメリカの貿易赤字の大半は、工業製品の輸入によって生み出されており、製造業が衰退しているので貿易赤字はドル安になっても減っていない。
▼「経済のサービス化」は言い訳
 製造業は生産設備を持たねばならないので、サービス産業に比べて投資効率が悪い。アメリカでは80年代から「製造業はもう古い。経済をサービス業中心に転換すべきだ」というかけ声が強まり、金融業などが伸びた。アメリカの製造業の衰退は、経済が進化してサービス業中心になった証拠であるから悪いことではない、という考えもできそうだが、多分これも違う。日本を見ると、この20年ほどサービス業が伸びたが、製造業も衰退していない。アメリカで一時喧伝された「経済のサービス化」は、実は自国の製造業を保護しないための言い訳として発せられた観がある。
 日本の消費者が買う家電品、自動車などの商品の多くは日本企業の製品であり、日本政府はいろいろな非関税障壁を設けて国内製造業を保護している。独仏や韓国なども、同様の傾向を持っているが、国民の雇用を守るため、各国の政府が国内市場で自国のメーカーの利益を保護したがるのは当然である。
 むしろ、アメリカが戦後一貫して国内製造業を保護せず、国内消費市場を外国企業に気前良く開放し続けてきたことの方が「自滅的」であり、奇妙である。アメリカは、気前の良い市場開放の結果、現在の製造業の全滅と貿易赤字の増大を招いているからである。
 アメリカの気前の良い市場開放の恩恵を最も受けた国の一つは日本である。ソニーのトランジスタラジオから始まって、パナソニックのテレビ、トヨタの自動車など、アメリカ市場がなかったら、戦後の日本の発展はなかった。西ドイツ企業も、フォルクスワーゲンなどの対米輸出で儲けたし、80年代以降は韓国、台湾、東南アジア諸国、中国などが、この恩恵を受けて経済発展している。アメリカの市場開放の気前良さがなかったら、戦後の世界経済の発展はなかったと言っても過言ではない。アメリカは、トヨタや現代を儲けさせ、その結果、GMやフォードが潰れかけている。
 アメリカのすごいところは、この気前の良い市場開放の犠牲になったのが米国内製造業だけではなく、国内製造業が衰退した後、国民と政府に借金をさせてまで消費させ、海外から商品を買い続けている点である。住宅バブルによる消費熱のツケが、米国民に借金増としてのしかかってきているし、ブッシュ政権になってからの政府の借金(財政赤字)の急増も、国内消費の下支えのために使われている。アメリカは30年かけて、製造業を失った上に借金漬けになり、破綻しかけている。
▼日本にも「市場」の役割を負担させようとした貿易摩擦
 なぜアメリカは、国が破綻しそうになっても、外国からの輸入を続ける姿勢をとっているのか。あえて一つの理由を考えてみると、アメリカを動かしてきた人々が「自国の発展」よりも「世界の発展」を望んだからではないか、という見方ができる。
 歴代米政権の国際主義に反対して「アメリカ優先主義」を主張する言論人のパット・ブキャナンは、最近のコラムで「昔の愛国的な共和党政治家は、必要なら輸入品に高関税をかけても、アメリカの労働者に世界一の豊かな生活をさせることを最重視した。今や、こうした経済愛国主義は死滅し、自由貿易体制こそが正しいと信じ込んだ連中が多数派となり、世界経済が重視され、アメリカ経済は軽視されている。その結果、アメリカの製造業は死滅し、米政府は大赤字になっている」と書いている。
 ブキャナンは、アメリカ経済を破壊した元凶は、自由貿易や市場原理主義に対する経済専門家の間違った思い込みであると分析しているが、私は少し違う分析をしている。アメリカの最上層部にいる人々が自国より世界を重視するのは、彼らが「資本家」だからであり、1970年代以来、発展が鈍化して投資の利回りが下がったアメリカよりも、これから発展しそうなアジアなど利回りの高い海外に投資することを好んだ結果、アメリカには海外の製品を積極的に輸入する市場としての役割を担わせる政策を30年間続けてきたのではないか、というのが私の分析である。
 国際的な投資家は、世界に投資しているため、一国の経済成長ではなく、世界全体の経済成長を重視する。200年前のイギリス産業革命以来、投資の利回りが最も良い国は、製造業が発展途上の段階にあるので高度経済成長している国である。1950-80年代の日本や西欧、1970-90年代の韓国台湾や東南アジア、90年代以降の中国などがその例である。アメリカを動かしてきた人々が国際投資家であるとしたら、アメリカがこれらの国々から輸出される商品を積極的に買う市場であり続ける政策が採られたのは、投資利回りの向上のためだったと考えられる。
 アメリカを動かしてきた人々は「市場」としての役割をアメリカだけに負わせてきたわけではない。1970年代に日本と西欧が経済発展して豊かになると、日欧にも消費を拡大させて「市場」としてのアメリカの負担を軽減しようとした。この試みの一つが80-90年代の日米貿易摩擦である。
 日本では貿易摩擦は「アメリカの製品を日本に売りつける行為」と見られていたが、アメリカの製造業は80年代にはすでに衰退が始まっており、日本に対して売れるものが少ないことは、米政府にも分かっていたはずだ。貿易摩擦を通じてアメリカが実現しようとしたことは、日本をもっと他のアジア諸国などから商品を輸入する体制に変質させ、アジア諸国の経済発展の下支えをさせ、アジアへの投資効率を維持することだったと考えられる。
 日本とドイツの通貨切り上げを政治的に決めた1985年の「プラザ合意」も、日独にもっと消費させるための方策だったと見ることができる。だが、日独の消費はある程度しか増えず、アメリカが世界で群を抜いて最重要な市場である状態は変わらなかった。日独の企業は、円やマルクが切り上がっても世界に輸出できる体質を作り、輸出国としてますます強くなった。
▼冷戦終結は国際投資拡大策
 アメリカを動かす人々が「経済愛国主義」よりも「世界的な投資効率の最大化」を重視するようになったのは、第二次大戦後のことだ。そして、その変節の裏にありそうなのは、1920年代から50年代にかけて、アメリカがイギリスから覇権(世界を支配する役割)を委譲されたことである。
 この時期、衰退しつつあったイギリスは、諜報機関(英MI6、米CIA)や国際戦略立案組織(英RIIA、米CFR)など、世界運営に必要なメカニズムをアメリカに移植した。覇権のメカニズムを体得したアメリカでは、第二次大戦後、企業が多国籍化し、それとともに米中枢では「世界的な投資効率の最大化」が重視されるようになった。
 1989年の冷戦終結も、アメリカの「国際投資家」の視点で見ると、従来の常識とは違う見方ができる。1980年代までに西側先進国の高度経済発展が終わり、どこか新たな地域で高度経済成長を実現する必要が出てきた結果、世界を分断する冷戦の枠組みが邪魔になり、取り外すことにした、という見方である。
 冷戦終結に対する常識的な見方は「ソ連は冷戦をやめるつもりはなかったのだが、1980年代の長期のアフガン戦争などで疲弊し、ペレストロイカの改革が失敗して崩壊した」というものだが、よく見るとこの説明はおかしい。たとえばベルリンの壁が崩壊したのは、ソ連政府が東ドイツ政府に「壁が崩壊しても放置せよ」と命じたからであり、ソ連が冷戦を終わらせたくないと思っていたのなら、東ドイツ政府に壁の警備強化を命じたはずで、そうすれば東ドイツはあのとき崩壊していなかった。ソ連は東ドイツという国家を消滅させて西ドイツに吸収させることを意図したか、もしくは黙認していたはずだ。
 レーガンとゴルバチョフは1986年からレイキャビクなどで会談している。おそらくこの一連の米ソ接触の中で、冷戦を終結させてドイツを統合し、東欧はソ連からEU(西欧側)に渡すことを決めたのだと推測できる。ソ連は防衛負担が重いので、70年代からアメリカとの和解を望んでいたが、アメリカでは冷戦の維持を望む軍事産業の政治力が強かったため、ソ連の希望を無視していた。
 80年代に入り、世界の中で経済発展する地域を増やす必要がアメリカの側で生じたため、レーガン大統領はゴルバチョフに会談を呼びかけ、冷戦を終わらせたのだろう。冷戦が終わったあと、すぐに欧州にEUが作られて経済統合を開始し、東欧はEUの傘下で経済発展する道筋が作られた。中央アジアやインド、中国など、社会主義的な色彩の強い国々の多くが、冷戦終結後、市場原理を導入し、経済発展する準備に入っている。
(中国の資本主義化は、冷戦中の1980年代から始まったが、このきっかけとなったのは1979年の米中国交正常化であり、アメリカが中国の経済発展の引き金を引いたという点では、冷戦終結と同種の動きである)
▼途上国経済の拡大と先進国の賃金抑制
 この冷戦後の「経済グローバリゼーション」により、発展途上国の経済成長が促進され、英エコノミスト誌によると、現在すでに、世界の発展途上国(32カ国・地域)を合計すると、世界経済の半分を占める大きさにまで発展している。32カ国の経済成長の総額のうち、中国とインドが占める割合は全体の5分の1にすぎず、中南米、旧ソ連、中近東諸国の中にも、高度成長している途上国が多くある。
 途上国は、過去3年間の経済成長率が、先進国の2倍以上の6%で、今後5年間の成長予測も6%前後であるが、株価の総額はまだ世界全体の14%でしかないので、今後の株価上昇が期待されている。また途上国は、世界の外貨準備の3分の2を保有している。
(エコノミスト誌が「発展途上国」と定義する国の中には、韓国や台湾といったすでに先進国級になっている国も入っている。また、途上国の多くは輸出振興のため為替を安めに誘導しており、これを是正するため、購買力平価で計算している)
 このように冷戦後、世界の経済発展地域の拡大が実現されたが、その一方で、それまで西側労働者の競争相手ではなかった旧社会主義系諸国の労働者が、西側と同じ労働市場に入ってきたことにより、世界の労働市場の人口は2倍に増え、欧米や日本の労働賃金が上がらなくなる現象を誘発した。これは、市場開放度が高いアメリカで特に顕著になっている。
 冷戦後の世界経済の自由化は、世界各国の企業が儲けたカネの多くがアメリカに投資される状況を生んだ。アメリカでは金融市場が発展し、米国民のより多くが株式投資を拡大して株の値上がり益が得られ、この資金がアメリカの消費を拡大し、アメリカが「世界の市場」の状態を維持した。
 しかし、1998年に東南アジアから世界各地に飛び火した通貨危機が起きた後、冷戦後の経済グローバリゼーションは頓挫した。アメリカの株価もITバブル崩壊による急落後は伸び悩み、その後は住宅バブルがアメリカの消費を維持するための頼みの綱となり、最近ではこのバブルも崩壊しそうになっている。
 今後、住宅バブルの崩壊によってこのままアメリカの消費が減退したら、その後の世界はどうなるか。私が以前から指摘してきた「多極化」が進みそうだが、具体的にはどのようになるのか。そのことと、今ブッシュ政権が固執している「世界民主化」などの世界戦略とは、何か関係があるのかどうか。そのあたりのことは、現実の動きを見ながら、改めて考えて書くことにする。

Friday, January 27, 2006

東証のシステムトラブルは起こるべくして起こった

システムは「使う人が作る」のが一番効率的 ビジネスブレークスルー大学院大学のeラーニングシステム『AirCampus』は、すべて自社開発をしている。  開発の指揮を取っているのは私だ。もちろん私はプログラマーでもSEでもないので実際の構築作業をするわけではないが、技術的なことは分かるので全体の仕様や、操作性、改善要求、などをひんぱんに出す。「ここはこうしてくれ」「こういう機能を付加してくれ」「次のバージョンはこうしよう」などと。それを受けて社内のシステム部門が一気呵成に作業するというわけだ。もちろんそうした作業で手が足りないときには外部の援助も得る。かくしてAirCampusはたゆみなく進化を続けている。  何といってもAirCampusの一番のヘビーユーザーは私だ。通常の講義をし、学生とディスカッションをし、そして教材作りといった作業をAirCampus上に積み重ねてきたことで、「何を」「どうしたら」学生がやる気になるか、教育効果が上がるかも知悉している。そういう人間がシステム開発に携わることこそ一番合理的であるはずだ。
 自社開発をしているからこそ作ることのできた機能は画面のあちこちに見られるが、みなが「これ何?」て必ず聞く機能が『目からウロコ捕集器』である。これは講義中、あるいはディスカッション中に誰かが「目からウロコ」と思ったら、それをまとめて収録しておくものだ。そして2ヶ月、3ヶ月後に改めてその「目からウロコ」をまとめて見直して見る。すると学生は「俺はつい最近までこの程度のことに感心していたのか」と驚く(つまり短期間でどれだけ自分が成長したかが分かる)というわけだ。  成長の度合いが分かればそれだけモチベーションも向上するし、他の学生にとっても大きな励みになる。このような機能を外部のベンダーに丸投げして作らせていたらどうなっていたか。納期は守られず、コストは見積もりをオーバーし、それでいて機能的には満足できないものが上がってきたのではないか。もちろん、依頼者側がしっかりしていて外部ベンダーにはっきりとした仕様を書き出せる場合にはこの限りではない。しかし、その場合にはベンダーの常として開発費用の増額を要求してくる。大手ベンダーの管理職は開発費の大きさで業績評価されるので複雑な仕様や、追加仕様をすれば必ず見積もりを上げてくる。そういう仕組みになっているのだ。すべてのベンダーがそうだというつもりはないが、外部にシステムを発注することには常にこうしたリスクがつきまとう。  自社開発の良さは、そうしたことに左右されないで自由に皆で仕様を打ち合わせして、しかも、だんだん開発部隊が「こういう機能も追加しましょうか?」とか、「これはまとめて一画面にしたほうが分かりやすい」「どうせなら後からこういう形で検索できるようにした方が便利だ」などと、使用者側の立場に立ってどんどん提案するようになる。また、そういうオーナーシップの強い人を担当にすることができる。
システム構築に間接話法はご法度 というと、「ベンダーにシステム構築させることの何が悪いんだ。きちんとした要件書を作成すればいいだけの話ではないか」という反論もあることだろう。これは、私も上述のようにその通り、と思っているのだ。  しかし現在、そんな間接話法で事を進めることが本当に出来るのか、と言うのが私の疑問なのだ。現代の複雑なユーザーシステムを最初から構想してスペックを書ける人がいったい何人いるのだろうか? また、素人であるユーザーが想定どおりの利用方法をとってくれるだろうか? 全てのユーザーが異なる通信環境、ファイヤウオール、クライアント・サーバー、国籍をもってこちらのシステムにつないでくる場合、「想定外」の多くのトラブルが起こる。それを書き出してベンダーに出せる人がいたらお目にかかりたい。システムはユーザーからたたき上げられて初めて使えるものになるのだ。その都度ベンダーを呼びつけて改善させていたのでは、途方もない費用となるか、許容できない遅延となるか、その両方か、である。  私はスクエア(今はエニックスと合併してスクエアエニックスとなっている)というゲームソフト会社の社外取締役をやっていたが、あの会社の特徴は発売前に多くの子供達に“試運転”してもらい、バグを見つけてもらう制度を古くから確立していたことである。サラリーマンではなかなかバグは取れないし、どんな天才開発者でもバグは発生する。しかも、何百人という子供達があらゆるバグを取り除いてくれたとしても、発売後に時として大きなバグが見つかることがある。およそシステムというものはそういうものなのである。
国際的な視点で標準的なシステムは何かを調べよう いま世界的な傾向としては自社開発が出来なければ、その業界の世界的デファクト・スタンダードとなっているパッケージを購入し、それを使いやすいものに修正していく。シスコの有名なバーチャルシングルカンパニーを可能にしているコネクションオンラインはSAPのERPパッケージをベースにエド・コゼール情報システム担当副社長(当時)が中心となって開発したものである。もちろん外部のベンダーも使われているが、ここでのキーワードは当時社長であったジョン・チェンバーズとコゼール氏が「こういう企業を作りたい」というビジョンを掲げての二人三脚で進めた結果である。  銀行システムに関しても同じように今ではインドで開発された分散処理型のものが世界標準になりつつある。日本でも新生銀行が取り入れて話題となっているが、欧米では話題にもならない。東京三菱とUFJの合併ではシステムへの不安から統合システムの稼動が08年12月に再々延期されている。レガシーを合体させるからこうなるのだ。いっそのこと新生銀行のシステムを買ったほうがどれだけ安いのか担当者は面子を捨てて考えるべきだ。  いま証券取引所システムの世界スタンダードはスウェーデンのOMXであるといわれている。この会社はかってロンドンの証券取引所の買収に動いたことで一躍有名になったが、ユーザーが自らシステムを開発する、と言う代表例といってもいい。北欧及びバルト三国では実際の取引所6ケ所に資本参加して運営する一方で、そこで得られた知見をもとにかなり汎用性の高いパッケージを作り上げ、EU、アメリカ、オーストラリア、シンガポールなど世界中の13の取引所で実際に稼動させている。  現物取引だけでなくオプションやデリバティブなども扱える共通のプラットフォーム、スケールアップしやすい分散型のシステム、外部からの攻撃や万一の事故に対する対応能力など、世界標準になるための要素を兼ね備えている。もちろんOMXだけではなくアクセンチュアやIBMなどもこうした分野での実績を持っているが、日本の取引所には入り込めていない。一方、世界の厳しい使用環境での実績に乏しい国内のベンダーが必死に新しいシステムを構築しようとしているのだが、この状況は、銀行システムと同じく、世界標準からは程遠く、時間と経費の浪費に終るだろう。新しいシステムは、早い、安い、正確、安全、強い、などの特徴があり、レガシーの経験しかない日本の集中型・巨大システム主義とは明らかに一線を画している。

システムが不完全なら「人間系」でカバーすべき

 もう一つ考えなくてはいけないのは日本の官僚機構のもつ「無謬性神話」である。たとえば12月のみずほ証券誤発注に対する大損害の“溶け合い”である。これはシステムが不完全、という前提に立てば「人間系」で解決すべき領域の問題である。


 通常なら明らかに誤り、と分かった段階でそれまでの取引をなかったものとしてやり直す方式をとるべきだ。特に取引所が無限のリスクを抱えたままでは株式会社となった今、株を買ってくれる人はいなくなるだろう。人間が立会いをしていた頃には確認の作業をする時間も当然あった。それをそのままコンピューターの世界に持ち込み、一日の取引件数が500万件、となれば誤りの発生する確率も無視できない。人間の引き起こす誤りに関してはベンダー任せでは対応できないし、いちいち契約に基づいて損害賠償、或いは訴訟、となるのでは安心して取引も出来ない。

 東証の西室新社長は二年間かけて世界標準のシステムを構築すると言っているが、その場合の大前提は取引所の運営ルールや役割、トレーダーとの境界線の見直し、人間系の抜本的な見直し、などがなければ、システムをどんなに堅牢に作っても事故は繰り返されるだろう。

 MITの原子力工学部の名物教授で、マンハッタン計画にも参画しているトムプソン教授の言葉を思い出す。彼は私達大学院の学生に原子炉の安全に関しての講義の中で、「一番基本的なことは開発技術者としての知識を云々するよりも、当該原子炉を自分の家の裏に作る、という前提で物事を考えること」という教えであった。自分の裏庭なら、絶対にやらないこと、法律にあるから、とか、依頼主の要望だから、と言うのではなく最愛の家族の住む家の裏に建てられないようなものは設計してはいけない、という教えである。彼は実際にMITの原子炉を校舎の隣、ガソリンスタンドの裏に建設した。

バグを早めに出してどんどん修正するのが良策

 さて、話を元に戻して、努力の甲斐あって完璧な要件書が作りこめたとしよう。しかしベンダーというものは要件書を読むことはできるが、行間に存在するユーザーの意図まで読み取るとは限らない。いや、むしろ読み取ってくれない可能性の方が高い。するとユーザーは「とりあえず問題はなさそうだけれど、でも何か違う」という違和感を常に感じながらシステムを使い続けることになるのだ。

 この事件の後、与謝野財務相は東証のトップを呼んで「バックアップを作るなど工夫をしたらどうか」という注意をしている。しかし、これは報道されたところによると富士通のプログラムミスだという。そうであれば、バックアップを取っていても、同じミスがあるわけで、何の足しにもならない。こうした素人判断を一国の大臣が公的な立場で発言するというところに日本の要人のシステムに関する認識の甘さがある。銀行業界でも、官僚は(自分達の指導した)統合がいよいよ本番、と言う段階になって、恐ろしくなり、稼動を後ろにずらせ、と言い始める始末である。むしろ早くやってバグをどんどん出させて直していく、という態度でなければシステムの前進はない。誰が非難されるのか、と言う観点からしかこうした問題が考えられていない。国民も「絶対に安全を」とか「誤りは許さない」と叫ぶだけだ。そういう国はますます硬直化して、世界標準のシステムつくりから取り残されていくことになる。

 今の時代はシステムが人間に合わせる作業と、人間がシステムに合わせる作業のバランスをとるのが一番難しいときである。第一世代のコンピューターは人間の作業を置き換えていくものだった。しかし、いまのコンピューターの性能からすれば、それを熟知した人がシステムを構築し、人間をそれに合わせていく、と言うのが基本である。その上で、さらに人間系の微妙なところを反映してシステムの完成度を高めていく。

今の状態のまま東証システムの能力を上げても解決にならない 今の東証のシステム、あるいは日本の取引所のシステム、と言うものはまだ第一段階である。すなわち昔の立会い所でやっていた通りにシステムを作ろうとするので、世界で普通に使われている第二世代のシステムをそのまま持ってくることは出来ない。  国家間の利害調整が必要だったEUや新興国シンガポールや香港などのシステムがいつの間にかニューヨーク証券取引所や東京などよりも進んでしまったのは偶然ではない。ニューヨークは未だに立会い取引きを中心になっているし、日本は全部コンピューターに置き換えたが、それはあくまで立会いをコンピューターが代わりにやっている、という第一世代の段階である。  その一つの例として、東証の株取引に関しては注文を受けたと言う情報が返ってくるのに時間がかかりすぎる、と言う指摘がある。実際市場関係者の話では5秒から、遅い時には15秒くらいかかることも珍しくない、という。しかし、いまの世界標準は150ミリ秒くらいで、また最速のものは35ミリ秒、という反応速度である。このレンジになるとインターネットのルーターのスイッチ速度と同等になるので、専用回線で直接結んでいかないと性能をフルに発揮できない。この速度では考える隙がない(マバタキの時間が100ミリ秒と言われている)ためにすべての判断をコンピューターがやらなくてはならない。そこでまたシステムが一段と進歩することになる。今回のみずほ証券の誤発注では5分くらい後から一般投資家も含んで大騒ぎになっているが、世界的な投資銀行であれば瞬時に鞘取りにいける十分な時間があったことになる。実際UBSはじめ大きく儲けたところは優れたシステムとトレーダーで知られたところばかりであり、誤発注便乗儲け組みトップ10で野村證券の凋落振りを語る人もいたくらいである。
注文件数が急増した東京証券取引所ライブドア問題を機に注文件数が急増した東京証券取引所。システム処理に支障が生じかねないとの判断から、午後2時40分には売買全面停止となった。この日の取引はこれで終了し、日経平均株価の終値は前日比464円77銭安の1万5341円18銭。一時746円安と1万5000円大台割れ寸前まで下げた(日本・東京)(写真提供:時事通信社。なお同写真およびキャプションについて、時事通信の承諾なしに複製、改変、翻訳、転載、蓄積、頒布、販売、出版、放送、送信などを行うことは禁じられています)  つい先週も東証は「約定件数が400万件を越えるとシステム処理に支障が生じるため、株式の全銘柄の取引を停止する」と発表した。こうしたことによる機会損失は、ひょっとしたらあのシステムトラブルによる損害よりも大きいかもしれない。  突然2時40分に事故でもないのに取引所を閉めてしまう、ということで東証は世界の信用を大きく失った。これは(ハリケーンに因んで)カタリーナ現象ともいうべき惨事だ。逃げ遅れたら日本に投資した金は引き出せないかもしれない、ということであのニューオーリンズに残された人々を思い出すからである。ましてや西室社長がライブドアの捜査が始まったばかりの段階で、取引所からの上場廃止を示唆する発言をしている。これでは忘れかけていた長銀の突然の上場廃止とそれに引き続く一連の徳政令の悪夢を思い出す人も多いだろう。あの時は、長銀に関する全ての権利を放棄するように、という国からの紙切れ一枚でジ・エンドとなった。いくばくかでも新生銀行株に引き継がれていれば、と悔む人も多かったのではなかったか、と思うが、「主催者側の一方的な措置」にみな従わされた。そうした悪夢を蘇らせているのが、今回の一連の事故であり、事件である。  せっかく日本の景気も回復し、日本市場に対する期待も大きくなっていた時期だけに、日本版ライブドアが「エンロン事件」として世界中から注目されている今の時期にシステムや東証の上場基準などをめぐって信頼を揺るがすような政治家、財界人、取引所関係者の軽々しい発言は慎重に願いたい。また、世界の反応をある程度想定して発言してもらいたい、と思うのだ。  次期東証システムに関しては世界中のシステムのことが分かっている国際混成チームで検討すべきだろう。また、今では取引所よりも大きな影響力を持ついわゆるGLOBAL9と呼ばれる巨大な欧米の投資銀行9行などの意向も無視できないだろう。さらには日本のイー・トレードをはじめとするオンライン証券のトップ4社。こうしたところの腹を借りるくらいの気持ちで基本設計からやり直しだ。本当に今の世界中の取引所の現場のことが分かっている人間が作れば、この問題が単に処理能力やスピードの問題、或いは誤発注防止システムだけの問題でないことがすぐに分かるだろう。金融庁も今の指導や法律、通達などをゼロから見直す覚悟が必要だ。今回の東証の事件は、皮肉な言い方をすれば、現場を知らぬベンダーと、それを改善しなかった・できなかった人々とのコラボレーションであり、起こるべくして起こった必然でもあるのだ。

Sunday, January 15, 2006

★プーチンの光と影

 ウラジーミル・プーチンは、ソ連時代にレニングラードと呼ばれていたロシア西端の大都市、サンクトペテルブルグ市に生まれ育ち、1975年にレニングラード大学の法学部国際関係学科を卒業した。その後、子供のころからのあこがれだったKGB(ソ連国家保安委員会)に就職した。
 KGBは、国内では公安警察や秘密警察の機能を果たし、国外では西側に対するスパイ活動を行う諜報機関である。プーチンは、最初はレニングラード市の反体制活動家の監視活動などを担当していたが、その後1985年から90年まで、東ドイツのドレスデンに派遣されていた。89年末にベルリンの壁が崩壊し、90年に東西ドイツの統合が進む中、東ドイツのKGB組織も廃止され、プーチンは故郷のレニングラード(サンクトペテルブルグ)に戻った。
 プーチンが東ドイツでどんな仕事をしていたか公開されていないが、故郷に戻った翌年にはサンクトペテルブルグ市長の国際問題の顧問団のひとりとして、欧米企業によるサンクト市への投資を誘致するための担当者になっている。彼はこの仕事で大成功をおさめ、1994年にはサンクト市の副市長に抜擢された。
 こうした経歴から察するに、プーチンは東ドイツで、西側企業との関係作りを担当していたのではないかと推測される。米ソ対立が続く中で、東西ドイツは、西ドイツ側の外交努力の結果、例外的に1970年代に国交を正常化し、プーチンが東ドイツに派遣された80年代後半には、87年に東ドイツのホーネッカー議長が東独首脳として初めて西ドイツを訪問するなど、東西ドイツの経済交流が活発化していた。
 KGBは、西側企業に対する産業スパイや、資金調達ノウハウの獲得などを任務にしており、プーチンがドレスデンを拠点に、西ドイツ経済界への食い込みや人脈作りを担当していたとすれば、彼がサンクト市に戻った後、西欧からの投資を誘致する担当者となり、成功をおさめたことは納得がいく。冷戦のために培った人脈が、冷戦後、経済発展のために使われたということである。
 プーチンは特に、西独最大手のドイツ銀行と、業界3位のドレスナー銀行というドイツの2つの大手銀行と、1990年代にはすでに親密な関係を築いていたと指摘されている。プーチンの過去を詮索したウォールストリート・ジャーナルによると、プーチンがサンクト副市長だったとき、彼の妻が事故で背中を痛めたが、ドレスナー銀行が交通費を負担して彼女をドイツの病院に運び、治療を受けさせたという。
▼90年代に書いた提案を実現しているプーチン
 プーチンがKGBに入省したのは、それが愛国的な仕事としてソ連時代に国民から見られていたからだ。ソ連が崩壊し、ロシアでは愛国心より金儲けが奨励される時代となったが、プーチンは愛国的な考え方を捨てなかったらしい。サンクト市の副市長だった1994年ごろ、プーチンは同市内に新設された「国家鉱業研究所」の研究員も兼務しており、そこで彼は「ロシアの豊かな資源を活用すれば、世界的な大国の座を取り戻すことができる」と主張する論文を書いた(部下たちに書かせたものをプーチンの名前で発表したという説もある)。
 プーチンは「ロシア経済発展のための鉱物資源戦略」("Mineral Raw Materials in the Strategy for Development of the Russian Economy")と題したその論文で、石油やガスといった資源産業を再国有化し、その国有企業群の経営を欧米並みに効率化するとともに、金融機関の機能を併設して「金融産業企業群」となることで、世界からロシアの資源開発への投資資金を集めるメカニズムを作ることを提唱した。
 プーチンが使った「金融産業企業群」(financial-industrial corporations)という言葉は、ソ連時代の経済の中心的な存在だった「軍事産業複合体」(military-industrial complex)に対抗する概念である。ソ連は「軍事力」で世界的な覇権を獲得したが、冷戦後のロシアは「資源」で覇権をとる。「戦車より石油だ」という提案だった。
 その後プーチンは、1996年にエリツィン大統領の目にとまってモスクワに引き抜かれ、エリツィンの側近として、ロシア連邦政府の高官を歴任した。99年には首相になり、その年の暮れに行われた議会選挙で、プーチンを擁立する政党「統一」(今の「統一ロシア」)が圧勝し、他のライバルを抜き去って最有力のエリツィンの後継者となった。エリツィンは同年の大晦日に大統領職をプーチンに譲った。
 2000年に大統領になってから、現在に至るまで、プーチンが最も力を入れて行ったことは、彼が1990年代に書いた「資源を使ってロシアを世界的大国に戻す」という論文で提唱した戦略を、一つずつ実現していくことだった。
▼KGBならではのライバル潰し
 エリツィンが大統領をしていた時代には、石油など資源産業は、ソ連崩壊後に国有企業が民営化される過程で経営権を握った新興資本家「オリガルヒ」たちに握られていた。オリガルヒは儲けた金で政治献金し、エリツィン政権の中枢に座っていた。
 自由市場経済に転換した冷戦後のロシアでは、企業には名目上、納税義務があったが、取り立てる行政メカニズムが未整備だったため、誰も税金を払っていなかった。プーチンはこれに目をつけ、オリガルヒたちに「脱税」容疑をかけた。特に、最大の石油会社だったユコスに対しては、企業資産を凍結した上で巨額の重加算税を科して支払不能に陥らせ、国有石油会社ロスネフチなどに安値で買収させ、国有化してしまった。
 政敵を犯罪者に仕立ててしまうのは、KGBという公安警察出身のプーチンならではのやり方である。プーチンの側近にはKGB出身者が多い。彼らは公安警察やスパイの出身だから、特定の人物の過去の経歴や日々の行動、人脈などを調べ、必要なら盗聴や、関係者を脅迫して密告者に仕立てることなども、気心の知れた部下に命じられる。プーチンは、エリツィン時代に拡大された地方自治の権限を再び中央政府に戻すため、反抗的な地方の州知事の汚職を摘発し、辞めさせたりもしている。
 オリガルヒの中には、勝ち目がないとみてプーチンとの対立を避ける者もおり、彼らは自分の石油会社などを他の国有企業に売却した。イギリスのサッカーチーム「チェルシー」を買収して有名になったロマン・アブラモビッチもオリガルヒのひとりだが、彼は昨年、所有していた大手石油会社の「シブネフチ」を、すでに国有化されていたガスプロムに売却した。
 国有化した企業のトップには、プーチンが信頼できる側近を就任させた。ロシアの資源産業は、ガスプロム、シブネフチ、ロスネフチといった、主要な国有企業9社に統合されたが、それらの経営トップはすべてプーチンの側近である。この9社は合計で、ロシアのGDP(国内総生産)の40%を占める年間2220億ドルの生産を行っている。
▼プーチンを支援するドイツ金融界
 資源産業をオリガルヒから奪って再国有化する過程で、プーチンは、以前からのドイツの大手金融機関との親しい関係を活用している。たとえば、最大手石油会社だったユコスの油田部門を国有化するにあたり、ユコスの油田の資産価値を鑑定したのは、ドレスナー銀行傘下の投資銀行だった。
 ユコスの株式の何割かは、欧米の石油会社や金融機関などの機関投資家が保有していた。彼らは、ロシア政府がユコスの資産価値を低く見積もって格安でロシア政府系の石油会社などに売ることを恐れ、そのような事態になったら対抗措置をとると言っていた。そのため資産価値の鑑定には、プーチンと親しいドレスナー銀行系の会社が選ばれた。ドイツの大手銀行系の会社が出した見積もりなら、他の欧米の投資家も文句をつけにくい。同社は、いろいろな理由をつけてユコスの油田の価値を安めに見積もり、プーチンは、ユコスの油田を国有石油会社ロスネフチのものにする再国有化に成功した。
 この例に見られるように、ロシアの資源産業をめぐるオリガルヒとプーチンの戦いの中で、米英系の投資家はオリガルヒの味方をする傾向があったのに対し、ドイツ系の投資家はプーチンの味方をしていた。ロシアをめぐる地政学的な戦いは、表向き「プーチン」と「欧米」との戦いのように見えるが、実は「プーチンとドイツ」と「米英」の戦いになっている(米英でも「多極主義者」はプーチンをこっそり支援した)。
 プーチンとドイツの結びつきは、ロシアのガスをドイツに運ぶ独露直結の海底パイプラインにも見て取れる。2010年に完成予定のパイプラインは、ガスプロムが51%、BASFなどドイツの大手企業2社が24・5%ずつを出資して作られた「北欧ガスパイプライン社」(North European Gas PipelineCompany)によって建設される。
 今年の元日からこの会社の社長になったマチアス・ヴァルニヒ(Mattias Warnig)という人物は、もともと東ドイツの諜報機関(秘密警察)シュタージにつとめ、1980年代にドレスデンでプーチンの仕事に協力する担当をしていた。その後ヴァルニヒはドレスナー銀行に入り、昨年末まで同銀行のモスクワ支社長をつとめていた。
 この独露合弁会社の顧問には、ドイツ首相を辞めて間もないゲアハルト・シュレーダーが就任した。合弁会社は今年、株式を公開する予定で、欧米の投資家に向けたイメージ作りをシュレーダーに頼んだのだろう。シュレーダーは首相時代にプーチンを絶賛する発言を繰り返し、独露関係の蜜月を演出していた。だが、独露関係の中枢はシュレーダーではない。独露関係の隠された要点は、プーチンがKGBの東ドイツ駐在だった時代に作ったと推測される、ドイツの大手金融機関との関係である。
▼東欧諸国でもマフィア式買収
 プーチンが、KGB仕込みの経済マフィア風のやり方で手に入れようとした対象は、ロシアの資源産業だけではない。旧ソ連東欧の他の国々のパイプラインや精油所なども標的になった。
 2000年には、アイルランドのオフショア市場に法人登記されたペーパーカンパニーが、ハンガリーのパイプライン網を所有する大手化学会社ボルソドケム(Borsodchem)の株式の25%を買い集めて買収攻勢をかけるという事件が発生した。
 ハンガリー当局が調べたところ、ペーパーカンパニーの所有者はガスプロムの幹部であることが判明し、ロシアが西欧にガスを送るため、ハンガリーのパイプラインを乗っ取ろうとしていることが分かった。ガスプロムは他のペーパーカンパニーを動員して株を買い増したが、ハンガリー政府は財界を動員してボルソドケム株を防戦し、最後にはロシア勢を敗退させた。
 2003年には、ポーランドの沿岸工業都市グダニスクの精油所の民営化をめぐって、ロシアの諜報機関FSB(KGBの後継機関)の要員がポーランドの大富豪に接近し、精油所をロシアの石油会社ルコイルが落札できるよう、ポーランドのクワシニエフスキ大統領(元共産党)に働きかけてくれと頼んだ事件も発覚している。これらの経済事件は、KGB出身のプーチンの側近たちによって考案されたものに違いない。
▼株価つり上げ策としてのガス供給停止
 昨年末、閣僚や側近を集めて開いた会議でプーチンは「これからロシアは、エネルギー部門における世界の指導者となる」と宣言した。プーチンは、大統領になってやってきたことの最終目的を、このとき初めて明確に語った。
 プーチンの戦略の中で、昨年までの過程は、オリガルヒに私物化された資源産業を、国家の手に取り戻す段階だった。今年から、プーチンの戦略は、90年代に書いた論文の中の次の段階に入っている。国有化され、欧米の投資家に乗っ取られる懸念がなくなったロシアの資源産業の、株式の半分未満を欧米の投資家に売り、世界から資金を集めてロシアの資源をもっと開発する、という段階である。
 今年、ロシアの大手資源産業のうち、ガスプロムとロスネフチが株式の一部を公開し、ロシアと欧米で売り始める。ガスプロムは、株式の49%を、ロンドンとモスクワの株式市場に上場し、ロスネフチは株式の20%を上場する。
 この上場予定と、元日のウクライナに送るガスの一部を止めたガスプロムの荒っぽい値上げ要求とを結びつけて考えると、ガスを止めたことのもう一つの意味が見えてくる。ガスの売り値が大幅に上がったことで、ウクライナへのガス販売でガスプロムが得る利益は、昨年の年間11億ドルから、今年は39億ドルに急増する。
 利益が上がる企業ほど、株の値段が高い。元日の値上げは、上場にあたって株価の値段を上げるための計略だったことが分かる。ガスプロムは、モルドバ、ブルガリアなどに送るガスも値上げすることを決めた上、国際的なガスの価格が上がった場合は、売り値をさらに上げることを新契約に盛り込んでいる。
 株式上場の決定を予感し、従来限定的に取引されてきたガスプロムの株価は、昨年1年間で2・6倍となった。ガス値上げによる増収を好感し、同社の株価は今年1月に入ってからの数日間の取引で、さらに17%上昇した。
▼ガスプロムの世界野望
 油田や天然ガス田の開発には巨額の資金がかかり、石油やガスを消費地や積み出し港まで運ぶパイプラインの建設も資金が必要だ。ロシアは、地理的にユーラシア大陸の西から東まで広がっているため、国内にパイプラインを引き、それを海外に延長することで、西欧にも、インド方面にも、中国など東アジアにもエネルギーを売れる。
 ロシアからドイツへの直結ガスパイプラインが2010年に開通するほか、シベリアから中国への石油パイプラインが2008年から稼働する予定となっており、同じルートで天然ガスを売り込む構想がある。日本や韓国も、売り込みの対象となっている。昨年11月には、当面は解決不能の北方領土問題を議論しないことを前提にプーチン大統領が訪日したが、その主目的は「ロシアのエネルギー産業に投資しませんか」「石油やガスは要りませんか」という売り込みだった。
 ガスプロムは、ロシアとトルクメニスタンの天然ガスを、アフガニスタンを経由してパキスタン、インド方面に運ぶパイプラインを建設する構想を持っている。これは911事件の前、アメリカの石油関連会社ユノカルがアフガニスタンのタリバン政権と組んで作ろうとしたパイプラインのルートだ。ガスプロムは、イランからパキスタン、インドにつながるパイプラインの建設も手がけようとしている。
 またガスプロムは、アメリカに天然ガスを売り込む構想も発表している。ロシア北西部の沖合にある北極圏の海域であるバレンツ海の海底には、天然ガスが埋蔵されており、これを欧米企業と合弁して掘り出す構想だ。2010年からガスを売り出し、アメリカの天然ガス市場の10-20%を取ることを目標にしている。
 アメリカは、今でこそ地球温暖化対策を拒否しているが、今後もし西欧などと歩調を合わせ、二酸化炭素の排出量を減らすことになったら、天然ガス利用を増やさねばならなくなる。そうした時流に合わせ、プーチンはアメリカにガスを売り込もうとしている。
 アメリカでは「エネルギーをロシアに頼るなんて、とんでもない」とい見方が強いが、アメリカの財テク雑誌は「ガスプロムの株は安値感があるので買いだ」と書いている。アメリカの新聞は、政治記事では「ガスプロムの拡大はプーチンの独裁を強化する」と批判する半面、経済記事では「ガスプロムの株は買いだ」と推奨するという、矛盾した状態になっている。
 プーチンは、株価を上げるため、欧米人をロシアの国有資源会社の経営者として招くことも画策した。昨年12月、1期目のブッシュ政権で商務長官をつとめたアメリカ人ドナルド・エバンスは、ロシア政府に招待されてモスクワに飛んだ。モスクワに着いてみるとプーチン自身との会談がセットされており、そこでプーチンはエバンスに、ロスネフチの会長か副会長に就任してほしい、と要請した。
 プーチンは、ブッシュの元閣僚を経営者として招くことで、株式上場するロスネフチに関する企業イメージをアメリカで向上させ「プーチンが支配する会社」という悪い印象を消すことを狙ったのだろう。エバンスは結局、就任要請を断ったが、この出来事は、投資家集めを重視するプーチンの戦略を象徴している。
▼国民に好かれる独裁者
 まさに今のロシアは、経済も政治も、プーチンという「秘密警察出身の経済マフィア」が一人で握っている独裁国家である。だがロシアの世論を見ると、ロシア人は、以前のオリガルヒよりもプーチンの方を、はるかに強く支持している。それは、オリガルヒが自分の金儲けを越えた大目標を持たず、エリツィン時代のロシア政府を私物化して混乱させるばかりだったのに対し、プーチンは最初から「ロシアを再び世界の強国にする」という国家的な目標を持って独裁政治をやっているからだ。
 ロシア人の多くは、かつて強かったソ連を壊してしまったゴルバチョフを嫌い、自国がソ連時代のような強い国に戻ることを望んでいる。資源を使ってロシアを再強化するプーチンの戦略は、こうしたロシア人の気持ちに沿っている。
 プーチンは、ゴルバチョフとエリツィンが廃止した、ソ連時代の国歌や紋章などを復活させる政策を採っており、これもロシア国民の多くに支持されている。このような背景があったため、プーチンは2004年の大統領選挙で71%の得票で再選され、プーチンの政党である「統一ロシア」は2003年の連邦議会選挙で圧勝した。
 欧米のマスコミでは、リベラルなゴルバチョフが好かれ、プーチンを嫌う傾向が強く、ロシア人の気持ちとは逆だが、この逆転状態は、ゴルバチョフがソ連を壊して欧米の食い物にされる状態を作った人で、プーチンがロシアを弱い状態から脱却させて再強化している人であることを考えれば、理解できる。

Wednesday, January 04, 2006

★新しい中国包囲網の虚実

12月14日、マレーシアのクアラルンプールで、日本、中国、韓国、東南
アジア諸国、インド、オーストラリアなどの首脳が集まり、初めての「東アジ
アサミット」が開かれる。この会議には、アメリカが招待されておらず、アジ
ア太平洋諸国がアメリカ抜きで集まる史上初の国際会議となる(この会議に参
加するには、会議開催の中心者であるASEANと和平条約を結ぶ必要があり、
アメリカは条約締結を断ったため、参加できなくなった)。
http://www.taipeitimes.com/News/front/archives/2005/10/06/2003274613
 この会議について、中国政府は「アメリカに頼らないアジア共同体の形成に
寄与するので好ましい」と考えている。反対に日本政府は「アメリカ抜きの会
議は良くない」と主張している。ここで重要になるのは、当のアメリカはどう
考えているか、ということである。
 11月30日、東京で記者会見したトーマス・シーファ駐日アメリカ大使は
「アメリカは、アジア太平洋諸国の一つである。この会議が、アメリカをアジ
アから排除する動きであるとしたら問題だ」と述べた。日本では、多くの人が
「アメリカは自国が参加できないアジア会議に反対している」と考えており、
大使の会見は、その日本人の見方を裏づける効果をもたらした。
http://news.yahoo.com/s/afp/20051130/pl_afp/japanuseasummit
▼アメリカは東アジアサミットに賛成?反対?
 ところがその一方で、12月5日にワシントンの米政府国務省で行われた記
者会見では、国務省の広報担当者が「アメリカからアジア諸国へは最近、ブッ
シュ大統領やライス国務長官らが次々と歴訪しており、アジア諸国との関係は
十分に緊密さを維持している。だから、アメリカの代表が東アジアサミットに
出席しなくても、何ら問題はない」という主旨の発言を行っている。ASEAN
諸国や中国は、アメリカは東アジアサミットの開催に反対していないという見
解に立っており、国務省の発表は、中国などの見方を裏づけるものとなっている。
http://www.chinapost.com.tw/i_latestdetail.asp?id=33250
 一体、アメリカはサミットに反対なのか、それとも容認しているのか。実は、
東京とワシントンの記者発表の内容は、矛盾していない。両方をつなげて読む
と「サミットによってアメリカがアジアから排除されるなら問題だが、現実に
はアメリカのアジア諸国との関係は緊密なので問題はない」という見解になる。
米政府は、東京では上の句を言い、ワシントンでは下の句を言ったのである。
 最近、ブッシュ政権の対中国外交担当の責任者としてロバート・ゼーリック
国務副長官が注目されているが、彼は8月に北京で中国との戦略対話を行った
際、中国政府に対し「国際社会の諸問題を解決するために、もっと努力してほ
しい」と要請した。ゼーリックは中国側に対し、具体例として、12月に香港
で開かれるWTOの年次総会で、増加している国際貿易紛争を解決できる世界
体制作りに貢献してほしい、と要請している。
http://online.wsj.com/article/SB113357532895713119.html
 ゼーリックの対中戦略からうかがえるのは、今のアメリカは、自国が負い切
れない「世界の指導者」としての仕事の一部を、中国にやってもらおうとして
いる、ということだ。アメリカは、覇権の一部を中国に割譲しようとしている。
この延長線で考えると、アメリカ抜きの東アジアサミットは、むしろアメリカ
にとって好ましいことになる。
 しかし、だとしたら、なぜアメリカの駐日大使は、サミットについて「上の
句」しか言わず、日本人が「アメリカは中国の覇権拡大に反対している」と、
間違って思い続ける結果を生んでいるのか。
 私が見るところ、騙しの構図は、小泉政権とブッシュ政権の共同作業によっ
て作られている。アメリカが覇権の一部を中国に割譲し、中国が大国になるこ
とを誘導していると日本人の多くが知ったら、小泉首相が靖国神社に参拝して
中国人の怒りを誘発し、日中関係を悪化させていることに対し、日本国内で今
よりもっと大きな反対の世論が出てくるだろう。そうならないよう、日本人が
「アメリカは中国に敵対し、日本などと協力して包囲網を作っている」と考え
る傾向を持つような仕掛けが作られている。
 以前の記事( http://tanakanews.com/f1124japan.htm )でも述べたが、小
泉の靖国参拝の背景には、中国を日本の仮想敵にしておいて、それをバネに憲
法改定や自衛隊の拡大発展を実施しようという戦略があり、さらにその背景に
は、アメリカが世界的な軍事展開を縮小する方針を採り始めた結果、在日米軍
が縮小してアメリカは日本の防衛をやらなくなるので、自衛隊を軍隊に昇格さ
せる必要があるという、アメリカが原因の状況変化がある。
(小泉首相は9月に民主党に大連立を打診して断られたと報じられているが、
小泉が大連立という異例なことを提起した背景には、何としても憲法改定を実
現せねばならないという状況があるに違いない)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20051208i106.htm
 アメリカは、自国の軍事戦略の転換を日本でも実現するため、小泉の中国脅
威化戦略に協力しているのだと思われる。同時にアメリカの軍事産業にとって
は、日本の軍事拡大は、儲けを増やすことにもつながる。
▼中国包囲網は兵器販売促進のイメージ戦略?
 アメリカはここ数カ月、中国周辺の他の国々に対しても「アメリカが新たな
中国包囲網を作ろうとしている」といったイメージを与えることで、アメリカ
製の兵器などの売り込みをはかっている。最近、米政府の高官たちがインド、
ベトナム、インドネシア、マレーシアなどを訪問し、アメリカとの軍事関係を
強化する動きをしている。ブッシュ大統領が11月の東アジア歴訪時、米大統
領として初めてモンゴルを訪問したのも「新中国包囲網」のイメージを背景に
した軍事関係強化の一環だったと見られている。
http://www.taipeitimes.com/News/editorials/archives/2005/12/05/2003283099
 ニューヨーク・タイムスは11月19日の社説で「中国はアメリカの脅威に
なっておらず、台湾をめぐる緊張も解けてきているのに、ブッシュ政権は中国
周辺の国々との軍事関係を強化している。中国は警戒感を強め、軍事拡大を始
めており、アジアの緊張が不必要に高まりそうになっている」という主旨の主
張をしている。同紙はまた、日本とインドがアメリカの誘いに乗って軍事拡張
し、日本ではナショナリズムが扇動されていると批判した。
http://www.nytimes.com/2005/11/19/opinion/19sat2.html?ex=1290056400&en=f4a96e6e22d9f43a&ei=5088&partner=rssnyt&emc=rss
 さらに、ニューヨーク・タイムスの系列紙であるボストン・グローブは12
月5日の社説で、小泉の靖国参拝と、中国政府の反日扇動の両方を批判した上
で「中国は、アメリカが日本の軍事拡大を扇動していると疑っている」「(疑
いを晴らすため)まず米政府は、アメリカは日中関係の悪化を望んでいないと
はっきり表明すべきである」と主張している。
http://www.iht.com/articles/2005/12/05/opinion/edchina.php
 こうした主張は、ロックフェラーなど米政界の親中国派(多極主義者)に後
押しされたものだろう。ブッシュ大統領や駐日アメリカ大使も、11月のブッ
シュの東アジア歴訪の前後に「日中関係が悪くなっているのは問題だ」と発言
している。中国政府は「小泉が靖国参拝さえしなければ、日中関係を好転させ、
日本を東アジア共同体に巻き込める」と考えており、アメリカを通じて小泉に
圧力をかけようとしているのだと思われる。
http://newsfromrussia.com/world/2005/11/30/68823.html
▼米英日印で中国包囲網
 アメリカの多極主義者が日中関係を好転させたいのに対し、ネオコンは違う
構想を練っている。12月2日、アメリカのネオコン系シンクタンク「アメリ
カン・エンタープライズ研究所」の研究者トーマス・ドネリーが「アメリカ、
イギリス、日本、インドという世界の4大国で新たな同盟を組み、中国の台頭
を抑制し、中東のテロや核拡散を防止し、世界に民主主義を拡大し、それらを
実現する際には軍事力を使って良いという4つの方針を共有すべきだ」とする
「4大国同盟」と題する論文を発表した。
http://www.aei.org/publications/pubID.23524/pub_detail.asp
 ドネリーは、軍事産業のロッキード社の出身で、イラク侵攻計画を1998
年から主張していたネオコン団体「新しいアメリカの世紀のためのプロジェク
ト」(PNAC)の中心人物でもあり、国防総省の戦略計画の策定にも参加し
ている。
http://www.wpherald.com/storyview.php?StoryID=20051204-034200-4385r
 彼の今回の論文は、前出のニューヨーク・タイムスの社説に触発されて書い
たものらしく、同社説からの引用が議論の出発点になっているが、社説とは反
対の結論につなげている。論文の内容は、次のようなものである。
 ブッシュの「単独覇権主義」は失敗したが、ブッシュが目指した「世界民主
化」「中東民主化」はアメリカ人の国民性に基づいた理想なので頓挫させるの
は惜しい。アメリカは「協調主義」に戻り、伝統的な最重要同盟国であるイギ
リスとの関係を再強化するとともに、中国の台頭を懸念する民主主義国という
点でアメリカと利害が一致する日本とインドとも、軍事関係を中心に同盟関係
を強化し、日印にも中東と世界を民主化するアメリカの計画に参画してもらい、
アメリカ中心の世界体制(パックス・アメリカーナ)を維持すべきである。
 英日印の3カ国は、いずれもユーラシアの周縁部に位置し「地政学」的に見
ても、中東や中国といったユーラシア大陸内部の勢力に対峙する存在という共
通点がある。イギリスではブッシュ政権を嫌う世論が強く、日本では軍事力を
自由に使えない憲法の制約が残り、インドはまだ非同盟主義の考え方を残して
いる。英日印はいずれも、すぐに4大国同盟を結成できるような状況ではなく、
現状では4カ国が同盟を話し合う会合を開くことも難しい。だが「民主主義を
広げる」「中東や中国などの脅威と対峙する」といった共通理念の共有化がう
まくいけば、この同盟はいずれ成功する(内容紹介終わり)。
▼日本人をネオコン化してイスラエルに協力させる
 論文の筆者も認めているように、この論文の構想を実現することは難しく、
絵に描いた餅でしかない感が強い。しかし、私がこの論文の登場に関心を持っ
たのは、外務省や日本言論界の「対米従属」の信奉者にとっては「アメリカや
イギリスなどとともに中国を包囲監視し、世界民主化の大構想に参加する」と
いう、この論文に描かれた日本の未来像が、日本の今後の国是としてぴったり
なので、この論文と似たような言説が今後日本のマスコミにも頻出するのでは
ないか、と思ったからである。
 実際、すでに日本は、この論文に描かれた方向に進んでいる。小泉首相は今
年5月にインドを訪問し、日本とインドの戦略関係を強化しようとインド側に
持ち掛けている。来年1月にはイスラエルなど中東を訪問することが決まって
おり、パレスチナ国家の建設費の一部を日本が負担することを了承すると予想
される。このまま行くと、論文の中で日本の障害として挙げられた憲法改定も、
時間の問題だろう。
http://aawsat.com/english/news.asp?section=1&id=2938
 中国との関係を見ると、イギリスは中国を包囲するより中国で金儲けしたい
という面が強い。インドは、中国を警戒しているものの、すでに中国とは戦略
的関係を結び、シリアやイラン、中央アジアなどでは、インドと中国が組んで
油田開発やパイプラインを作る話が進んでいる。
http://www.champress.net/english/index.php?page=show_det&id=1468
 前回の記事( http://tanakanews.com/f1206oil.htm )に書いたように、日
本がアメリカからの圧力を受け、油田開発の相手をイランからリビアに代えた
のと対照的に、インドはアメリカから批判されても、イランの油田開発を止め
ていない。インドは、アメリカとも中国ともイランともロシアともつき合うと
いう、全方位外交を展開している。イギリスやインドの対応を見ると、4大国
構想では中国包囲網は実現できないことが分かる。
 実現できないのに、こうした構想が出てくるのはなぜか。私が疑ったのは、
ネオコンは中東、特にイスラエルの立て直しのために、日本にカネを出させよ
うとして、日本人が好む「中国包囲網」「日米同盟を米英同盟と同水準まで強
化」「地政学的な大国同盟」といった言葉をちりばめた論文を発表したのでは
ないか、ということである。時期的にも、小泉首相がおそらくブッシュ大統領
からの要請を受けてパレスチナ訪問を決め「日本は中東和平に貢献する」と宣
言する直前に、この論文が発表されている。
 ネオコンが掲げた「中東民主化」は、一時はアメリカ人を熱狂させたが、イ
ラクの泥沼化によって米国内の支持を失った。そのためネオコンは、次は日本
人の「反中国」意識を利用し「アメリカと一緒に、中東と中国を民主化しよう」
と呼びかける構想で、日本人を「ネオコン化」しようとしているのではないか、
とも思える。
 論文では、4大国が一致すべき4項目の方針の一つに「国家にとって軍事力
の行使は正当で有益な手段であると考える」というのを入れているが、この方
針は米英印にとっては改めて宣言するまでもないことであり、憲法で戦力不保
持を掲げる日本にとってのみ重要なことである。この論文は、英日印の中でも、
特に日本を対象に書かれていると感じられる。
(ネオコンや、その他のアメリカの外交立案者の論文には、真の目的が別に隠
されていると思われる論文が多い。外交論文誌「フォーリン・アフェアーズ」
などは、その宝庫である。ネオコンは、プラトン的な「賢者は、他の賢者のみ
が見抜ける『高貴なウソ』をついても良い」という方針を持っている。どこで
も国家には秘密があり、外交はこの秘密の部分が絡むことが多い。だから外交
方針を書いた論文には、一般国民に知られたら困るので関係者どうしのみが理
解できる隠された意図が存在することが多いのだろう)
http://www.logosjournal.com/issue_3.2/mason.htm
▼理解不足で中東問題に介入するのは危険
 日本は1990年代、パレスチナでオスロ合意が進展していた時にも、パレ
スチナ国家の建設費の一部を負担してやったが、当時日本がカネを出した建設
物の多くは、その後イスラエルがオスロ合意を破棄したため、イスラエル軍な
どによって破壊されたり、ほとんど使われなくなったりしている。
 今またイスラエルのシャロン政権は、ガザや西岸から撤退し、前回より小さ
くて弱いパレスチナ国家の実現を容認する姿勢に戻っているが、アラブ側では
過激派が政治力を拡大しており、中東和平が実現される可能性は前回より低い
と感じられる。
http://tanakanews.com/f1111israel.htm
 日本政府は「カネを出すだけでなく、もっと外交的な貢献もする」という方
針のようだが、日本がアメリカの意に添うかたちで中東問題に介入することは、
イスラム主義が強くなりつつある中東の人々が、米英だけでなく日本をも嫌う
傾向を強めることになりかねない。石油の確保にも問題が出てくる。
 パレスチナにしろイラクにしろ、中東の問題は、欧米の支配が絡んだ複雑で
奥の深い問題である。イスラエルの問題は、欧米諸国の隠された歴史的構造の
一部であり、日本を含むアジアの人々は、ほとんどその構造を理解できていな
い。欧米の暗黒部分であるパレスチナ問題に、日本が首を突っ込みすぎるのは、
非常に危険である。その一方で、4大国同盟に参加しても中国包囲網は実現し
ないので、日本は「外交的詐欺」に遭ったような結果に陥りかねない。
http://tanakanews.com/f0622israel.htm
▼知的な従属こそが問題
 日本が外交的詐欺に遭いかねない理由は、日本の外交を考える外務省、学者、
記者などの知識人が、自分の頭で世界情勢を分析せず、アメリカ(欧米)の高
官や学者、記者が発する言論を、絶対の真実として信じてしまうという「知的
対米従属」に長く陥っているからである。権威あるアメリカ人がどのように言
っているかを正確に把握することだけが重視される、悪しき「翻訳主義」である。
 翻訳主義は、昨今のようにアメリカの中枢が混乱し、内紛になっているよう
な状況になると、行き詰まってしまう。イラク戦争前の2002年、欧米メデ
ィアで米中枢のネオコンの存在が危機感を持って語られ、私の記事にもネオコ
ンが頻出するようになったころ、日本の外交専門家の多くは「ネオコンなんか
存在しない。無根拠な陰謀論にすぎない」と言っていた。
 その後、ネオコンはイラク侵攻を実現したものの、間もなく政権内で外され
る観が強まった。そのころになって、日本の専門家の間では「ネオコンは米中
枢で大勝利した。アメリカは今後ネオコンによる支配が続くだろう」「ネオコ
ンの中東民主化は良い計画だ」といった論調が目立ち始めた。
 2003年夏にはイラク占領が泥沼化する傾向が強まったのに、日本人はア
メリカのプロパガンダを軽信し、翌年になっても「イラク占領は成功している」
と言い続ける専門家が多かった。日本の専門家は、知的対米従属から抜け出せ
ないため、従属相手のアメリカの中枢で起きていることさえも、分析できなく
なっている。
 翻訳主義の弊害は、日本だけでなく、東アジア全般に大昔からあった問題で
あり、必ずしも現代日本人だけの責任ではない。だが、日本の知識人が知的従
属を続けている限り、日本は「高貴なウソ」に満ちた世界の裏の仕組みを理解
できないので、外交的に強い国になれない。自分の頭で世界を分析できる状況
にならないまま、憲法を改定して強い軍隊を持つと、いずれ外交で失敗し、
60年前のように勝てない戦争を不用意に繰り返すことになりかねない。
 日本の外務省などが対米従属を続けたがるのは、自分自身の頭で分析したこ
とに対する自信が持てない結果なのかもしれない。自信が持てない最大の理由
は、かつて自分の頭で分析して世界に出て行って戦争になり、大敗北したとい
う歴史的な経験があるからだろう。
 自信をつけるには、少しずつ独自外交を拡大していくのが良いだろうが、独
自外交は、日本人が比較的理解している東アジアに対する外交から着手すべき
だろう。日本のワシントン大使館にユダヤ人問題が分かる人を置いていないこ
とに象徴されるように、日本政府は欧米問題としての中東問題の本質を理解し
ているとは思えないので、パレスチナに対する外交は独自外交ではなく対米従
属外交であり、日本人が外交的自信をつけるためには役立たない。
 独自外交に対する自信がつけば、ロシアや中国など、アメリカ以外の国々と
も戦略的な関係を締結したくなるだろう。日本もインドのように中国と戦略的
関係を結び、その後で、たとえば台湾の国際承認を呼びかけるといったような、
中国を牽制する言動を外交カードとして切るのなら意味があると私は考えてい
る。

憲法改正について

自民党の憲法草案が出てきて、これから議論が始まるのでしょうが
、その前提条件が米軍に守られる日本から、日本自らが守る日本に
変化させることである。このための変更になっている。
左翼が言う反戦平和の日本ができたのは、米軍が中国やロシア、北
朝鮮から日本を守ってくれたことで実現したのですが、世界的な米
軍再編という実質的な撤退でそのようなことが出来なくなり、日本
人が自らを守る必要になっているのです。
米軍主力はグアムまで撤退することが決まっている。横須賀の原子
力空母配備は、乾ドックが太平洋全体でも米国以外に横須賀しかな
いためである。本格的な修理が横須賀でしかできないことによるの
です。このため、空母の母港はグアムではなくて横須賀なのです。
ただ単にそれだけの理由です。沖縄の米海兵隊の主力は現在でも、
イラクに派遣されて居ないが、イラクが終了するとそのままグアム
に駐留することになる。
中国、北朝鮮の中距離ミサイルの範囲内にある日本は、米軍にとっ
て安全ではないためで、米軍は安全な地帯に居て、救援隊的な意味
になるのです。このため、自国を自分が守るしかない状態になって
いるです。どうせ、日本に居る米司令部機能200名も戦闘になれ
ば、即座にグアムまで撤退することになる。空母も戦闘時は沖合で
活動することになり、退避できる。
そのような米軍の状態であるが、現在中国は反日的な対応をしてい
るし、北朝鮮はいつ工作員を日本に送り、原子力発電所を破壊する
か分からない状態である。特に米国が北朝鮮に武力を使わないとな
ると、北朝鮮のテロ活動に対して、日本は自分で対応するしかない。
今、陸上自衛隊のメインは北海道に駐屯しているが、早く中国の将
来起こるバブル崩壊時の混乱状況に対応することと北朝鮮工作員に
対応するために沖縄諸島群や山陰・北陸地方に展開する必要になっ
ている。
もう1つ、武装難民に対する対応や国家防衛のために、相手ミサイ
ル基地を叩ける軍事行動をできるようにしないと国家を守れない。
このための憲法改正は、早期に必要になっている。
しかし、社民党を中心として、日本を弱くした方が得であるために
中国や北朝鮮は、社民党に中国系商社や北朝鮮系パチンコ業界から
の選挙資金、活動資金を注いで憲法改正阻止を図っている。そして
、岩波書店を使って、軍国主義に復古するという批判をしている。
中国は靖国神社参拝問題で、日中首脳会議を開催しないとしている
が、本当の理由はこの憲法改正に反対なのでしょうね。
誤解があるのは憲法9条の1項の精神はいいし、今回は改正しない
ことになっている。2項の戦力放棄だけを改正することです。この
2項ができた理由としては、たびたび申すように米軍が日本を外国
軍隊から守ってくれたことでできたのですが、その米軍が中国や北
朝鮮を相手に戦えないほど、軍事力を東アジアでも削減しているた
めに、日本を守れなくなっていることなのです。台湾国民もそれを
知っていて、中国からの独立を言えない状態になっている。これが
今回の選挙で与党民進党が大敗した理由ですよ。
この事実があるので、日本を守るには軍隊を持つことが重要になっ
ているのです。しかし、日本が平和主義であることを変える必要が
ないために憲法9条1項の精神は、そのままでいいのです。
このため、戦争をしない精神を変えることを、今回の憲法改正では
していない。従来の自民党案に比べても復古調的な文言もなくなっ
ている。
戦争を起こすことを日本からは仕掛けないような9条1項条文は手
をつけていない。岩波書店が主張しているような戦争できる体制変
更ではないのです。
ただ単に日本を守ることを定めただけの変更になっている。まだ普
通の国になっていない。最小限度の改正に留めていることが今回の
草案の特徴であると感じるが???
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自主外交には自主防衛体制が必要

日本は専守防衛政策に固執するな/軍事力は外交の後ろ楯が国際現実
軍事評論家 竹田 五郎 防衛脆弱では制裁は通じない
  (世界日報)掲載許可
 政府は、昨年末定めた新防衛計画大綱および次期防衛力整備計画に基づき、今年度防衛
 予算案として四兆八千五百六十四億円を計上した。昨年に比べ1%減で三年続きの減額
 である。
 新防衛計画大綱において、「大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散、国際テロ組織の活動
 を含む新たな脅威」を認めるとともに、日本に対し反友好的で、軍事力を強化する北朝
 鮮、中国に対し強い警戒を示している。長期展望に立てば、当然、防衛力は増強される
 べきである。しかし、赤字七百七十兆円を負う苦しい財政事情であり、ミサイル防衛
 (MD)システムをはじめ新たな多様な脅威への対処を優先し、在来兵力の削減を余儀
 なくされた。
 平和を希求し、対話を強調する国際社会とはいえ、軍事力が外交の強力な後ろ楯である
 ことを厳しい現実として認めざるを得ない。戦後、日本政府の外交は、領域の保全、邦
 人の身の安全をも確保できず、友好の名の下に迎合して内政干渉をも甘受し「万事金で
 解決」しようとしており、弱腰外交との非難を受けている。このようにならざるを得な
 い大きな要因も、背後に強い軍事力とそれを行使する意志を欠くためである。
 筆者は十一月の本欄で「身の程を知れ」と提言した。政府の外交政策について対米追従
 と批判する側には、日本が米国を命綱とせざるを得ない現状認識はなく、あるいは仮に
 あったとしても、自主防衛に進もうとする強い意欲はなく、いざとなれば米国の支援に
 依存しようとする甘えはないのか、と指摘した。北朝鮮の無法に怒り、「直ちに経済制
 裁を発動せよ」との強い意見もあるが、顧みて防衛体制は脆弱、特に独自の攻撃力を欠
 く自衛力では、米国の合意がなければ、相手は「犬の遠吠え」としか感じまい。自主防
 衛体制なくしては自主外交も期待できまい。
費用対効果からMDの検討を
 十二月八日、米国テレビは、ラムズフェルド米国防長官が装甲車の不足を直訴するイラ
 ク派遣兵士を「戦争は望ましい兵力ではなく、持てる兵器で戦うべきだ」と一喝したこ
 とを、無責任な発言と批判した。ワグナー・ニューズウィーク誌副編集長は、この発言
 を引用し、日本の対米依存について次のような苦言を呈している。「北朝鮮が経済制裁
 を日本の『宣戦布告』とみなして攻撃を仕掛けてきたら、米軍が即座に北朝鮮を打ちの
 めすはずだという指摘も聞かれた。確かに、アメリカはそうするだろう。ただし、それ
 がブッシュ政権にとってプラスになればの話だ。逆にアメリカの国益にならなければ、
 残念ながら……。(略)北朝鮮との最悪の事態を想定するなら、日本は米軍に頼らない
 シナリオも考えておいたほうがいい」(同誌日本版12月22日号)と。これはブッシ
 ュ政権に限ったことではなく、元来、外交とはそういうものである。
 今国会の防衛予算審議において、ミサイル防衛システムの導入を批判し、その効果を問
 う意見があった。周知のとおり日本は既に中国の核ミサイルの脅威下にあり、また、北
 朝鮮はノドンミサイル二百基を装備している。仮に北朝鮮が小型核開発に成功し、日本
 に対し核攻撃を強行すれば、日本全土を防衛することは不可能で、数発でも大都市に着
 弾すれば、それらは壊滅し、日本は致命的打撃を受けよう。ミサイル防衛シスステムが
 完成しても、このような悲惨な被害を避け得まい。
 しかし、専守防衛に固執する限り、たとえその効果が小さくとも、藁にもすがる気持ち
 で装備をせざるを得ず、無策で、全く無防備、裸の現状のままであることは許されない。
 問うべきは進攻能力との比較について費用対効果の検討である。日本は今後も全面的に
 米軍の攻撃戦力に依存しようとしている。日米同盟は永続する保証はなく、また、相互
 に信頼性が低下すれば、効果も低減しよう。そうでなくとも、前述副編集長が指摘した
 ように、常に米軍が日本の要求する時期に、期待する兵力の来援、攻撃があるとはいえ
 まい。
ミサイル基地攻撃は自衛範囲
 新聞報道によれば「次期防」で長距離精密誘導ミサイルの開発が要求されたが、残念な
 がら専守防衛政策に違反するとして却下された。昭和三十一年以来、国会で「ミサイル
 基地の攻撃は憲法上自衛の範囲に含まれ可能」と認めているにもかかわらず、基地攻撃
 は全面的に米軍依存である。核装備は別としても、持つべき、しかも、持ち得る重要な
 進攻能力欠如のままでは自主防衛とはいえない。
 さらに「中期防」では戦闘機、艦船についても冷戦期の遺物視するかのように削減され
 るが、一度縮小するとその復旧、整備には多大の費用と期間を要する。新防衛計画大綱
 も「専守防衛に徹し他国に脅威を与えるような軍事大国にならないことを基本とする」
 としている。多くの国は一般に近隣国の軍事力強化を脅威と感じ、阻止しようとする。
 極言すれば、他国に全く脅威を与えぬような軍事力に制約すれば、外交は萎縮しよう。
 「防衛力の本来の役割が本格的侵略への対処」とし、「中国、北朝鮮の軍事力強化を予
 測し、警戒する」ならば、自主外交に進むために、専守防衛といった独善的政策から脱
 却し、少なくとも情報能力の強化、戦術的攻撃力の基盤整備を進めるべきである。
Kenzo Yamaoka
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日米共同前提の防衛「能力」

陸海空の防衛力を評価/中国に抜かれつつある現状
元統幕議長 杉山 蕃
果たして世界第2の高能力か   世界日報掲載許可
 有力紙で岡崎久彦氏が、中国の10%を越える軍事費の純増を「ただごとではない」と
 し、第一次大戦前のドイツ軍拡、七〇年代のソ連を例に、脅威の顕在化の前に相応の戦
 略を考えるべきである旨、警鐘を鳴らしている。まったく同感であり、イラク問題、靖
 国問題、拉致問題などに傾斜しているうちに、後手を踏んでしまうことを懸念する。
 岡崎氏は、わが国の防衛力をやや楽観している節があり、八〇年代毎年5%を超える防
 衛費純増の成果として、「現在日本の海空軍通常兵力は米国に次ぐ世界第二位の高能力
 を持っている」とされているが、この点は、より詳しい説明が必要であろう。軍事力の
 評価は、多岐に亘る要素を勘案する必要があり、一概に決めてかかるのは、危険だから
 である。分かりにくい「防衛力の評価」であるが、今回は三つの視点から理解を進める
 ことを主張したい。
 最初の視点は、わが防衛力の特性である。かつて、本欄でも紹介した如く、我が陸海空
 自衛隊は、五十年の論争のなかで、他国と異なる特性を有している。総じて言うならば、
 陸上自衛隊は、着上陸する外敵排除を主眼に、国土で戦うことを前提に、独自で作戦す
 る能力を追求し、日米共同においても、作戦地域を分担して実施する。半面、他国へ進
 攻する能力はないと言ってよい。
 航空自衛隊は防空作戦を主眼とし、独自に作戦する能力を有する。しかし、航空攻撃能
 力については、一部陸海作戦支援の能力を有するが、基本的には策源地攻撃は米軍に期
 待する。
情報通信能力も日米共同頼み
 海上自衛隊は、米軍との共同作戦を前提にした組織と言ってよく、米軍と機能を分担し
 つつ、海上作戦を実施する。特に対潜戦に高い能力を有するが、空母に代表される海上
 航空の機能を欠くほか、原子力推進についてはタブー視され、制約が大きい。従って、
 特に海空自衛隊は、米軍との共同が極めて重要で、日米共同で対処する限りにおいては、
 岡崎氏の言う「高い能力」を有することになろう。
 もちろん周辺事態法に代言されるように、わが国の平和と安全に重大なる影響を及ぼす
 事態においては、平時から米国と政策協議に始まる密接な行動を約束しているわけであ
 るから、自衛隊の能力を評価する場合、日米共同を前提として考えてよいのかも知れな
 い。
 次の視点は、情報通信能力である。本欄で縷々(るる)述べた如く、現代の作戦能力を
 決する大きな要素は、IT能力、ネットワーク能力とも言える高度な作戦情報の収集処
 理通信運用能力にある。宇宙・航空・地上・水中から、各種のセンサーをもって相手の
 動態を掌握し、友軍の行動もリアルタイムで承知しながら作戦する場合、その能力に劣
 る相手に対し、おそらくは数倍の優位に立っていることは簡単に理解できるところであ
 ろう。
 この点においても、我が自衛隊の能力は、日米共同に大きく依存していると言わざるを
 得ない。わが国周辺に限って言えば限られたセンサーを有するものの、脅威と成り得る
 より広域の情報は、米国に頼らざるを得ないし、これら情報及び作戦指揮の通信は、米
 国及び同盟国で共通するリンク方式で実施される。この状態は、わが国のみならず、連
 合軍形態の韓国、統合軍としてのNATO諸国も同様である。
 第三の視点は、防衛白書等でおなじみの、艦艇何隻何トン、作戦機何機、そして、艦船
 ・作戦機の個体能力・要員錬度といった伝統的要素である。海上自衛隊の艦艇について
 は、海洋国としてのわが国の特性から、周辺諸国より優位にあることは事実であるが、
 既述した空母・原潜の制約から、いずれは大きなハンディを背負うことになろう。
体制の整備には20年を要する
 航空自衛隊については、周辺国に比し、F-15型機に代表される「質的優位」を看板
 に、数的劣勢をカバーする状態であったが、中国のSU-27の大量導入、韓国のF-
 16に続くF-15導入により、既に追いつかれた状態にあることを認識すべきである。
 このようにして見ると、我が自衛隊の通常兵力は、決して「米国に次ぐ高い能力」を有
 するとして、安穏としていられる状態ではなく、日米共同を条件に「高い能力」を持っ
 ていると理解するべきであり、従来の兵備量の視点からは、追い越されつつある状態と
 言った方が適切なのである。
 特に軍事力造成に要する時間的要素を考えた場合、もっと事態は深刻である。主要兵器
 の調達には、十年のタイムスパンが必要なことは常識であるし、生産ラインの効率性か
 ら見ても、数を揃え、要員を練成し、体制を整備するには、二十年の時間が必要とされ
 る。「相応する戦略」策定を急ぐべしとする主張に同意する所以(ゆえん)である。

世界の構図の変革

バーネットの理論が国防総省内に大きな影響を持ち始めたのと、ネ
オコンの理論が敗退したために米国の戦略が大きく変化している。
この影響を検討している。アジアは前回検討したが、今週、台湾と
バチカンが友好関係を継続するというニュースがあった。この意味
をまず知ろう。
中国には信仰の自由がない。このため、法輪功が中国現政権に反対
しているが、同じことをキリスト教でも行われている。米国のブッ
シュ大統領やライス長官が中国に行くと、プロテスタントの教会で
ミサをするのは、中国の宗教政策に異を唱えるためであり、バチカ
ンも中国に宗教の自由を保証してほしいと要求していた。
しかし、中国は宗教の自由はイコール法輪功を許すことになり、宗
教を信じることはいけないという理由しかない法輪功への弾圧がで
きなくなるために、宗教の自由を許可できないと中国はバチカンに
言っている。このため、バチカンは中国と国交を正常化していない。
どうも、法輪功を裏で支援しているのもバチカンである可能性が高
いようである。中国国内で宗教戦争にもなっていることに注意が必
要である。バチカンとプロテタントの利害が一致している。このた
め、米国も欧州も経済的な価値がなくなった中国には投資をしなく
なる。経済関与政策で、民主化が出来るという理論は敗退している。
また、中国の経済政策が変化してきた。今までは外国からの投資を
加速させて中国経済を拡大したが、その海外からの投資が無くなっ
てきたので、消費者の需要で経済を拡大しようというのである。
投資が減ってきて、それでは経済の拡大が出来なくなっていたので
、苦し紛れに消費拡大と言っているようにも感じる。早く中国から
企業は撤退しないと、中国のバブル大崩壊で倒産することになる。
中国国内の消費などは高が知れている。早く撤退をすることである。
そして、欧州も変化してきた。ドイツのメルケル首相は親英米派で
あることは知られている。ドイツ経済は米国への輸出で持っている
ことを重要視している。このため、フランスとの同盟を解消する方
向になる。すでに英国に行って、ドイツは英国とも協力してやって
いくと表明している。今度、米国にメルケル首相は行くが、米国と
歩調を合わせた行動をすると表明するはずである。裏でライス長官
と交渉をしているが、米独の友好を表明することは決まっている。
もう1つが、反ロシア連合が中東欧に誕生して、ロシアの独裁的な
プーチン体制に反対し、親欧米で民主化した市場経済を目指すこと
になる。その盟主がこれも英国、米国とドイツである。ここでもド
イツは重要な役割を担うことになる。米軍はドイツからポーランド
などに基地を移動させたが、米軍自体の数は大幅に減少している。
もし仮にロシアが侵攻しても、ドイツまでは食い止めることはでき
ない。
ドイツはロシアとも重要な関係にある。パイプラインでロシアの石
油を大量に使っている関係から、ロシアとの関係を親密にする必要
がある。このようにEUでの位置付けがフランスからドイツにシフ
トしている。英国もドイツの力を借りて、EU内での位置を向上さ
せようとしている。現時点で、欧州の変化がどうなるのかは見えな
いが、ドイツを中心に変化していることは確かである。
米国の変化で一番影響が大きいのはイスラエルである。ネオコンと
いうリクード右派別働隊が米国政府内で力があったときは、ネタニ
エフを中心としたリクード右派が主導権を握っていたが、米国の戦
略変更で、特に中東民主化から中東関与政策に変更した影響は大き
い。イランやシリアへの侵攻がないために、イスラエルの存亡は、
パレスチナとの平和共存策にしかないことになっている。このため
、シャロン首相はガザから撤退したし、かつシャロン首相はリクー
ドから脱退して穏健な労働党のペレスと共同で新党を立てた。
今後のイスラエルはパレスチナとの平和共存をどう仕上げるかが問
題で、これは大イスラエルから小イスラエルへの大戦略変更になる。
国内6%の原理主義者と穏健なシャロン政権が大きく対立する状態
になると考えられる。しかし、イスラエルの強硬派シャロン首相が
一夜にして穏健派になる変身は見事というしかない。国際情勢の読
みは流石である。これは米国での情勢変化からの当然の変身なので
す。
2150.中国の民主化
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/k7/171022.htm
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協力関係維持に合意 台湾とバチカン
 【台北25日共同】台湾の陳水扁総統は二十五日、訪台している
バチカンのローマ法王庁のトーラン枢機卿=元外務局長=と会談し
、「台湾と法王庁は民主と人権、自由と平和をともに信仰しており
、双方が価値を共有するパートナー関係が永続するよう、希望する
」と述べた。
 トーラン氏は「法王庁は台湾との協力関係を引き続き発展させた
い」と応じ、関係の維持、発展に合意した。
 バチカンは台湾が外交関係を持つ二十五カ国のうちの一国。陳総
統の発言はバチカンが中国との国交樹立に動かず、台湾との外交関
係を維持するよう暗に求めたものだ。
 十八日付の香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、
トーラン氏の訪台は中国との国交樹立に向けた根回しが狙いとの見
方を伝えたが、台湾の外交部(外務省)当局者は「憶測にすぎない
。そのような心配はしていない」と話した。
20051125 1956
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中国、投資から消費主導へ転換・来年の経済政策を決定
(nikkei)
 【北京=吉田忠則】中国共産党・政府は11月29日から1日まで3日
間、来年の経済政策を決める中央経済工作会議を開いた。過剰投資
が原因で過熱しやすい経済体質を改め、個人消費の拡大を促すこと
を打ち出した。エネルギー効率を高め、環境汚染を食い止めること
も掲げた。来年の成長目標は公表していないが、8%程度とする方向
で話し合われたもようだ。
 昨年の同会議はビルや工場の建設ラッシュを問題にし、過剰投資
の抑制に力点を置いた。今年は次期5カ年計画が来年から始まるのを
踏まえ、中期的な視点から構造問題の解決を重視したのが特徴。
ただ公表された内容は方針を示すだけで具体策に欠ける印象が否め
ない。
 会議で演説した胡錦濤国家主席は来年の課題として八つを提案。
その筆頭に「投資と消費の関係を調整し、特に農民の消費拡大に重
点を置く」ことを掲げた。中国は13億の人口のうち農村部が約6割を
占める。提案は発展から取り残された農村の所得を増やし消費を刺
激するのが狙い。 (00:10)
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メルケル独首相、年明けに初訪米・対米関係の緊密化目指す
(nikkei)
 【ベルリン=菅野幹雄】ドイツ首相府は30日、メルケル首相が
2006年の年明け早々に訪米し、1月11日にホワイトハウスでブッシュ
米大統領と会談する予定を明らかにした。先月22日に発足したメル
ケル政権はシュレーダー前政権時代にぎくしゃくした対米関係を再
び緊密にすることを外交の柱に据えており、首脳間の対話実現を急
いだ。
 独首相府のウィルヘルム報道官は声明で、会談が「ブッシュ大統
領の招きによる」と指摘し、親米路線を掲げるメルケル政権に対す
る米側の期待を印象づけた。米国との協力関係を深化させることを
メルケル首相の訪米の狙いとして、国際問題と2国間関係について意
見交換する見通しだと説明している。
 ドイツのシュタインマイヤー新外相は就任1週間後の29日に米国で
ライス米国務長官と会談。ライス長官も今月5日に訪独してメルケル
首相と会う予定だ。 (10:08)
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ペレス元イスラエル首相、総選挙でシャロン首相を支持する意向を表明
 
 [テルアビブ 30日 ロイター] イスラエルのペレス元首相
は、来年3月の総選挙でシャロン首相を支持する意向を明らかにす
るとともに、労働党からの離党を示唆した。
 ペレス元首相は記者会見で「今後数年間にイスラエルが直面する
重要課題は何かと自問した。それは疑いの余地なく、避けることの
できない平和と外交プロセスの進展の交差地点だ」と語った。
 ペレス元首相は、和平推進にはシャロン首相が最も適任だとし、
「従って首相の出馬を支持し、これらの目的を達成するため、首相
に協力することを決意した」と述べた。
 ペレス元首相は、労働党からの離党を正式に表明することはなか
ったものの、「(労働)党での私の活動は終わった」と語った。
(ロイター) - 12月1日11時25分更新
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<米世論調査>イラク情勢混迷で孤立主義の傾向が復活
 【ワシントン笠原敏彦】イラク情勢が混迷を続ける中、米世論に
米国は他国の問題に介入すべきではないとする孤立主義の傾向が復
活していることが、このほど発表された世論調査機関「ピュー・リ
サーチ・センター」などの調査結果で明らかになった。他国の問題
への介入を望まない人々は42%に上り、ベトナム戦争後、冷戦終
結後に並ぶ高さになっている。
 調査は、同センターと有力シンクタンク「外交問題評議会」が数
年ごとに実施。今回は9~10月に、一般市民約2000人と外交
、軍事、メディア関係者らオピニオンリーダー520人を対象に行
われた。
 調査によると、全体の42%が「米国は国際社会で自らのことに
専念し、他国のことは他国に任せるべきだ」と回答した。イラク戦
争開戦(03年3月)前の02年の30%から大幅に上昇し、ベト
ナム戦争終結後の76年と、冷戦崩壊により「平和の配当」への期
待が高まった95年に記録した41%を超える結果になった。
 報告書はこうした結果について、イラク戦争が国際情勢を不透明
にし、「国民の間に孤立主義の復活をもたらしている」と説明して
いる。
 また、米国の国際社会でのイメージについては、66%が米国は
過去に比べて尊敬されなくなっていると答えており、報告書はこれ
もイラク戦争の影響と指摘している。
(毎日新聞) - 11月26日11時58分更新
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ウクライナなどが新国家間機構創設 反ロ連合と警戒も(ASAHI)
2005年12月03日10時12分
 ウクライナの首都キエフで2日、新国家間機構「民主的選択共同
体」が創設された。ウクライナのほかグルジア、マケドニア、モル
ドバ、スロベニア、ルーマニア、バルト3国の9カ国が参加。政府
、非政府レベルで民主化の取り組みを助け合い、欧州への統合を進
めるとしているが、ロシア国内には反ロ連合の創設だとして警戒す
る見方が出ている。
 インタファクス通信によると、グルジアのサアカシュビリ大統領
は「共同体がロシアに対抗するためではないかと言われるが、そう
ではない。民主的で平和なグルジアは隣国ロシアの国益に合致して
いる」と指摘した。
 しかし、参加国はいずれも旧ソ連や旧共産圏で、近年ロシアの影
響力からの脱却を目指してきた国が多い。実際、ウクライナのユー
シェンコ大統領は演説で「数百万人が死亡した32~33年の飢餓
のような事態を避けるために、我々は力を合わせなければならない
」と、旧ソ連時代の悲劇を引き合いに出して、参加国の団結の必要
性を訴えた。
 インタファクス通信は、ウクライナ共産党の話として「今回の共
同体は旧ソ連で作る独立国家共同体(CIS)やロシア、ウクライ
ナ、ベラルーシ、カザフスタンで結成を目指す『統一経済圏』にと
って代わることを狙っている」との見方を紹介した。

アジアの構図の変革

バーネットの新戦略論をこのコラムでは数回紹介していたが、今回
コバケンさんが米国としての意味を解説してくれるようである。
グローバルリズムの研究でもある地経学から出たバーネットの理論
は、今までの戦略論とは違い、軍事的な意味より、経済的な意味の
方が大きいことになる。
しかし、米国の軍配備削減の思想がバーネットの理論であるという
見解は、当たっているように感じる。重装備から軽装備にして、経
済発展国同士の戦いから発展途上国地域紛争の戦いになるため、米
軍主体から地域国家主体で紛争に当たる方向にある。たとえば、ス
ーダンの地域紛争にはアフリカ機構軍が当たっている。米軍は費用
負担はするが、軍自体は派遣していない。
それと、万一の場合のためにミサイル防衛をシッカリとする。中国
とロシアの大陸弾道弾ミサイルが米国に発射されたら、そのミサイ
ルを打ち落とすとともに、報復のミサイルが中国とロシアに飛ぶよ
うにする。このため、中国とロシアの近くに観測用の基地が必要な
のである。日本も米国としてはこのために必要なのです。そして、
日本も同様な理由からミサイル防衛をするべきなのです。
この思想からすると、米国は中国との通常戦も想定していないと見
る。
この頃の米国は中国の民主化については要求をしているが、中国と
の友好関係を維持発展する方向に見える。私Fの見解は中国バブル
崩壊が真近であり、その崩壊時に中国の体制が変化するし、IMF
が中国に介入して、共産党独裁から民主化をすると思っている。
中国は香港という資本主義を現に持っている。この地域を拡大すれ
ばいいだけなので、広州省全体や中国南部全体を香港のようにする
だけでいいので、簡単に民主化、資本主義化できるのです。一番の
基本は三権分立と土地の私有制を認めることである。しかし、多大
な資金が必要になる。
このため、米国は日本にも応分の負担を求めてくることは間違いな
いが、主体は米国である。日本は小泉首相が靖国神社参拝問題を起
こし、中国が日本に依頼できない雰囲気を作っている。中国に対す
る政策は成功であるが、国連安保常任理事国入りや米国タカ派のネ
オコンや共和党保守派への影響を心配している。米国は逆に日本を
国連安保常任理事国にしたいのです。間近に迫る中国の混乱を米国
一国では処理ができない。
また、中国もそれを見越して、米国との友好関係を維持する方向で
推移している。それほど、中国の銀行の不良債権が膨らんでいる。
中国政府ではもういかんともしがたい膨大な不良債権になっている
ようだ。国際的な機関が中国の建て直しをするしかない。もう日本
企業は、中国から資本を引き上げるか、これ以上の資本を入れるべ
きではない。
もう1つ、中国の胡主席が韓国に行って、首脳会議をしていたが、
この中で、韓国と北朝鮮の統一を支持すると中国の胡主席は述べて
いる。これは、中国経済拡大をして混乱を遅らせるために大量の韓
国資本の進出をお願いするためと、本格的に北朝鮮体制を変革する
必要を中国も認めたことによると思う。その裏に米国が韓国の支配
を中国に譲渡したようにも感じる。これがないと中国は韓国と北朝
鮮統一を支持しない。韓国に北朝鮮が吸収されるしか、朝鮮統一の
方法はない。
来年1月の6ケ国協議でも、米国が北朝鮮の核廃棄を優先させるこ
とを主張するので、決裂するに決まっている。そうすると、北朝鮮
を除く5ケ国は、次の手を考えることになる。それを阻止するべく
、金正日は子供に政権を移譲して、ある程度の権限を手放して、5
ケ国の追及を逃れようとしている。しかし、どうも苦し紛れのよう
に感じる。この協議は中国が主役になっている。
この延長上で台湾を米中間でどう裏取引したかが疑問になっている。
これは台湾サイドも心配しているようだ。米国は台湾への武器輸出
ができないことでイライラしている。台湾の国民党がその武器輸入
案を審議拒否して国会が通らない。ここでも米中に何か変化したか
どうかのリトマス試験紙になっている。
どちらにしても、東アジアの冷戦構造が崩れることになるのと、も
う1つの問題、中国のバブル崩壊が起こり、中国が混乱して地域紛
争に発展しないことを祈るしかないですね。混乱すると、中国人が
1000万人程度、日本に押しかけられる可能性もある。そしたら
、大変なことになる。
英国の国際戦略研究所(IISS)の動向に注意する必要がある。
アジア問題を地域指導者を交えて、頻繁に会議をしている。この様
子はIISSnewsに詳しい。米ラムズフェルドは勿論、モンゴ
ルや北朝鮮、中国の国防幹部たちも、この会議に出席している。
日本の大野さんも出席しているようだ。次の世界の構図をIISS
は探っているように見える。この上部にチャター・ハウス(王立国
際問題研究所)がある。
世界的な構図の変革期ですので、注意して国際状況を見る必要があ
る。特にアジアの構図は変化するはずです。どうも米国の変化があ
りそうで、その根本は、バーネットの理論のようです。ここはコバ
ケンさんに解説してもらいますので、楽しみにしていてください。
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6カ国協議、来年1月に再開へ・中国外務次官が見通し(nikkei)
 【北京=桃井裕理】中国の武大偉外務次官は25日、訪中した塩崎
恭久外務副大臣との会談で、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の再
開時期について「来年1月になるだろう」との見通しを示した。日中
外交筋が明らかにした。
 武外務次官は協議再開までに「参加各国が非公式な対話を行うこ
とで議論している」と明らかにした。朝鮮半島の非核化実現に向け
ては「関連する本質的な問題で各国、特に米国が決断できるかどう
かが重要なポイント」と述べた。 (21:45)
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米大統領、中国の民主化促進を要請・胡国家主席と会談
 【北京20日共同】中国を訪問しているブッシュ米大統領は20日、
北京の人民大会堂で胡錦濤国家主席と会談、中国の民主化促進を求
めるとともに、対米貿易黒字を削減していく必要性があることなど
を両首脳間で確認した。
 また、北朝鮮核問題をめぐり、第四回6カ国協議で合意した共同声
明の履行を北朝鮮に促すため、両国が協力していくことで合意。中国
が知的財産権保護の強化や一段の人民元改革に努めることでも一致し
た。
 会談終了後、両首脳は人民大会堂内で記者団を前にそれぞれ声明
を発表。ブッシュ大統領は胡主席に早期訪米を要請、胡主席は来年
の早い時期に訪問したいとの意向を明らかにした。
 ブッシュ大統領は「中国は、社会、政治、宗教分野での自由を拡
大する必要性がある」と指摘、胡主席はこの問題について「政治の
民主化や人権状況が改善されていることを大統領に説明した」と言
明。また中国の軍事的台頭への懸念に関し胡主席は「中国の発展は
平和的で開放的、協力的だ」と述べた。 (16:53)
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中国の胡錦涛・国家主席、韓国と北朝鮮の統一への支持を表明
 
 [ソウル 17日 ロイター] 韓国を訪れている中国の胡錦涛
・国家主席は17日、韓国と北朝鮮の統一への支持を表明した。ま
た、中国と韓国との関係は「これまでで最良の時期に入っている」
と強調した。
 また、中韓は北東アジアの安定のために協力すべきとの認識も示
した。
 同国家主席は、訪韓2日目のきょう議会で演説し、「中国は、韓
国と北朝鮮が対話を通じて関係を深め、信頼感を醸成することを支
持する。そして最終的に独立した形で統一が実現することを支持し
ている」と表明、議員らから喝さいを浴びた。
 また、「(中韓の)両国関係は最良の時期に入っている」とも述
べた。
 核問題をめぐっては、北朝鮮の名指しは避けながらも、朝鮮半島
の核兵器問題の解決に向けて絶え間ない努力を続ける、との意向を
示した。
 同国家主席は、「対話を通じた平和的な朝鮮半島の核問題解決が
、最も現実的で適切なアプローチだ。中国はこの問題に対して、限
りない努力を続けるだろう」と語った。
 
(ロイター) - 11月17日17時14分更新
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成17年(2005年)11月24日(木)
     通巻第1311号   
言論の自由も人権抑圧改善も強調しなかったブッシュ訪中に意義あ
りや?
 ワシントンポストは「ブッシュ政権は中国に弱すぎる」と社説で
批判している
 ジャーナリストや民主活動家、宗教家など数十人が中国の当局に
拘束されたまま。SARSを告発した医師は、ブッシュ大統領が北
京滞在中、自宅からでることを許されなかった。
 「ワシントンの要求に軽く応ずるふりをしただけで人権問題、政
治の自由化への努力について、なにごとも圧力をかかなかったブッ
シュ大統領は、いったい中国に弱味でもあるのか。インターネット
の検閲一つをとっても大統領が前回訪問した2002年より、中国
の状況は悪化しているのに」(ワシントンポストの社説、
11月22日付け)。
 前回は中国の学生をまえに熱烈に自由についての講演を展開した
がブッシュ大統領だったが、テレビで講演が中継された。
今回は米中首脳会談の共同記者会見さえなく、貳ヶ月前に釈放を要
求した民主活動家、宗教家のリストに、たった一言の言及も北京側
からなされなかった。
 「いや静かな圧力をかけている」とライス国務長官は言う。
 「これという成果はゼロの訪中だった」と総括したのはイギリス
のフィナンシャル・タイムズ(21日付け)である。
同紙は続けた。
「教会へ行ってブッシュ大統領は神に祈った? その報道は中国で
は一切なされなかった。ボーイング70機、40億ドルの商談だけ
がまとまった」
 まさか、中国同様にカネに目がくらんだ?

米国一国主義の終焉

米国のブッシュ大統領が日本経由APECに行ったが、どうも精彩
がない。国内問題を抱えているためだけではなくて、アジア外交で
も行き詰っているためと見れる。
米韓首脳会談も韓国は中国の代弁をしているようにしか見えないの
に、何とか友好関係にあると取り繕っている。米国は今、どうする
のか進路を模索しているように感じる。
アジアでは日本と中韓との関係悪化が抜き差しならない事態になっ
ている。靖国神社参拝問題では、米国の評論家、特に米でオピニオ
ン紙とされるニューヨーク・タイムズでも批判的であり、アジアで
はシンガポールのリー首相も日本の小泉首相を非難している。この
影響でネオコンの機関誌であるウィクリー・スタンダード誌までア
ジアでの日本の影響力がなくなるので、中国と日本を戦わせて、米
国は中立であるべきと論じている。
小泉首相は盧大統領との会談でも、溝が埋まらない状況にある。A
級戦犯は米国が東京裁判で犯罪者として刑を確定したので、中韓の
主張を米国は認めるしかない。いくら、日本が太平洋戦争は正義の
戦いであり、A級戦犯の刑を確定されても、日本はそれを認めない
という論理を掲げても、現在の国際社会には受け入れがたい。
このままにしておくと、米国共和党タカ派の日本離れを引き起こす
ことになり、非常にまずいことになる。リアリストとしては、小泉
首相に靖国神社への参拝を中止して欲しいと国際情勢から感じる。
日米友好関係がない限り、今中国との関係は安定しない。この中国
と関係悪化させて、米国タカ派の日本離れを引き起こすことは避け
るべきである。
欧州も変化している。ライスは米国の力が無くなっている事を英国
に告げて、英国IISは次の世界体制をどうするか検討しているよ
うに思う。英国はフランスのサルコジ内相を支援して、英仏連合を
形成する方向に向かう。このため、イスラム教徒の暴動を起こし、
内相の強硬路線を支持する世論を盛り上げている。イスラム圏との
闘争しか世界を不安定にする手段がない。不安定にしないと武器が
売れない。今の欧米の売りは、石油と高度な兵器産業である。しか
し、いつまでもアルカイダ・テロ組織をいう虚構を維持できない。
この虚構を構築したのが英MI6である。英MI6のウソ情報を米
国に通知して構築したのですが、米ブッシュ政権は危機的なのです
がブレア首相は安泰である。この裏のストーリーを書いたのが英国
IISであると見ている。
また、米国は石油価格の高騰で、サウジアラビアに急接近している。
サウジのオイルマネーを米国へ投資して欲しいためであるが、イス
ラム圏との戦いや民主化は、だんだん色さめてきている。サウジは
当分民主化されないし、民主化されているイランは、一番反欧米で
ある。サウジのテロ容疑者をサウジに返還している。そろそろ、テ
ロ戦争は中止する方向である。
このため、イスラム圏とのテロ戦争ではなくて、本格的な敵対関係
を作り、その上で兵器産業を活性化さえないと、テロ集団との戦い
では、値段の高い戦闘機が売れない。このための構図を作成してい
るように感じる。
現在、ドイツは中国への投資が多くなっている。ドイツ新幹線が、
中国で採用になるなど、投資への見返りも大きい。ドイツを中国に
引き入れているのがロシアであり、このままでいくと中露独韓のハ
ートランド同盟 対 英仏米日豪リムランド同盟が完成する可能性
がある。非ユダヤ 対 ユダヤ政権という色彩もある。イスラムは
2つに割れる。石油地域も2分されることになる。
というより、米国はモンロー主義になり、世界の覇権に関与しなく
なる。イランからの米軍の撤退後、米国は当分陸軍を米州大陸以外
には派遣しないはずである。
このため、日本との平等な同盟関係を作り、台湾危機などの中国混
乱時には日本の陸上自衛隊を前面に使い、米軍は海空支援になるは
ず。韓国は中国との関係を優先するために、米韓同盟を破棄する方
向にある。イランの核問題でも前面で交渉しているのは英国、フラ
ンスであり、米露は後ろでコントロールしている。米露のお互いの
利益をどこで取り合うかを相談している。
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盧大統領、歴史問題を詳細に説明 米韓首脳会談(ASAHI)
2005年11月17日23時48分
 韓国・慶州で17日開かれた米韓首脳会談で、盧武鉉(ノ・ムヒ
ョン)大統領がブッシュ大統領に日本の歴史認識問題について韓国
側の考えを詳細に説明していたことがわかった。
 潘基文(パン・ギムン)・外交通商相が会談終了後、明らかにし
た。それによると、盧大統領はブッシュ大統領との昼食会で、「朝
鮮半島と北東アジアの侵略の歴史と歴史認識問題」について見解を
披露。これに対しブッシュ大統領は静かに耳を傾け、「アジアの主
要国家が良い関係を維持し続けることを望んでいる」と応じたとい
う。
 また、ブッシュ大統領が「アジアの将来は民主主義と自由といっ
た価値の重視にかかっている」と述べたのに対し、盧大統領は「(
アジア)域内の秩序を、対立ではなく協力と統合の構図に導くため
、韓米が力を合わせる必要がある」と語ったという。
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靖国参拝は「韓国への挑戦」 日韓首脳会談、溝埋まらず(ASAHI)
2005年11月18日23時11分

小泉首相は18日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)出席の
ため訪れた釜山で韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領と会談した
。大統領は、首相が10月に靖国神社に参拝したことに「韓国に対
する挑戦でもある」と反発。首相は「戦争の美化、正当化では決し
てなく誤解だ」と持論を説いたが、双方の溝は埋まらなかった。
慣例化している半年に1度の相互訪問について首相は大統領に年末
の訪日要請はできず、会談開催も合意できなかった。
 小泉首相は同日夜、大統領訪日の見通しについて「それは分から
ない。大統領が判断することだ」と記者団に語った。
 首脳会談は6月のソウル以来。約30分間の会談の半分を歴史問
題に費やした。日本側の説明では、盧大統領は「首相の靖国参拝や
最近の多数の政治家による参拝は韓国に対する挑戦でもあり、日本
が過去に戻るのではないかとの懸念がある」と強い調子で批判した。
 これに対して、首相は「(日本の)敗戦から今日に至るまでの平
和の歩みを誇りに思っている」としたうえで、「参拝は二度と戦争
をしないという決意と同時に戦没者に対する哀悼の念からだ」と説
明。さらに、日韓関係について「自由と民主主義、市場経済などの
共通の価値観を持っている。両国とも米国と同盟関係にある。こう
いう国は世界であまりない」と重要性を強調した。
 これに関連して、小泉首相は16日の日米首脳会談後の記者会見
で「日米関係が良ければ良いほど、中国、韓国、アジア諸国との良
好な関係を築ける」と話していた。
 大統領は、前回の首脳会談で新たな追悼施設建設の検討を進める
よう要請したが、今回はこの話題に触れなかった。逆に前回会談で
言及しなかった竹島(韓国名・独島(トクト))領有権問題を、靖
国参拝や歴史教育問題とともに取り上げた。韓国側の説明では、大
統領はこの3点について「いくら小泉首相の考えを善意に解釈しよ
うとしても、韓国国民は絶対に受け入れることはできないだろう」
と述べた。
 北朝鮮問題について首相は、日米韓3カ国の一層の協力の重要性
を強調。大統領は「核問題に上手に協力して対応していきたい」と
応じた。
 首相は、拉致問題について18日、タイのタクシン首相と立ち話
をしたことを取り上げ、「タイでも拉致された人の話が出ており、
タイとも協力していこうと話した」と説明。大統領は「実務者の間
でうまく処理し、解決されることを期待している」と応じた。
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米大統領、イラン核問題でロシア提案支持・首脳会談で表明
(nikkei)
 【釜山=秋田浩之】APEC出席のため訪韓しているブッシュ米
大統領とプーチン・ロシア大統領は18日、釜山で会談し、イランが
核計画の一環として進めているウラン転換作業を容認しないことを
確認した。ブッシュ大統領はウラン濃縮作業をロシア内で行う代わ
りにウラン転換活動を認めるとのロシア提案を支持する考えを正式
に伝えた。
 ウラン転換活動は濃縮作業の前段階に当たるもので、米国などは
核兵器開発を意図したものではないかと疑っている。英独仏はウラ
ン転換活動を停止するようイランと交渉中だが、話し合いは難航。
ロシアが打開策としてウラン濃縮作業を自国で引き受ける提案をし
ている。
 ハドリー米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は会談後に記
者会見し、ブッシュ大統領がロシア提案を基本的に支持したことを
確認した。同時に、ロシア提案は「ロシアが欧州に打診し、欧州側
も支持している。探る価値がある道筋だと思う」と語った。
米アメリカン・コンサヴァティブ誌のバックパッシング論などやブ
ッシュ・胡米中首脳会談で、米中の基本的な友好関係を確認してい
る。米国は中国と今、問題を起こせないし、経済的な関係でも米国
は中国と対立できない。
中国は米国国債を日本より持つ米債権国になっている。もし、中国
が手持ちの国債を市場で売却したら、ドル暴落に一気になる。この
ため、近々中国のバブルが弾けても、中国が持つ米国国債を売らな
いように、中国のバブル崩壊時、IMFやヘッジファンドを動員し
て、ビルや会社をただ同然で買うはず。これは韓国で立証済み。
このバブル崩壊で、中国は国際的なIMFの助けを借りるために、
共産主義市場経済から資本主義市場経済に変化する。これもIMF
の動向を見ると分かる。
米国はドルの還流に気を使っている。今年中に米国企業が海外で儲
けた資金を米国に戻せば、その利益に課税が減免されるという。
もう1つが日本との金利差を4%にして、日本の資金を呼ぶ込もう
としている。このため、119円と円安になっている。
米国の財政赤字、貿易赤字など財政的に米国は苦しい状況にある。
イラクでの戦争を継続できない理由に財政負担が大きくのしかかっ
ていることによる。グリーンスパン議長も財政赤字を長期に続ける
ことは出来ないと言明している。このため、チェイニーが主張した
シリアへの侵攻もライスが反対している。イラン問題でも米国が前
面に出ない理由は財政上、イランへの侵攻はできないためでしょう
ね。
国内ではカトリーナ被害者のホテル代を12月で打ち切るなど、財
政支出を押さえているが、一番大きいのがイラク派遣軍への支出で
あり、戦争拡大をしようとしてもできない相談である。
米軍再編も、軍事費の支出削減である。国内基地も大幅に減らすこ
とになっている。年金改革が頓挫して、支出を抑えるには軍の縮小
しかない。
しかし、現状では、ブッシュ政権は何も出来ない、レームダック状
態になっている。国連改革も米国の支出を押さえる方向にある。
米国は国連経費の24%、日本が18%程度を負担しているが、支
出に見合う効果が無いと米国は主張している。日本も同様である。
米国はGMも傾いて、産業として隆盛なのはインテル、マイクロソ
フトなどのPC産業とレイセオンなど軍事産業だけになってきてい
る。デジタル家電とPCの区別が着かなくなり、HPやデルが発展
するには、デジタル家電を販売することであるが、このデジタル家
電は激烈な価格低下に見舞われて、利益が出ない状況になっている。
日本でも松下しかデジタル家電の猛烈な価格競争に着いていけない
状況になっている。
デジタル家電の勝者は船井電機やサムソン、LGなどでしょうね。
米国は住宅バブル景気から次の景気を作る必要があるが、ドル維持
のためには、経済の活性化をするしかない。当分、米国は自国の活
性化に目が行き、世界の警察官の役割はしない。できない。勿論、
日本のように警察官に負担相当額以上の金をくれる場合は、その地
域には存在するが、それ以外は大陸弾道弾ミサイルの監視のためと
石油利権維持のための基地しか海外に置かないでしょうね。
この面からも米国の影響力は薄くなる。多極化した世界になるでし
ょうね。米国や日本が支出を減らす分、国連の支出を削減するか、
中露英などの負担を増やすことになるでしょうね。
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米副大統領、イラク戦争開戦議論で民主党を厳しく批判
 チェイニー米副大統領は21日、イラク戦争の開戦の大義を巡る議
論について「米軍兵士が意図的なウソで戦地に送られたという発言
は腐敗し、恥知らずだ」と述べ、ブッシュ政権が開戦前にイラクの
脅威を誇張したとする民主党議員らを厳しく批判した。
 副大統領はワシントン市内での講演で開戦の理由とした大量破壊
兵器がイラクで見つからなかったことについて「それを証明する責
任は我々ではなく、サダム・フセイン(イラク元大統領)にあった
」と主張した。
 副大統領は民主党議員も開戦前にイラクの脅威に関する情報を得
た上で武力行使に賛成したはずだと批判した。これに対し民主党の
ケリー上院議員は記者会見で「まったくのデタラメ」と反論。イラ
クが核物質の入手を試みたとするブッシュ大統領の主張に米中央情
報局(CIA)が疑問を呈したことなどは知らされなかったと指摘
し「大統領は当時も今も米国を誤った方向に誘導しようとしている
」と断じた。(ワシントン=加藤秀央) (13:13)
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米モンゴル首脳、連携強化で一致・米軍による支援継続
 【ウランバートル=秋田浩之】ブッシュ米大統領は21日、モンゴ
ルの首都ウランバートルに入り、エンフバヤル大統領と会談した。
外交・経済分野の連携を強めることで一致。米軍によるモンゴル軍
の支援継続も約束した。モンゴル軍の平和維持活動(PKO)を後
押しするとの理由だが、中国とロシアが対米けん制で足並みをそろ
えるなか、両国の間に位置するモンゴルとの関係強化で対抗する思
惑もある。
 米大統領がモンゴルを訪れるのは初めて。両国は会談後、共通の
戦略目標と価値観に基づく連携をうたった共同声明を発表した。米
側からみると、冷戦中にソ連の影響下にあったモンゴルの民主化を
促し、「親米国化」する狙いがある。
 声明によると、米国は主要な国際機関へのモンゴルの加盟を支援
することも約束した。アジア太平洋経済協力会議(APEC)など
を念頭に置いている。
 両国は国際犯罪・テロや鳥インフルエンザ、武器拡散の防止に向
けても、協力を強めることで一致した。 (20:00)
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米軍、ウズベキスタンからの撤退を完了(nikkei)
 【モスクワ=古川英治】タス通信によると、米軍は21日までに中
央アジア・ウズベキスタンのハナバド空軍基地から撤退を完了した。
 米国はアフガニスタンでの対テロ戦争を目的に2001年から基地を
置いてきたが、5月に起きた反政府騒乱の武力制圧事件を巡りカリモ
フ政権と対立し、7月に撤退を通告されていた。ライス国務長官は先
月のロシア訪問時に「中央アジアに(ウズベクに代わる)新たな基
地を設置するつもりはない」と表明している。 (10:05)
==============================
米、国連予算の承認拒否も・事務局改革不成立の場合
 【ニューヨーク=鈴木哲也】米政府が国連事務局の改革案につい
て、加盟国が早期に合意しなければ、現在協議中の2006―07年の国
連予算の承認を拒否する方針を各国に伝えたことが明らかになった。
 最大の財政貢献国である米国が承認を拒否すれば事実上、予算は
成立しない。事態を重くみたアナン事務総長は21日、事務局改革に
否定的な中国や発展途上国グループであるG77メンバーを集めた緊
急協議を開き説得にあたる。エリアソン総会議長は、事務局改革の
本格的な総会協議を年明けに始める予定だったが、米国の意向を受
け、至急取り組む方針に転換した。 (07:01)
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米大統領、中国の民主化促進を要請・胡国家主席と会談
 【北京20日共同】中国を訪問しているブッシュ米大統領は20日、
北京の人民大会堂で胡錦濤国家主席と会談、中国の民主化促進を求
めるとともに、対米貿易黒字を削減していく必要性があることなど
を両首脳間で確認した。
 また、北朝鮮核問題をめぐり、第四回6カ国協議で合意した共同声
明の履行を北朝鮮に促すため、両国が協力していくことで合意。中
国が知的財産権保護の強化や一段の人民元改革に努めることでも一
致した。
 会談終了後、両首脳は人民大会堂内で記者団を前にそれぞれ声明
を発表。ブッシュ大統領は胡主席に早期訪米を要請、胡主席は来年
の早い時期に訪問したいとの意向を明らかにした。
 ブッシュ大統領は「中国は、社会、政治、宗教分野での自由を拡
大する必要性がある」と指摘、胡主席はこの問題について「政治の
民主化や人権状況が改善されていることを大統領に説明した」と言
明。また中国の軍事的台頭への懸念に関し胡主席は「中国の発展は
平和的で開放的、協力的だ」と述べた。 (16:53)
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米GM、北米9工場閉鎖・人員削減3万人に積み増し
 【ニューヨーク=田中昭彦】米ゼネラル・モーターズ(GM)は
21日、2008年までに9工場と3サービス拠点の北米12拠点閉鎖を柱と
する大規模なリストラ策を発表した。当初2万5000人を予定していた
時間給労働者の削減幅も3万人に積み増す。06年末まで70億ドルのコ
スト削減につなげ、経営再建を急ぐ。
 閉鎖対象は大型スポーツ・ユーティリティー・ビークル(SUV
)を生産するオクラホマ工場やミニバンを生産するジョージア工場
など5完成車工場とエンジン生産を手がけるフリント工場(ミシガン
州)など4部品工場。部品加工拠点など3サービス拠点も対象とした。
06年初頭から順次生産・サービスを中止し、08年までに完了する予
定。

台湾の方向転換

今回の台湾の選挙で、与党・民進党が国民の支持を受けていないこ
とが明確になってきた。国民党が地方選挙で勝利して、2008年
総統選挙で総統を奪還することも夢ではなくなった。
台湾には外省人と本省人がいる。外省人は、戦後国民党が中国本土
で共産党に負けて、国民党と逃げてきた人たちである。一方、本省人
は福建省から台湾に移り、住み着いた人たちである。
しかし、戦後外省人が台湾の幹部でいたために上流階級になり、子
弟を米国や英国に留学させて、英語・北京語・福建語の3ケ国語を
基本的にマスターさせている。その上に日本語ができる人が多い。
このため、今でもこの言語力を活かして、上流階級にいる人が多い。
台湾に行くと外省人がトップで、その下に本省人がいる。この本省
人は北京語を旨く話せないために、良い仕事に着けないと嘆いてい
る。しかし、不思議と日本語ができる。これはおじいさんが日本語
教育を受けていたために、孫に日本語を教えたためのようです。
外省人は本省人をバカにしているし、本省人は外省人をずるしてい
ると思っている。
外省人の活躍は中国本土でも目覚しい。中国本土の企業でも技師長
など、技術面の指導は台湾の外省人である。北京語ができるために
中国でも何も問題がなく、中国本土人と同じように振舞える。私も
中国で仕事をしていたが、多数の台湾人と仕事をした。そのほとん
どが外省人であった。その上に台湾企業も多数の工場を中国に立て
ている。この管理も外省人が中心であるが、本省人も多数いる。
特にアモイなど福建省にある台湾企業は本省人が中心である。この
ように本省人も外省人も、中国との関係でビジネスしている。どち
らかと言うと、経済進出とでも言える状況にある。勿論、中国人特
有のワイロも知っている。このため、進出企業トップは中国と敵対
関係になれない。
しかし、それでは外省人は中国本土と統一しようとしているかと言
うと違うようである。欧米に留学経営がある台湾の外省人は民主主
義の価値を知っている。このため、中国との統一は中国が民主化し
てからであると明言している。
しかし、台湾の独立を推進する民進党のように中国に敵対しないこ
とである。李総統時代は台湾の方が航空能力が中国より上であり、
中国との戦闘でも勝てたが、中国の軍備増強で、中距離ミサイルが
800基も台湾を狙い、かつSu-27が相当数配備された。一方
、台湾はイージス艦やF-16などの軍備増強を国民党の反対でで
きない状態にある。このため、戦闘能力的にも中国の攻撃を台湾一
国では守れない状態になっている。また、米空母を狙う潜水艦能力
も拡充されて、そう簡単に台湾を守れなくなっている。
その上、台湾の人たちは米国の動向を見ている。もし、台湾が独立
宣言をして、中国が攻撃しても米国は台湾をサポートしないことを
知っている。米国は中国と問題を起こさない。というより、米国は
中国のバブル崩壊での自滅を待っている。中国の自滅を台湾も待っ
ていればいいので、独立宣言などという問題を今起こすことはない
のです。それより、中国のバブル崩壊後の混乱が世界経済に大きな
影響を及ぼすので、その影響を少なくするために、米国は中国に早
く経済ルールを浸透させようとしている。
このため、日本のように中国と敵対すると台湾は国を失いことにな
る。勿論、日本は台湾を助けることはできない。日本国を自ら守る
こともままならないのに、米国が守る意思がない台湾を守ることは
できない。このことも知っている。このため、現状維持の方向にな
る。そして、その現状維持を志向しているのが国民党であるために
、台湾の多くの人たちが国民党を支持するようになったようですね。
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台湾の国民党主席「中台統一は天安門事件見直しが前提」
(nikkei)
 【台北=山田周平】台湾の最大野党・国民党の馬英九主席(台北
市長)は7日、台北駐在の海外メディアと会見し、中台関係について
「天安門事件を見直さなければ、統一を話し合う余地は無い」と述
べた。中国に融和的な国民党が政権に復帰しても、統一は中国の民
主化が前提との立場を確認したものだ。第2野党・親民党の宋楚瑜主
席と12日に会談し、両党の合併について話し合うことも明らかにし
た。
 国民党は3日の統一地方選挙で大勝し、馬主席は2008年の次期総統
選の最有力候補とみられている。
 馬主席は地方選の結果について「有権者が与党・民進党の腐敗を
嫌ったためで、(民意が)親中国に振れた結果だとは考えない。台
湾人民は現状維持を志向している」と指摘。国民党は「段階的な統
一の可能性は排除しないが、現在はタイムテーブルは無い」と語っ
た。 (23:00)
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対中関係改善を呼び掛け 台湾・国民党の馬主席
 【台北7日共同】台湾の最大野党、国民党の馬英九主席(台北市
長)は7日、市庁舎で外国人記者団と会見し、先の統一地方選での
国民党大勝を受けて2008年総統選での政権奪還に意欲を示すと
ともに、民主進歩党(民進党)の陳水扁政権に、対中関係の改善に
踏み出すよう呼び掛けた。
 地方選勝利について「党の改革を推進する良いきっかけとなった
。政権奪還に向けて今後さらに党の競争力と清廉さを高めたい」と
述べたが、「来年末の台北、高雄市長選、07年末の立法委員(国
会議員)選にも勝たなければならない。容易ではなく努力が必要」
と慎重な姿勢をみせた。
 中台関係については「中台は経済的な協力パートナー。敵対関係
を終わらせ、対話に向かうことが重要だ」と述べ、陳政権に対し、
中台間で交渉中の(1)中台直行チャーター便拡大(2)大陸住民
の台湾観光の解禁(3)台湾産農産物の対中輸出促進-の実現を求
めた。
(共同通信) - 12月7日21時6分更新
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米中は「利害共有者」 高官協議で協力確認
 【ワシントン8日共同】ワシントンで開かれていた米中定期高官
協議の第2回会合は8日、2日間の日程を終えて終了、ゼーリック
米国務副長官は「責任ある利害共有者」として今後、米中が広範囲
な分野で協力していく建設的な意見交換ができたとする声明を発表
した。
 米政府高官によると、副長官はブッシュ政権に「中国封じ込め」
の意図はなく、中国への関与政策を取っていると説明した上で「世
界の舞台でより責任ある行動」を中国側に求めた。
 双方はイラク、アフガニスタンの復興や北朝鮮、イランの核問題
で「共通の目標」を確認。北朝鮮については「世界への統合か、世
界からの孤立か、根本的な選択に直面している」との認識で一致。
「統合」を選択した中国の現在の繁栄を引き合いに、北朝鮮にも核
放棄の戦略的決断を行うよう呼び掛けた。
(共同通信) - 12月9日11時20分更新
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米、中国と戦略対話を加速(nikkei)
 米中両政府は7、8両日、ワシントンで定例高官協議を開き、外交
・安保から経済に至る広範なテーマを巡って議論を交わす。同協議
は今夏に続いて3回目。米中は単なる意見交換会ではなく、「戦略
的協力関係に向けた布石」とする考えで、両国の政策調整が一段と
加速しそうだ。
 ゼーリック米国務副長官と戴秉国中国外務次官が首席代表を務め
る。ゼーリック氏は協議後の9日、戴氏と一緒にニューヨークに移動
。第二次大戦勝利の立役者であるルーズベルト大統領の記念図書館
を戴氏と訪れる。米中による「対日戦勝」を引き合いに連携を呼び
かける狙いとみられる。日中対立が激化しているさなかだけに、米
国としては異例の演出だ。(ワシントン=秋田浩之) (07:01)
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台湾民進党が地方選大敗 党主席が辞意表明(ASAHI)
2005年12月04日00時45分
 台湾の23県市の首長(任期4年)を選ぶ地方首長選挙は3日、
投票が行われ、即日開票の結果、陳水扁(チェン・ショイピエン)
政権を「無策」と批判し、中国との和解促進を主張した最大野党・
国民党が14県市を押さえ、現有ポストを大幅に上回った。全有権
者の約2割を抱える最大選挙区の台北県でも勝利した。陳総統らが
支援した与党・民進党候補の当選は6県市にとどまった。民進党の
蘇貞昌(スー・チェンチャン)主席は同日夜、記者会見で「大敗」
と認め、辞意を表明した。
 直轄市の台北、高雄市を除く地域で、台湾の全有権者の8割近く
を対象として実施された。地方選とはいえ、最終盤では「対中政策
」が大きな争点になった。
 中央選管によると、政党別の獲得首長ポストは、民進党6(現有
10)、国民党14(同8)、親民党1(同1)、新党1(同1)
、無所属1(同3)。全土を通じた投票率は前回と同じ66%。
 民進党は、過去16年間、県長ポストを守ってきた台北県で敗退
したうえ、伝統的に同党支持層が多く「民主の聖地」と呼ばれた北
東部の宜蘭県、中部の嘉義市も失った。台南県・市、高雄県などの
南部の地盤をかろうじて守った。
 一方、国民党候補は選挙結果が08年総統選挙のカギを握るとさ
れた台北県でも差をつけた。総統選有力候補の馬英九(マー・イン
チウ)主席を擁する同党支持者の間で、政権奪還に向けた動きに弾
みがつきそうだ。
 今春に連戦(リエン・チャン)国民党主席(当時)ら野党首脳が
中国大陸を訪問し、胡錦涛(フー・チンタオ)国家主席と会談して
以降初めての大型選挙で、同党側は選挙戦でも「対中和解の促進」
を訴えた。一方、対中政策などで手詰まりが続く民進党側は陳総統
に近い要人の汚職疑惑も不利に働いた。「国民党による対中交流は
統一への道」とも呼びかけたが、劣勢を挽回(ばんかい)できなか
った。

東アジアサミットについて

東アジアサミットを東アジア地域での日本と中国の主導権争いと見
ると、中国の方が影響を増していると感じる。中国は戦略を持って
対応しているが、日本には戦略性を感じない差がでていると思う。
中国は靖国神社参拝問題で韓国と組み、かつ東アジアでもタイ・ベ
トナム・ラオス・ミャンマーなど中国と国境を接する国との関係回
復や一層の友好関係を築いてきた。国境を越える高速道路やメコン
川の開発で中国は点数を稼いでいる。その地域に中国語を教える教
師を3万人も派遣するなど、大々的な取り組みをしている。
しかし、その割りにASEAN諸国は中国の覇権主義を恐れていて
、日本や米国を入れようとしている。マレーシアやインドネシアな
どには華僑問題もあり、中国に靡いていない。華僑国家のシンガポ
ールは中国での権益があり、中国の味方になる場合が多かった。
シンガポールのリー・シェンロン首相は中国・韓国以外で小泉首相
の靖国神社参拝に反対している。上海の浦東開発ではシンガポール
企業が中心で開発したが、どうも中国から金を支払われていないよ
うである。このため、シンガポールは懲りて、その後の開発をして
いないようであるが、部品類や中継貿易で中国との関係は非常に大
きい。
しかし、リー・シェンロン首相は日本との関係も重要視して、FTA
などを日本と結んでいる。リー首相は欧米に留学して、第2次大戦
は日本の侵略戦争と認識しているし、それもA級戦犯が起こした戦
争と欧米の普通の教育で教わっている。アジアの現在の政治指導者
は欧米に留学しているために、中国・韓国を日本の侵略戦争での犠
牲者と認めている。
このため、欧米や中国の歴史認識に近い歴史観をアジアの若い政治
指導者は持っている。そして、十分にアメリカナイズされ論理的な
理論で物を見る習慣がある。このため、戦争犠牲者を祭る靖国神社
に戦争責任者であるA級戦犯者が祭られていると聞くと、奇異な感
じを受けるようである。
日本の理論は日本の独自性が強いために共感を得られないことを肝
に銘じることである。この面から中国の論理に負けている。中国が
小泉首相の靖国神社参拝で反日デモを起こし、街中の日本料理店を
襲うなどの行為は、欧米・アジアの共感を得られないが、静かな抗
議には、それなりの共感を得ていると思うべきである。
東アジアサミットでも日本は、米国の代わりにインドやニュージー
ランド、オーストラリアを参加させた所までは順調であったが、そ
の後、中国の攻勢に会い、東アジア共同体構想はASEANプラス
3(日本、中国、韓国)で進める事になった。これは日本の意向で
はなくて、中国の意向が強い。中国の論理の方が普遍性が高くて、
ASEAN諸国の首脳達に伝わりやすいことが原因であると見える。
日本の論理に普遍性を付加しないと、中国のペースで今後も進む可
能性が高いように感じる。日中の問題点は多くあるのに、それを隠
すために中国は靖国問題を前面に立ててきている。この論理を中国
のペースで関わらずに、違う日中間の大きな問題を日本から提起す
る必要があると思うが。
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マレーシア外相「日中関係、東アジア共同体などに悪影響」
(nikkei)
 【クアラルンプール=石沢将門】「最近の日中関係が東アジア共
同体など地域協力に難しい影響を与えている」。マレーシアのサイ
ドハミド外相は、9日にクアラルンプールで開いた日本とASEAN
の外相会議で、小泉純一郎首相の靖国神社参拝などで悪化している
日中関係の改善を強く求めた。
 会議には日本の麻生太郎外相が出席。ASEAN議長国の発言が
加盟国全体の意見を反映しているかどうかは不明だが、中国の意向
が働いているとの見方が大勢。日本が関係強化を目指すASEAN
を通じて日本の譲歩を迫る中国の巧妙な外交手法が浮き上がった。
(21:01)
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「韓国民の心情重く受け止める」 日韓外相会談で麻生氏(ASAHI)
2005年12月10日13時16分
 クアラルンプールを訪問中の麻生外相は10日午前、韓国の潘基
文(パン・ギムン)外交通商相と韓国側の宿舎で約45分会談した。
麻生外相は「韓国民の過去をめぐる心情を重く受けとめ、真摯(し
んし)に対応していきたい」と述べ、小泉首相の靖国神社参拝を機
に冷え込む日韓関係の改善に意欲を見せた。潘氏は「日本の指導者
の発言により、外交責任者としての自分が困った状況におかれるこ
とを理解してほしい」とし、日本側の一層の努力を促した。
 日本側の説明によると、日韓外相会談は10日朝、急きょ設定さ
れた。麻生外相は「韓国との関係を極めて重要視している。未来志
向の関係を築いていきたい。対話を続けることが重要だ」と強調し
た。潘氏は、東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3(日中韓
)首脳会合にあわせて定例化してきた日中韓首脳会談について「開
催できないことは残念」だとしたうえで「12月の盧武鉉(ノ・ム
ヒョン)大統領の訪日が決まっていないことも残念だ」と述べた。
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「靖国」言及で食い違い=日韓
 【クアラルンプール10日時事】韓国外交通商省は10日、クアラル
ンプールで行われた日韓外相会談で、潘基文外交通商相が小泉純一
郎首相の靖国神社参拝問題に言及したことを明らかにした。日本の
外交筋は、会談の中で「靖国」という言葉は出なかったと説明して
おり、両国の説明に食い違いが出ている。
 日本の外交筋は会談後、両外相の発言内容を説明。その際、「(
会談の中で)靖国という単語はあったか」と記者団に問われ、「そ
ういう単語は出ていない」と明言した。 
(時事通信) - 12月10日17時1分更新
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<ASEANプラス3>中国、各国に日本批判への理解求める
 ASEANプラス3の一連の会議で中国が小泉首相の靖国参拝へ
の批判を強めている。日中関係の悪化を懸念するASEANなどに
日本側に原因があると訴え主導権を確保する狙いがありそうだ。日
本との決定的な関係悪化は望んでいないものの日本から柔軟姿勢を
引き出すためにASEAN諸国を中国側に引きつけたいとの狙い。
(毎日新聞) - 12月10日20時36分更新
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共同体の創設を補完 東アジアサミット外相了承
 【クアラルンプール10日共同】クアラルンプールで14日に初
めて開催される東アジアサミットに参加する16カ国の外相は10
日、昼食会を開き、東アジア共同体の創設でサミットは事実上補完
的役割にとどまるとしたサミット首脳の「クアラルンプール宣言」
案を了承した。共同体創設は東南アジア諸国連合(ASEAN)プ
ラス3(日中韓)が主導することが決定済み。宣言案はサミットよ
り自国の意見が通りやすいプラス3重視を訴えた中国の意向に沿う
形で決着した。
 宣言案は14日にサミット首脳が署名、採択する。
 昼食会はサミット参加国閣僚による初顔合わせの場。日本からは
麻生太郎外相が出席した。
(共同通信) - 12月10日21時3分更新
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中国、日中韓外相会談も拒否(ASAHI)
2005年12月09日01時09分
 中国外務省の秦剛(チン・カン)副報道局長は8日の定例会見で
、マレーシアでの東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3(日
中韓)の際に開催が調整されていた日中韓3国外相会談に応じない
考えを表明した。
 秦副局長は「近日内の3国外相会談開催の計画はない」と述べた。
理由について「原因はだれもが知っていること」とし、小泉首相の
靖国神社参拝への抗議の意を改めて示した。
 秦副局長はさらに、麻生外相が記者会見で中国に「軍事予算や軍
事行動、社会や政治制度のあり方でも透明性を求めたい」と話した
ことに対し、「中国の軍事予算は透明であり、国防白書ではっきり
と状況を説明している」と反論した。
 また、「日本は(自らの)軍事上の動向について国際社会と周辺
諸国に対し真剣に説明するべきだ」とも述べた。中国は3国首脳会
談についても、靖国問題を理由に延期を表明している。
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東アジア共同体「プラス3」主導で ASEAN事務局長(ASAHI)
2005年12月06日07時54分
 東南アジア諸国連合(ASEAN)のオン・ケンヨン事務局長(
元シンガポール外交官)は5日、ジャカルタで朝日新聞記者のイン
タビューに応じ、14日にマレーシアで初めて開く東アジアサミッ
トについて、「各国首脳は自由な意見交換を望んでいる」と述べ、
まずは参加16カ国の信頼醸成の場にとどまるとの見通しを示した。
将来の「東アジア共同体」については、既存のASEANプラス3
(日中韓)の枠組みが土台になる、との見通しを示した。
 オン事務局長は「ASEANプラス3では、すでに50近い分野
で実質的な協議が行われ、この枠組みが機能することが証明されて
いる。将来にわたっても、東アジアサミットがこの枠組みにとって
かわることはない」と語った。
 ASEANプラス3の13カ国に加え、インド、オーストラリア
、ニュージーランドが参加する東アジアサミットについては、「各
国首脳と韓国・釜山でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)な
どの際に個別に話したが、多くが(宣言文などの文書を出すことよ
りも)活発な議論をすることに関心を持っていた」と話した。
 東アジアサミットをめぐっては、サミットを将来の共同体構想の
基礎とするべきだという日本などと、ASEANプラス3を重視す
る中国、ASEAN議長国のマレーシアなどの対立が続いている。
オン事務局長の発言は、ASEAN諸国が内部分裂を嫌い、中国な
どの主張に傾いていることを示唆したものだ。
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首相「靖国はもう外交カードにならない」(ASAHI)
2005年12月05日12時58分
 小泉首相は5日午前、東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス
3(日中韓)の際に開催を調整していた日中韓の首脳会談の延期を
中国政府が発表したことについて「私はいつでもいいですけどね。
向こうが延期する。それでも結構です」と語った。自らの靖国神社
参拝が影響したかどうかについては「それはもう、中国の問題だ。
それは無理だ。批判する方がおかしいと思っている」と語った。
 首相官邸で記者団に語った。さらに首相は「もう靖国は外交のカ
ードにはならない。中韓がいくら外交カードにしようとしても無理
だ。靖国以外、日中、日韓で良好な関係を重視していくべき問題は
たくさんある。一つの問題で他の関係も悪くしようという考えには
ならない。これは心の問題だ」と述べた。

米国の次の目標

米国はとうとう、ラムズフェルド国防長官などのネオコンやタカ派
が主導権を握った政権ではなくて、ライス国務長官などのリアリス
トが実権を持つ政権に復帰した。このため、ラムズフェルド長官は
来年初めに辞任するという報道もある。ラムズフェルドの代わりに
リーバーマン民主党議員にバトンタッチするという。
これは国防総省内でバーネット理論が実権を持った証拠であろう。
バーネット理論は民主党寄りのグローバリズム地経学から派生した
地政学理論であるために、信奉者に民主党関係者が多い。また、国
防長官に民主党関係者がなるために、国防総省より共和党が握る国
務省の方が再度上位に立つことになる。
そして、米ブッシュはイラクの大量破壊兵器がなかったことを認め
た。ウォルフォウィッツも大量破壊兵器がなかったなら、イラク戦
争をする必要がなかったと述べて、米政権がイラク撤退を真剣に考
え始めたように見えた。
そして、政権内部で上位に立つライス長官が、イラクからの撤退を
計画していると演説して、英豪など米同盟国も相次いで来年早期の
撤退計画を発表している。勿論、日本の自衛隊も英豪軍が撤退する
のであるから、地上軍は撤退するしかない。こうなることは2年前
に見えていた。ベトナム戦争末期に似ている。
しかし、米国ブッシュ大統領には次の目標がある。必要ならもう1
ケ国を先制攻撃するという。それは北朝鮮の可能性が高い。北朝鮮
放棄を中国に迫り、かつ韓国を中国勢力圏として、朝鮮統一後も中
国圏であると認定している。その後に、北朝鮮を金融制裁を行い、
バーシュボウ駐韓米国大使が北朝鮮は「犯罪政権」と発言して、北
朝鮮は次回6ケ国協議をボイコットした。そして、とうとう国連で
北朝鮮人権非難決議が採択された。どんどん、国際的な包囲網がで
きてきている。
全て、米国はイラク後に北朝鮮を処分する企画があることの証拠で
しょうね。その北朝鮮征伐の地上軍は中国軍になる。勿論、海空支
援は米軍が行うことになる。このため、米中は戦略的な友好関係に
現在もあるし、今後将来の民主化まで米国は中国をサポートする。
そして、中国が日本を徹底的に叩くのは、日本を叩いても米国との
関係が破壊しないと読んでいるためである。米国は逆に日中関係悪
化を心配している。
バーネット理論でも北朝鮮攻撃は十分意味があると述べている。
さあ、どうなりますか??
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米大統領:紛争などで混乱した国家復興の権限を国務長官に
【ワシントン吉田弘之】ブッシュ米大統領は14日までに、紛争な
どで混乱した国家・地域の復興・安定化支援の計画、実施、調整権
限を国務長官に与える大統領令を出した。イラクの戦後復興で、国
務省や国防総省など各省庁の調整に失敗し混乱を招いたことが背景
にあるとみられる。
 マクレラン大統領報道官が同日公表した大統領令(7日発令)に
よると、国務長官がすべての米政府機関の復興活動を統括し主導す
ると規定。復興支援が米軍と共同作業となる場合、国務長官は国防
長官と調整し、十分な協調体制を取ることが求められる。
毎日新聞 2005年12月15日 11時45分
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米国防長官が来年初辞任、後任に民主党議員・米紙報道
(nikkei)
 ラムズフェルド米国防長官が来年初めに辞任、後任に民主党のリ
ーバーマン上院議員が就く――。タブロイド紙のニューヨーク・デ
イリー・ニューズが8日掲載した観測記事が米政界で波紋を広げた。
 リーバーマン議員のイラク政策をブッシュ大統領が高く評価して
いたことに加え、同日朝にラムズフェルド長官がペース統合参謀本
部議長と同議員と3人で朝食をとったことから憶測が一気に広がった。
 同長官には、来年2月に予定する「4年ごとの国防戦略見直し
(QDR)」策定を機に勇退するとの観測が一部に残る。しかし長
官はこの日「そういう(辞任)報道は私の就任4カ月後から飛び交っ
ている。引退する計画はない」と全面否定した。
(ワシントン=加藤秀央) (10:32)
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イラク侵攻「必要なかったかも」 米前国防副長官(ASAHI)
2005年12月08日13時56分
 イラクに大量破壊兵器(WMD)の危険が全くないと確信してい
れば、ほかのやり方があったかもしれない――。ブッシュ米政権第
1期の国防副長官としてイラク戦争の必要性を強硬に主張したウォ
ルフォウィッツ世界銀行総裁が7日、ワシントン市内で講演し、結
果的に、イラク侵攻が必要だとは限らなかったという見方を示した。
 同氏は政権内の新保守主義者(ネオコン)の代表格で、十分な証
拠がないまま戦争に突入したと批判されてきた中心人物。ブッシュ
政権は、WMDがなくてもイラク戦争に踏み切った判断は正しかっ
た、との立場をとっている。
 ウォルフォウィッツ氏は、WMDの存在が完全に否定された現時
点の証拠を戦争前に得ていたとしても「危険がないと確信できたか
どうかはわからない」と前置きした上で「確信できていれば、イラ
ク国内の反体制派をもっと支援することも想定できた。我々(米軍
)がやった方法で任務を引き受ける必要はなかったかもしれない」
と語り、別の選択肢が可能だったとの見方を示した。

 侵攻の結果、2100人を超す米兵の死者が出たことについて「
高い代償を払った」と述べる一方「米国と世界はなすべきことをし
た。(この戦争に)勝つことが極めて重要だ」と語り、フセイン政
権打倒などの意義を強調した。
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必要ならもう1カ国を先制攻撃=米大統領が強硬姿勢示す
【ワシントン14日】ブッシュ米大統領はイラク国民議会選挙前日
の14日、ワシントン市内で演説を行い、イラク戦争の正当性を挑
戦的な調子で弁護するとともに、必要と考えた場合はもう1つの国
に先制攻撃を加えると言明した。
同大統領は、フセイン元イラク大統領の大量破壊兵器計画に関する
間違った情報に基づいてイラク侵攻を命じた責任を認めたものの、
テロリズムと大量破壊兵器の時代には、脅威が現実化するのを待っ
ているわけにはいかないと強調した。ブッシュ大統領はイラクの総
選挙を控え、イラク戦争支持を訴える一連の演説を行っており、
今回は4回目で最後となる。
 ブッシュ大統領は先制攻撃の標的となる国の名を挙げなかったが
、イラクの総選挙はイランとシリアに圧力を加えるだろうと述べた
。同大統領は2001年9月11日の米国での同時多発テロのあと
、先制攻撃を戦略として採用している。
 同大統領は「我々は自由の物語の中で分水嶺的な時期に差し掛か
っている。イラクは中東の手本になるだろう。イラクに自由がもた
らされればダマスカス(シリア)からテヘラン(イラン)に至るま
で、改革主義者たちにインスピレーションを与えるだろう」と力説
した。〔AFP=時事〕
2005年12月15日09時20分
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北朝鮮人権非難決議、国連総会で初採択…拉致など指摘
 【ニューヨーク=白川義和】国連総会は16日の本会議で、外国
人拉致を含む北朝鮮の人権状況を非難し、「深刻な懸念」を表明す
る決議案を賛成88、反対21、棄権60で採択した。
 国連総会本会議で、北朝鮮を名指しで非難する決議案が採択され
たのは初めて。決議に法的拘束力はないが、北朝鮮の人権状況改善
や拉致問題解決を求める国際社会の意思を示す形となった。
 決議は北朝鮮での「組織的、広範で、重大な人権侵害」が継続的
に報じられていることへの懸念を表明。「強制的失踪という形の外
国人拉致に関する未解決の諸問題」や強制収容所の存在、外国から
送還された北朝鮮脱出住民への虐待などを問題点として挙げている。
 決議案は欧州連合(EU)が策定、日本や米国などが共同提案国
となった。
 採決で、中国とロシアは反対、韓国は棄権した。発展途上国の中
には、特定の国を名指しで非難する決議への反発が強く、一定の反
対、棄権票が集まる結果となった。北朝鮮代表は採決前の発言で「
人権問題を政治的な目的に利用している」と日米欧を非難した。
 EU提案の北朝鮮人権非難決議は、ジュネーブの国連人権委員会
(53か国)で2003年から3年連続で採択されているが、事態
が改善されていないとして、EUは全191か国が集まる国連総会
に提出。人権問題を扱う総会第3委員会で11月に採択され、本会
議に送られていた。
 EUは2001年に北朝鮮と外交関係を樹立後、「人権対話」を
始めたが、進展がなく、態度を硬化。これに拉致問題を抱える日本
や北朝鮮の人権状況を問題視する米国が共同提案国として加わった。
北朝鮮は国連人権委員会の特別報告者の入国を認めず、調査を拒否
している。
(読売新聞) - 12月17日14時38分更新
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米財務省、北朝鮮の資金洗浄疑惑で日中韓などに警戒促す
 【ワシントン16日共同】米財務省は16日、北朝鮮の資金洗浄の懸
念があるとしたマカオの銀行「バンコ・デルタ・アジア」に対する
「制裁措置」に関連し、日中韓などの6カ国協議参加国や欧州諸国の
担当者などに措置発動の法的根拠を説明、主要取引銀行を失った北
朝鮮が他国の銀行に取引を持ち掛ける恐れがあるとして警戒を促し
た。米政府関係者が明らかにした。
 説明会では北朝鮮の米ドル紙幣偽造や麻薬密輸などの違法行為の
摘発を進める米司法当局が、違法行為の実態についても説明したと
みられる。制裁解除を6カ国協議再開の新たな条件にするなど北朝鮮
が強硬姿勢を示す中、措置発動について関係国の理解と協力を求め
るのが狙い。 (16:26)
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北朝鮮、6者協議難航は「米国のせい」 南北閣僚級会談(ASAHI)
2005年12月15日21時18分
 韓国・済州島で開かれている南北閣僚級会談は15日、核問題を
めぐる6者協議の難航は「米国の責任」とした北朝鮮が米国の金融
制裁に反発し、協議の早期再開に難色を示したことを韓国側が明ら
かにした。同日中に共同報道文を発表する予定だが、核問題の扱い
などをめぐって主張が食い違い、調整が難航した。
 韓国統一省によると、韓国首席代表の鄭東泳(チョン・ドンヨン
)統一相は、6者協議と金融制裁問題を切り離して早期に協議を再
開するよう訴えた。これに対して北朝鮮団長の権浩雄(クォン・ホ
ウン)・内閣責任参事は、協議に「難関」が生じたのは米国に原因
があるとして、報道文に核問題を盛り込むことに消極的な姿勢を示
した。
 一方、金剛山で来月の旧正月前後に離散家族直接再会と南北通信
網を使ったテレビ再会を実施することではほぼ一致した。ただ、韓
国が軍事当局者対話の再開や、朝鮮戦争当時の捕虜と拉致被害者の
生死確認を求めたのに対し、北朝鮮は米韓合同軍事演習の中止や南
北経済協力の拡大を訴え、平行線が続いた。
 また、北朝鮮は故金日成(キム・イルソン)主席の遺体が安置さ
れている平壌の錦繍山記念宮殿や革命烈士陵への参観を制限してい
る韓国の措置を撤廃するよう求めたが、韓国側は法律や国民感情を
理由に難色を示した。
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北朝鮮、駐韓米国大使の「犯罪政権」発言に強い不快感
 [ソウル 10日 ロイター] バーシュボウ駐韓米国大使が北
朝鮮は「犯罪政権」と発言したことをめぐって、北朝鮮政府は10
日、発言は宣戦布告であり核協議の精神を損ねるとして、強い不快
感を示した。
 同大使は7日に開いたフォーラムで、北朝鮮は兵器や麻薬の販売
に関与していると指摘。これらの行動が続く限りは、米国は北朝鮮
への制裁措置を解除しないと述べた。その際「これは犯罪政権だ」
と発言した。
 これについて、祖国平和統一委員会の報道官は「発言は看過でき
ない挑発であり、わが国の政治体制と尊厳に対する侮辱だ。第4回
6カ国協議で採択した共同声明の精神を、根本的に損なうものだ」
と非難した。
 
(ロイター) - 12月11日16時44分更新
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北朝鮮 米に金融制裁解除要求 マカオは資金源 「6カ国」を拒否
 【ソウル=久保田るり子】北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞
」は六日、米国がマカオの銀行に北朝鮮のマネーロンダリング(資
金洗浄)に関与した疑いで制裁措置をとった問題で「米国が金融制
裁解除と関連した(米朝)会談を回避している状況では、六カ国協
議の再開は不可能」との論評を掲載、早期解除を要求した。背景に
は米国の制裁措置で、北朝鮮は経済活動のほか幹部が預金を引き出
せないなど支障が出ているとされ、対北経済制裁の効果が改めて裏
付けられた形だ。
 米財務省は今年九月、香港金融界の大物が所有する「バンコ・デ
ルタ・アジア」銀行が北朝鮮の政府機関や関連企業と違法活動を行
っているとして、「マネーロンダリングの主要懸念先」に指定、米
銀との取引を禁止した。同行は容疑を否認し、北朝鮮との取引停止
を発表した。
 北朝鮮は十一月の六カ国協議で、この制裁措置解除に関する米朝
協議を要求。金桂寛外務次官が今月初め訪米の予定だったが、米国
が「説明はするが交渉はしない」としたため、金次官は訪米中止を
米側に伝えていた。
 マカオは北朝鮮にとって海外重要拠点だ。また金正日総書記の私
生活にかかる資金調達企業とされる「朝光貿易」もマカオにある。
韓国の金大中前大統領の北朝鮮への秘密送金もマカオの銀行口座が
使われた。
 とくにニセ米ドル「スーパーK」の流通拠点として知られ、今回
米国が制裁措置を取った「バンコ・デルタ・アジア」は北朝鮮と
二十年以上の取引があり、北朝鮮製の偽造紙幣の受け入れや流通に
かかわった疑いがもたれている。また、マカオの華僑資本は北朝鮮
にカジノも持っており、米国は九〇年代からマカオを北朝鮮資金の
マネーロンダリング先としてブラックリストに載せてきた。
 北朝鮮にとっては、マカオへの“圧力”は死活問題にかかわる。
金正日総書記の資金調達に関係が深いだけに、事実上の「対北経済
制裁」としての効果も高い。「米国の挑発的な制裁のもとでは六カ
国協議は再開できない」(「労働新聞」)としたのも、こうした背
景からだ。米国は十月には大量破壊兵器拡散に関与したとして北朝
鮮八企業の米国内資産の凍結措置を取っており、当面、北朝鮮への
圧力を弱めることはなさそうだ。

地球浪漫2005

101) 通勤途上の公園で出会う野良猫は、夏も冬も同じ毛皮を着ている。
冬だからといって厚着をするわけでなく、雨の日に傘をさすわけでもない。暑
さ寒さに関係なく、いつも悠然としている。ホームレスのおじさんたちの寒々
とした土気色の顔に比べると健康そのもの。我々の環境適応能力は、猫一匹に
劣る。
 「はだかの起原 不適者は生きのびる」(木楽舎, 2004年、1900円)の著者島
泰三先生は、日本の山中でニホンザルを追いかけ、マダガスカルの熱帯林でア
イアイを追いかけて生態観察を行った人類学者。餌付けされていない野生のサ
ルだけを観察する第三世代のサル学者である。
 著者が、ヒトに毛皮がないこと、裸であることを疑問として受け止めたの
は、1982年秋、千葉県・房総半島でニホンザルの群れを追いかけていたときの
ことだ。台風直撃の豪雨の中、一日中サルたちを追いかけまわし、疲れはてた
夕刻、小猿たちがいつもと変わらない様子で遊んでいる姿に衝撃を受ける。
「愕然とした。これだけの風雨も、彼らには何の影響も及ぼしていなかった。
こちらは夕方になって冷え込んできて、濡れた体はもうこれ以上無理と言って
いる。しかし、このサルの子供たちは、雨具もなく服もなく、ただ濡れるだけ
濡れているはずなのに、普段と同じか、あるいはそれ以上に風に揺れる枝の動
きを楽しんで遊んでいる。たしかに毛皮は濡れている。だが、ブルッとひとつ
身震いするだけで、水滴は飛び、また快適な毛皮である」「そこに完璧な雨具
があった。寒暖、風雪、晴雨にかかわらず、常に体を守る完璧な衣類がそこに
あった。それがサルたちの毛皮だった。なぜこんなに大切なものを、人間は
失ったのだろうか?」
以来著者は、この疑問を抱きつづけてきた。なぜ人間は無毛なのか。裸に
なって得なことは何もない。人間が裸であることは、ダーウィンの適者生存説
でも性淘汰説でも説明がつかない。
 著者は、博物学的な知識を駆使して、裸の哺乳類を分類し、分析する。
ゾウやサイやカバなど体重が1トン以上の大型哺乳類は、「餌を食べるだけ
で体温が上がってしまい、熱を外に出さないと自分の中で自分がゆだってしま
う」ので放熱手段として裸化した。
大型哺乳類以外に裸の哺乳類はほとんどいない。いても一属に一種だけの、
完全に弧絶した例外的な現象である。
コビトカバは熱帯地方の水辺の、トンネルの中に住む。ハダカオヒキコウモ
リやハダカデバネズミは、洞窟を棲家とする。
■ 著者は、現人類の祖先は、今から20万から30万年前に、東アフリカの高地
で突然変異的に裸化したとする。外敵からの安全が保証され、温度や湿度の安
定した洞窟に住みついた原人のひと群れが、何世代か、何十世代かの間に、洞
窟の特殊環境に適応して裸になったと考えてもよいだろう。
洞窟の中で、体温や水分調節が必要なくなり、徐々に毛皮は薄くなる。他の
動物の毛皮を衣服として使いはじめると、摩擦によって毛は薄くなり、ますま
す裸化は進む。洞窟という特殊な環境の中で両親が獲得した形質は、洞窟の中
で生まれる子供たちに遺伝形質として伝わる。
おそらく文化も洞窟の中で生まれた。暇と安全を手に入れたヒトは、壁に絵
を描いたり、顔に顔料を塗ったりし、言葉を発するようになる。言葉で考える
ようになり、死や将来のことに恐怖を抱きはじめる。文化の起原である。
実際、我々は洞窟が好きだ。洞窟を見ると入ってみたいと思う。洞窟に入っ
ていると気分が落ち着く。子供たちが押入れに隠れて遊ぶのも、お父さんたち
が駅前の小さなスナックに安らぎを得るのも、アフリカの洞窟に住んでいたと
きの記憶が深層意識に残っているからではないか。
■ 個体数が増え、洞窟の中が手狭になると、人間は洞窟の外に擬似的な洞
窟、雨露を凌ぐための閉鎖空間=住居を作る。こうして文明が始まる。
文明は自然に対立する、自然の反対概念である。文明とは「自然のままでは
生きていけない人間が、自然環境を改変してつくりだした人工的環境及びそれ
に関連する装置」と定義してみよう。
都市文明、農耕文明、機械文明、石油文明、自動車文明、文明の利器、文明
生活、文明という言葉と結びつく概念は、自然を人工物や人為で置き換えるこ
とを前提とする。
文明のおかげで人間は異常繁殖した。今、地球の人口は65億人。この30年と
いうもの毎年ほぼ1億人ずつ増えてきた。地球人口はすでに地球の許容限度を
超えているような気がする。
一人の人間は毎年一定量の穀物を食べるので、人口は穀物生産量に近似で
き、生産に必要な面積に換算できる。したがって、人口増加は、自然林の喪失
と表裏一体をなす。
自然林は、人間の食糧生産のための農耕地や、人間だけが生活する都市や、
パルプや薪炭や建築材のための人工林に変えられ、それまで森林に住んでいた
野生動物は餌場を失って滅んでいった。
102)「歯周病の原因として細菌がまず第一に関与しますが、これは文明生
活と深く関係しています。人類進化の黎明期に火を使うことを覚えると、食品
をすべて加熱するようになります。生の食品は栄養が未消化で硬いため食べる
時に食物を噛んでつぶしても、口の中の歯の表面に澱粉質や糖質はほとんど付
着しません。」(西原克成著「歯はヒトの魂である 歯医者の知らない根本治
療」(青灯社、2005年、1600円)
 人間が生きのびるための文明が、人間を病気にする。人間もまた動物である
からだ。人間は進化の袋小路の中であがいている裸のサルだ。
口腔医である西原先生は重力や熱などのエネルギーが、生物の進化や病気に
及ぼす影響を研究してこられた。「顔の科学」、「生物は重力が進化させた」
や「内臓が生みだす心」、「免疫、生命の渦」といった生命進化を解明した本
のみならず、「アレルギー体質は口呼吸が原因だった」、「赤ちゃんの生命の
きまり」など一般読者向けのわかりやすい医学書も多数書いておられる。
 特に現代では、口呼吸、冷たいものの飲食、過労が万病のもとであることを
強く訴えておられる。私はここ三年、西原医学を実践して冷たいものを控えて
いるおかげか風邪ひとつひいてない。
103) 私が吉祥寺の合気道多田塾月窓寺道場に入門したころ、黒帯を取った
ら厳しい禊修行に参加すると聞いていた。昨年末に初段をいただいたので、2
月に禊修行に参加した。
山岡鉄舟の晩年の高弟小倉鉄樹が東大の学生たちと大正7年にはじめた一九
会道場は、都下・東久留米市にある。
■ 修行は、まず、大きく息を吸ってから完全に吐ききる深呼吸を数回行い、
祝詞をあげる。それから、トホカミエミタメという神の名を、最初はゆっく
り、だんだんリズムに乗って、腹の底から声を振り絞って、全力で唱える。
 一回の座が4,50分で、一回終わるごとに休憩する。木曜の夜から日曜の午後
まで、28回、ひたすら同じ行をくり返した。
応援の人たちが個々の入門修行者を取り囲み、「声が小さい」、「息が吐き
きれてない」などと口頭で指導を行い、さらに平手で背中を鞭撻する。二度声
が潰れ、背中が腫れて痛くなった。
私を含めて参加者は5人。20代2人(うち女性1名)、30代1人、40代2人。外は
雪景色なのに一切暖房のない控え室で、コートを着て、靴下をはき、手袋をは
め、次の座が始まるのを、言葉もなく待っていた。暖房がないことはあまり苦
にならなかった。
8回頂いた食事は、どんぶり一杯の麦飯と、生味噌少々、沢庵二切れ、梅干
一個だけ。お茶もなく、白湯だけだったが、毎回おいしくいただいた。粗食で
も十分生きていける。
104)  日本の人工衛星はやぶさは、3年以上かけて、地球から約3億km離
れた小惑星イトカワに到達し、着陸し、帰還の途上にある。
 今年は戦後日本の宇宙開発の原点であるペンシルロケット水平発射実験から
50年。ペンシルロケットといえば、糸川英夫博士であり、糸川博士といえば旧
陸軍の戦闘機隼の設計者である。はやぶさとイトカワの出会いは、ペンシルロ
ケット50周年をみごと祝福した。
■ 4月23日にお台場の船の科学館で開かれた「東大ロケットOB及び現役懇
親会」に、OBでも現役でもないのに参加させて頂いた。 さまざまな分野の
研究者、ロケットや衛星の製造メーカー、OBと現役合わせて二百人近くが参
加した、和気あいあいとした大昼食会。
 きわめて多岐にわたる分野の研究者や技術者が、心をひとつにして取りくむ
と、宇宙開発計画は成功するということを実感した。
 糸川博士は、宇宙開発においては、さまざまな分野の専門技術をひとつにま
とめあげる「システム工学」が大切であるといっておられた。それは組織運営
あるいは技術的・業務的なまとめあげにとどまらず、参加する人間ひとりひと
りの心をひとつにすることまで含んでいたのだ。全員の心の中で一本通い合う
ものがあれば、計画はスムーズに進み、成功しやすいし、お金もあまりかから
ない。逆に、それがなければ、いくらお金をかけても成果は上がらない。
105) 通信衛星を設計し、製造し、ロケットに搭載して大気圏外に射出し、
地球から約3万6千kmの静止軌道に移動させて、そこで管制制御しながら、
衛星通信の運用を行うためには、極めて高度な技術が必要とされる。
 しかし、求められる技術水準の高さは、必ずしも顧客数や市場規模とは見合
わない。
たとえば、KDDI(旧KDD、国際電々)といえば、国際衛星通信黎明期
に行った貢献(たとえばケネディー暗殺のテレビ中継の成功)で、NHKのプ
ロジェクトXで一本の番組として取り上げられたほどであるが、今や日本の国
際通信のほとんどが光海底ケーブルによって行われているため、同社での衛星
通信の比重は極めて小さい。 
 衛星通信に比べて光海底ケーブルは、圧倒的大容量のデータを高速伝送で
き、静止衛星軌道を往復する〇・二五秒の遅延もない。衛星通信はすでに過去
の技術になってしまった感がある。
 今、衛星通信を必要としているのは、光海底ケーブルを埋設しても採算の合
わない大洋の島嶼国家、船舶や航空機などの移動体、野外・国外活動を行う軍
隊だけだといっても過言ではない。
■ 冷戦後、自衛隊の国外派遣が始まった。平成3年のペルシャ湾掃海活動、
翌年のカンボジア国連停戦監視団と、当初は国連の平和維持活動に限定されて
いたものが、平成十五年のイラク派遣で、国連活動でなくても派遣するように
なった。今後自衛隊法が改正されて国外活動が本務化し、中央即応集団の運用
が始まれば、ますます海外派遣の機会は増えることになる。
 これは、日本に、衛星通信技術を必要とするユーザーが生まれたことを意味
する。 
106)8月、千葉県御宿で開かれた鷹揚の会(読書会)の夏合宿に4年ぶりに参
加。課題図書は、小熊英二著「<民主>と<愛国> 戦後日本のナショナリズムと
公共性」(新曜社、2002年、6300円)。二五〇〇枚の大著である本著は、終戦直
後から、戦後教育、六〇年安保、全共闘運動、ベ平連に至るまでの、戦後日本
で活躍した思想家たちの発言をていねいに整理し、日本のナショナリズムを考
えるための基本文献となっている。
 著者は、ナショナリズムの定義を、「心情の表現手段として『民族』や『国
家』という言葉が採用された状況」とするが、これではちょっとあいまいすぎ
て議論が成り立たない。
 ナショナリズムが近代以降に果たした役割をきちんと評価して、「ナショナ
リズムとは、国家(nation)と民族(nation)を同じnationという言葉で表現する
ことにより、国民(nation)という新たな複合概念を作り出し、そこに生活する
生身の人間たちに、民族と国家は運命をひとつにする運命共同体であるいう国
民教育を施して、動員し、総力戦を闘うための思想」と定義したい。
 戦前の日本でも、ナショナリズムは総力戦の思想だった。日本の場合、国家
+民族=国民という擬制の上に、さらに、「国民は天皇の赤子である」とする
神話が広められた。これは、国家機構の最底辺の臣民が、最上部の主権者を親
よりも大切に慕う、超国家的な精神の短絡帰還回路をもつ「ターボ・ナショナ
リズム」であり、日本の強さの秘訣であった。二・二六事件の青年将校たちが
決起したのも、神風特攻が実現したのも、このためだ。
■ 戦後この思想は完全に否定され、ナショナリズムの思想的混迷は今も続
く。
混迷の原因は、1 前主権者である天皇が一切責任を取らなかった。天皇が
自らの責任を明確にしないまま、うやむやのうちに主権者の座から消え去っ
た。一方、国民主権は絵空事だという暗黙の了解があるため、今も主権者(責
任者)が誰かあいまいなまま、責任不在の状態が続いている。2 占領下でア
メリカに強要された日本国憲法を、なんら議論も検討もしないまま受け入れた
ように、統治機構や主権について主体的に考えない癖がついた。主体性を失っ
たままの占領下の意識が今なお続いている。3 アメリカが占領下で押し付け
た憲法9条と自衛隊の表面的矛盾がイデオロギー対立を引き起こした。この話
題はタブーとなり、冷戦が終わった今もなお思考停止の状態が日本の言論界を
支配し続けていることにある。
■ 憲法条文と表面上は矛盾する自衛隊イラク派遣は、アメリカの強い要請で
実現した。おかげで、矛盾の原因はアメリカにあったことが明らかになった。
我々は憲法と現実の矛盾に悩む必要はない。悩むべきはもっと別の次元にあ
る。
107) 5月、神奈川近代文学館の「生誕80年・没後35年記念展 三島由紀夫
ドラマティック・ヒストリー」展にいく。七月、田中千世子監督の映画「みや
び 三島由紀夫」を観る。三島の死は、日本的精神の滅びの象徴だったか。
10月、今年7月にオープンした札幌のモエレ沼公園を散策する。イサム・ノ
グチの最後の作品。190Haの公園内を歩きながら、園内の景色を見ているだ
けで心が和む。聖地である。
 11月、三鷹天命反転住宅の竣工を祝った荒川修作の四夜連続トークを聴く。
また、現地内覧会にも参加。荒川は「位相的に生きる」場というが、外の気配
をひしひしと感じられる空間である。千代女の「朝顔に釣瓶とられてもらい
水」のような驚きが、日常茶飯事となる生活空間。

北朝鮮の今後

北朝鮮と米国の精神戦が続いている。しかし、北朝鮮の交渉手法に
米国はだんだん慣れてきて、北朝鮮の交渉スタイルに対応する方法
を身に付けてきた。
このため、米国国内でも北朝鮮との交渉は無意味であるというチェ
イニーだけではなく、現実主義のライスまで強硬派になってしまい
、米政権内に交渉派が居なくなるという状態で交渉役のデトラニま
で退任する事態になっている。
しかし、北朝鮮は米政権内での動きを見ないで無謀にも金永春総参
謀長は「米国の敵視政策が続く限り、軍事的抑止力をさらに強化す
る」と述べ、米国との対決姿勢を鮮明にした。この意味を米国から
見ると北朝鮮は交渉ではなくて対抗するように見えるために、益々
米政権内で強硬派が力を持つことになる。米国は偽ドル札や麻薬な
どを製造する北朝鮮を犯罪政権と宣言している。また、北朝鮮の世
襲についても古代王朝を見るような感覚になっている。どうも、ま
ともではないと見ている。
それに対して、今までは民主党は交渉派であったが、民主党的なバ
ーネットまで北朝鮮を崩壊させないといけないと主張しているため
、米政治では規定概念として北朝鮮を崩壊させ朝鮮統一にすること
になってしまった。そのようなシナリオができている。このシナリ
オで中国との連携を米国は北朝鮮崩壊まで持続するようである。
中国は北朝鮮の金王朝政権を残した方が得と考えているために、な
んとか米国と北朝鮮の間を繋ごうとしているが、北朝鮮との交渉は
できないと見ている米政権トップ層はそう簡単に中国の説得を受け
入れない。前回6ケ国協議で中国の説得を聞いたが、それが大きな
失敗であると米政権では結論付けている。
北朝鮮は中国と韓国からの交換条件はあるものの援助で食いつなぐ
ことができるので、米国や世界を相手にしなくてもいいと見ている。
それと、米国は当分イラク戦争に手を取られて、北朝鮮への介入は
ないと中国と北朝鮮当局者は見ている。そして、経済復興資金は日
本からの賠償金で可能と考えている。このため日本の交渉条件を受
け入れて、占領中の賠償、日本人拉致問題を平行協議することにな
った。
しかし、この交渉に中国が日本との関係悪化で関与できなくなり、
中国としては、保護国である北朝鮮が日本と自由に交渉する事態を
心配して、日本との交渉を邪魔し始めた。その代わりに北朝鮮と米
国との交渉にシフトさせようとしている。米国も中国に北朝鮮を諦
めさそうとしているために、日朝交渉が順調に進むのは米国のシナ
リオにない展開になり、あまり良くないと見ている。米中の思惑が
一致している。それと、米国は日中関係の悪化もよくないことと見
ている。
日朝交渉は、日本人拉致問題の解明と拉致事件担当者の処刑がない
限り、日本からの賠償金は手に入れることはできない。そして、こ
の拉致事件を起こしたのが金正日委員長その人であるから北朝鮮と
しては交渉しても賠償金を手に入れることは無理なのです。このよ
うに米中日朝の4ケ国関係に注目する必要がある。
どうなるか、それは明確で中国が北朝鮮を見切れば、それで北朝鮮
は終わりである。中国がいつ見切るかでしょうね。
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北朝鮮の違法行為に制裁示唆・米国務省高官(nikkei)
 【ワシントン=秋田浩之】米国務省高官は29日、日本経済新聞に
対し、北朝鮮が関与しているとされるニセ札製造などの違法行為の
摘発を進めるとともに、場合によっては実質的な制裁措置も辞さな
い方針を明らかにした。日韓中とも連携をとる考えで、先週、関係
国への説明会を開いたという。一方、日中関係の悪化は米国にとっ
てもマイナスと強調、改善を促した。
 米政府は今秋、北朝鮮のマネーロンダリング(資金洗浄)に絡ん
で、マカオの銀行への実質的な制裁を決めた。北朝鮮は強く抗議し
、第5回6カ国協議への復帰を拒否している。同高官の発言は北朝鮮
側の抗議には応じず、違法行為が発覚すれば実質的な制裁を拡大す
る可能性を示唆したもので、北朝鮮問題がさらに緊迫する可能性が
ある。 (07:01)
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証拠示せば国内法で処罰も 北朝鮮、金融制裁で打開策
 【北京30日共同】6カ国協議の首席代表である中国の武大偉外
務次官と北朝鮮の金桂冠外務次官が21、22両日に中国瀋陽市で
非公式に接触、米国の北朝鮮に対する金融制裁について、金次官が
「米国が証拠を示し違法行為が明白なら、わが国の国内法で(関係
者を)処罰することも検討し得る」と述べ、一種の打開案を示した
ことが30日分かった。複数の協議筋が明らかにした。
 「国内法での処罰」は、末端の機関や企業などに責任を負わせ収
拾を図ろうという意味合いとみられる。中国はこれを受け、来年1
月中旬以降の第5回協議再開を目指し、金融制裁に関する北朝鮮と
の協議を拒否している米国への働きかけを強めることが予想される
が、米中朝3カ国による非公式協議開催を求める声も出ている。
(共同通信) - 12月30日17時56分更新
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北朝鮮担当の米特使、来月初めに退任へ(nikkei)
 【ワシントン=秋田浩之】北朝鮮の核開発問題を巡る6カ国協議
で米次席代表を務めるジョセフ・デトラニ朝鮮半島和平担当特使は
来月3日付で退任する。米政府当局者が28日、明らかにした。同氏は
米朝接触の責任者でもあり、米政府内の強硬派との意見対立が一因
との見方もある。
 デトラニ氏は各省庁の情報部門を統括するネグロポンテ国家情報
長官のスタッフに横滑りする方向という。同当局者は退任の理由に
ついては明らかにしていないが、北朝鮮政策の変更を意味するわけ
ではないとの見解を示した。 (07:01)
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米との対決姿勢鮮明に 北朝鮮の軍高官
 【北京23日共同】北朝鮮の朝鮮中央放送によると、朝鮮人民軍
の金永春総参謀長は23日、平壌で行われた金正日総書記の軍最高
司令官就任14周年の記念大会の演説で、「米国の敵視政策が続く
限り、軍事的抑止力をさらに強化する」と述べ、米国との対決姿勢
を鮮明にした。
 金総参謀長は「米国は対話(6カ国協議)の裏で、わが国の制度
転覆を狙い、(金融)制裁と人権問題にしがみついている」と非難
、「自衛的な戦争抑止力を数千倍に強化しなければならない」と核
開発継続の意思も強調した。対日関係への言及はなく、大会への金
総書記の出席も報じられなかった。
(共同通信) - 12月23日21時47分更新
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中国側、日本の抗議に「強い憤り」 総領事館員の自殺で(ASAHI)
2005年12月29日20時17分
 上海の日本総領事館の男性館員の自殺をめぐり日本外務省が中国
政府に抗議した問題で、中国外務省の秦剛(チン・カン)副報道局
長は29日の会見で、「中国のイメージを著しく損なう行為に強烈
な憤りを表明する」と述べ、日本側の対応を強く批判した。
 秦副局長は、日本外務省が、中国政府に事実関係の究明と抗議を
繰り返したが「納得のできる反応はない」と説明していることにつ
いて、「中日双方でこの件の性質についてはすでに結論が出ている
」と反論した。
 日本側が「背景には中国公安当局関係者によるとみられる遺憾な
行為があった」と指摘していることについても、「(自殺から)1
年半もたってから日本側が再び取り上げ、自殺と中国当局者を関係
づけるのは、別の意図があることが明らかだ」と述べた。
 会見終了後、秦副局長は、一部記者団の「すでに出た結論とは何
か」との質問に対し、「自殺ということだ」と述べるにとどまり、
背景については一切触れなかった。
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日朝協議の再開、6者協議と無関係 北朝鮮代表(ASAHI)
2005年12月27日13時15分
 日朝両国の政府間交渉で北朝鮮代表を務めた宋日昊(ソン・イル
ホ)外務省アジア局副局長は帰国前の27日午前、北京国際空港で
記者団に対し、北朝鮮の核問題をめぐる6者協議の開催とは関係な
く、日朝政府間での協議を開くとの考えを示した。宋副局長は「(
日朝国交正常化交渉を)1月中に再開することについて、肯定的に
感じている」とも語った。
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北朝鮮、6者協議離脱の可能性 米が北朝鮮系企業に制裁(ASAHI)
2005年12月27日10時25分
 ロシアのインタファクス通信は26日、中国・上海の北朝鮮外交
筋の話として、米国が北朝鮮系の企業に科した「制裁」を解除しな
い場合、同国は核問題をめぐる6者協議から離脱する可能性を排除
していない、と伝えた。
 北朝鮮外交筋は「6者協議の継続を願うが、この交渉での我々の
立場に財務的、経済的な影響力を通じて圧力を加えている米国に屈
することはできない」と強調した。「(6者協議の)交渉がつぶれ
れば、責任は全面的に米国にある」とも語ったという。
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偽ドル札はどのように作られたのか [朝鮮日報]
 国内の貨幤専門家たちは、超精巧な偽造100ドル紙幤である「スー
パーノート」は、極めて本物の紙幣に近く、北朝鮮が製造した可能
性がかなり高いと見ている。今年4月には、国内でもスーパーノート
が大量に発見されたことがある。
◆ 紙質の類似性は90%レベル
 米国が北朝鮮製と推定するスーパーノートの紙質は、本物そっく
りのものだ。 偽造紙幣鑑定専門家である外換(ウェファン)銀行の
ソ・テソク部長は、「米ドル紙幣の成分内容は1級秘密であり、成分
分析そのものが不可能なので、紙の材質を100%まったくにすること
は不可能」とし、「しかし、偽造紙幤に使われている材料は触感な
どでは区分がつかないほど似ており、現在は90%程度といえるほど
本物のドル紙幣に近い水準まで来ている」と述べた。
 韓国銀行の貨幤製造関係者によると、ドル貨幤の用紙は米国のク
レーン(Crane)社が独占供給している。単なる紙ではなく、木綿に
亜麻(flax)を交ぜて製造し、すべての販売を米国政府が監督する。
この用紙とまったく同じものは他の国に売らないという。このよう
な用紙が北朝鮮に流入する可能性はほとんどないと言える。
 専門家たちは、ドル貨幤用紙は、木綿と亜麻の以外に、木と鉄な
どおよそ30種類の成分を交ぜて作っていると分析している。スーパ
ーノートの場合は13種類から15種類の成分で作られているといわれ
る。
◆ スイス製特殊インクの北朝鮮への流入が確認
 韓国銀行のある貨幤専門家は、「米ドルの印刷に使われている色
変換インク(見る角度によって色が変わる特殊インク)は、スイス
のシックパ(Sicpa)社が全世界を対象に独占販売している」とし、「
北朝鮮紙幣の一部に、このインクが使われていることから、この会
社のインクが北朝鮮に流入しているのは間違いない」と述べた。ス
ーパーノートにも、こうしたタイプのインクが使われているが、北
朝鮮紙幣に使われているインクと同じものかどうかは確認されてい
ない」という。
 この会社のインクは、実際に全世界でおよそ90か国が利用してい
るという。ただし、国家別に少しずつ色に差があるので、北朝鮮が
導入したインクが、ドルに使われたインクとまったく同じかどうか
は、はっきりしていない。北朝鮮のドル偽造ブリーフィングの結果
を聞いた関係者たちは、「100ドルの裏の一部分の色がちょっと違う
」と述べている。これを考慮すれば、北朝鮮が米ドルの発行に使わ
れるものとまったく同じインクを入手することはできなかったもの
と見られる。
◆ 政府の立場は「まだ証拠不足」
 外換銀行のソ部長は、「北朝鮮がスーパーノートクラスの偽造紙
幤の供給地として疑われている根拠のなかで一つは、世界最高水準
のドル偽造紙幤が中国の延辺・吉林省周辺で集中的に出回っている
こと」と述べ、「この地域から見つかった偽造紙幤は、よほどすぐ
れた専門家でなければ、区別できないほど本当に似ている。一般の
組織ではこれほど精巧な偽造紙幤を生産するのは不可能」と述べた。
 しかし、韓国政府はこれまで浮かび上がったこの種の情報では、
北朝鮮をドル偽造国だと断定することはできないという立場だ。心
証はあるが、北朝鮮が「証拠を見せろ」と反発すれば、反論できる
ほど十分ではないということだ。
 したがって、韓国政府は米国側がより確かな資料を公開してくれ
ることを期待している。ややもすれば、はっきりしたこともないま
ま、いたちごっこになって長期化する場合、核問題解決への負担が
大きくなるためだ。その意味で中国側のマカオ銀行に対する調査結
果が早期に出ることを望んでいる。
朝鮮日報
2005年12月23日16時57分
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北朝鮮支援の縮小を要求 米、韓国に不満表明
 【ワシントン21日共同】ゼーリック米国務副長官が訪米した韓
国の鄭東泳統一相と20日に会談した際、韓国政府による北朝鮮へ
の経済支援が核問題解決に役立っていないとして不満を表明、支援
を縮小するよう要求していたことが21日、分かった。会談内容を
知る米韓関係筋が明らかにした。
 米政府は北朝鮮への金融制裁などを通じて経済的圧力を強め、核
問題で北朝鮮側の譲歩を迫る戦術だが、韓国は金正日体制崩壊にも
つながりかねない北朝鮮への圧力強化に消極的で、混乱を避けるた
めにも経済支援が必要との立場。米政府が韓国のこうした姿勢に直
接、不満を示したのは初めてとみられる。北朝鮮をめぐる米韓の溝
が浮き彫りとなり、韓国側は対応に苦慮しそうだ。
(共同通信) - 12月22日9時22分更新

2006年以後の予想

昨日に引き続き、2006年以後の予想を続いて行う。T&Fより
T、F:あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い
    します。
T:昨日は中国や世界の今後に少しふれたが、この今後の予測を中
  心にお願いします。
F:中国は2005年、日中関係の悪化を経済関係にも波及させ悪
  化しようと日本企業を叩いた結果が2006年に出てくる。
  日本企業だけではなくて、米国企業も欧州企業も中国への投資
  を大幅に減らすことになる。政治を優先したことによる当然の
  結果です。
  投資の激減とバブル崩壊が同時に起きるから、中国は経済的な
  破綻を起こすはずです。この経済破綻が政治混乱を引き起こす
  ことになる。2007年になると、民主化を要求する上海暴動
  など政治闘争が激化することになる。そして、2017年まで
  中国は当分の間、混乱が続く。このため、周辺諸国は中国から
  の難民に警戒することになる。日本の沖縄の離島でも中国から
  の武装難民に対応した備えをする必要がある。このように自衛
  隊の部隊再編が必要になっている。
  また、北朝鮮との交渉を日本は開始したが、良い結果はない。
  このため会議は決裂する。6ケ国協議も北朝鮮は決裂状態にし
  ていますから、米国と北朝鮮の睨み合いという膠着状態になる
  はず。本年ではなく、2007年に米国は行動を起こすと見え
  る。そして、それに怒って北朝鮮は日本に向けてロケットを発
  射して、日朝事変に発展する。国際世論は北朝鮮を非難して、
  中国がとうとう北朝鮮を見切り、クーデターが成功する。そし
  て朝鮮の統一になる。
  今年、米国はあまり世界情勢に関与しなくなる。イラク撤退作
  戦で手が一杯で、その他の紛争にはあまり関与できない。アジ
  アも同じで日本が主役を演じる必要性が増している。欧州も米
  国の変わりはできない。イラクで負けて、テロ戦争を米国がし
  ないために減る。欧米のテロ戦争理由として使われるアルカイ
  ダも用がないために沈静化するでしょうね。海賊も取締りの仕
  組みができると沈静化したように世界的な取り組みでテロが容
  易にできなくなる。
  しかし、中東民主化により選挙で原理主義者の政権ができるた
  めにイスラエルと中東諸国の紛争がゲリラ戦から正規戦になる
  可能性もあり、油断ができない。
T:日本の人口減少や経済はどうなりますか??
F:人口減少は予測ではなくて、確実な事実ですから、その対応策
  は早急に取るべきです。移民でも中国からの養子でも確実に人
  口減少を緩和する政策と若い人たちが子供を生むことが経済的
  に得をするという税制や年金支給の面での優遇が必要でしょう
  ね。
  当面の日本経済は絶好調でしょうね。日本の神道精神が発揮さ
  れている環境面での製品自動車、燃料電池、太陽光発電と機械
  を人間と同じように感じて恐れないためロボット、自立機械や
  先端技術であるBD、一眼デジタルカメラなどの分野で大きな
  成果を齎すでしょうね。しかし、デジタルカメラやDVD、薄
  型TVなどの分野は韓国、台湾、中国にその主導権を奪われる
  ことになる。
  欧米などが軍事転用で優位に立つセキュリティ分野でも凶悪犯
  罪が多くなった日本でも画期的なサービスを始めるように感じ
  る。日本的な木目の細かさが生み出すサービスや物は世界の一
  般的な観点とは違い、非常に優秀なものであると感じる。この
  木目細かいサービスの成功例が無印良品の欧州での展開でしょ
  うね。
T:今年は自民党総裁選挙の年ですね。この選挙を占ってください。
F:T君、私は占い師ではないですよ。確実な未来を見るだけで、
  他の予想屋や占い師とは違いますよ。まあ、いいや。
  ずばり、福田さんでしょうね。小泉首相のやり方に批判的な人
  たちは、福田さんに期待している。森さんも同様です。このた
  め、対抗上小泉さんも自分の派閥を持つことになると見ている。
  福田さんは、中国政策、アジア政策では、靖国神社を参拝しな
  いためにやり易いことになるのですが、次の参議院選挙では敗
  退するでしょうね。民主党の前原さんの方が右寄りで明確な分
  有利になる。日本の政治でもリベラルは評判がよくない。構造
  改革派で対外政策では右寄りでないと票を取れない。都市部の
  ニートやフリータの支持で小泉さんは勝った。この都市部の人
  口は今後も増えるが、農村人口はどんどん減り続ける。このた
  め、相対的に都市圏優先の政治が取られることになる。そうす
  ると、どうしても都市住民にアピールする政党が政権を担うこ
  とになる。
  その点福田さんは農村部の選挙で出てきている。すると農村に
  気兼ねして構造改革が中途半端になる。そこを前原さんに衝か
  れると弱いことになる。そこいら辺りが福田さんの限界でしょ
  うね。民主党にもまだチャンスは大いにあると思う。
  福田さんでは限界があることを自民党も気が付いて、安部さん
  を次の首相にすると見える。
T:去年、ハルマゲドンのお話があったのですが、それはどうなり
  ましたか?
F:米ブッシュは中東を民主化して、民衆が好きなイスラム原理主
  義者(聖職者)を政権に就けて、この政権がイスラエルを核攻
  撃するような政治革命を起こしている。これはキリスト原理主
  義者・福音派が希望するハルマゲドンであり、その路線を走っ
  ている。イスラエルと繋がるネオコンを切って、中東民主化を
  本気で考えている。
  その結果、イランやイラクでやった選挙でイスラム原理主義者
  でかつ、反米主義者が政権を取っている。ブッシュはハルマゲ
  ドンを起こしたいのですよ。しかし、イスラエルは今、米国か
  ら離れて、イスラム穏健派政権と手を繋ぐ必要に目覚めたので
  す。ガザから撤退したことでそれが分かる。米とイスラエルの
  精神戦が見ものですね。イスラエルが米国から離れれば、ハル
  マゲドンは防げる可能性がある。シャロンとペレスのコンビが
  どうブッシュと福音派の意図を外すかでしょうね。これに日本
  も真剣に応援するべきである。しないとハルマゲドンの可能性
  が出てくる。

2005年の回想

毎年恒例の2005年の回想をしましょう。  T&Fより
T:今年はイラク戦争の限界を見せ付けた年でしたね。イラク情勢
  はどう思いますか??
F:イラクの選挙で選出されたのは、イランと近いシーア派宗教集
  団で50%以上の議席を占めている。米軍が居なくなったら、
  反米のイランと同盟関係になり、米国やイスラエルにとっては
  いいことではないが、米国は中東民主化といっていたので、そ
  れを否定できない。これに危機感を持ったのがイスラエルのシ
  ャロン首相で、中道寄りに国の政策をシフトし始めた。米国の
  ネオコンが完全に失脚して、米国内に反ユダヤ的な色調が出て
  きたのがシャロンなどの現実主義者には痛いはず。ペレスがこ
  のシャロンと連合を組み、今後イスラエルを中道にするのでし
  ょうね。米政権の権力闘争に負けたことによるイスラエルの転
  身でしょうね。しかし、イスラエルは苦難の道に入った感じが
  する。米国の中東民主化はイスラエルにとっては大きな試練に
  なる。
T:中国との軋轢について、どう思いますか??
F:小泉首相は、靖国神社参拝で中国の反日感情に火をつけて、そ
  の反日感情を見た日本人が、反中感情になり、左翼が主張する
  憲法改正反対を阻止できるというストーリーを描いている。
  憲法改正で一番したいことは、自衛隊に軍隊の地位を与えて 
  かつ、海外派遣ができることでしょうね。
  事実、中国の軍事拡張はすごい。潜水艦能力も増強している。
  中距離ミサイルも台湾向けだけで600基以上あり、これに日
  本向けにも600基程度を準備している。
  中国の軍事拡張で、日本からの支援がないと台湾の独立を守れ
  ない。台湾の国民は中国からの軍事圧力で、民進党から国民党
  に支持を変えている。この原因が日本や米国からの助けがない
  状態では中国軍の攻撃を阻止できないと見るからです。日本が
  国家として自立するためにも、憲法の改正は必要でしょうね。
  中国はそのような意図があることに気がついて、経済関係も悪
  化させて、日本に反省を求めようとしたが、これは日本からの
  投資をさせないことになり、中国経済をおかしくすると思うが
  どうでしょうね。
T:北朝鮮との関係はどうですか??
F:米国は今まで黙認していた北朝鮮の偽ドル札や麻薬製造などの
  違法行為を問題にし始めている。北朝鮮との交渉には見返りを
  期待されているが、その資金を米国は出す気がない。日本しか
  多額の資金を出そうとしない。中国や韓国でも年間20億ドル
  程度ですから、大したことがない。2500億円程度。それも
  見返りを期待したものである。中国は北朝鮮のタングステンや
  ウランとの交換ですから無条件ではない。見返りなしでの日本
  の賠償額は10兆円と桁や意図が違う。しかし、北朝鮮は日本
  人拉致者全員を返還しないと、この金を貰えない。ODAは
  小泉さんからしても北朝鮮に持っていきたい。資金の10%以
  上が政治資金として還流する仕組みがあり、小泉派を形成でき
  る。
T:日本の景気が上向いてきましたが、どう思いますか??
F:ビジネスは相当に持ち直してきたようですね。東京や名古屋な
  どは土地価格も上昇して、かつビル転売の価格の上がっている。
  不動産投資会社リートの影響でしょうね。しかし、マンション
  は姉歯事件でどうなりますかね。来年の課題でしょうね。
  もう1つ、心配なのが人口減少になったことですね。年金の支
  給額を子供の数で差をつけるか、去年も同じことを言いましたが
  、問題があるイスラエルから脱出するユダヤ人を日本に好条件
  で呼んだらいい。
T:日本の構造改革について、どうですか??
F:あまり、日本の問題をこの頃、取り上げていない。海外情勢の
  動きの方が早いので、そちらに気が取られている内に、日本の
  構造改革が進んでいるようです。そして今、最後の難関になっ
  ているのでしょうね。財政バランスを取るためには、まだまだ
  金を使わない農業の活性化や都市の整備が必要であると思うが。
T:いろいろな事件がありましたが、どう思います。
F:戦後の日本で一番いけないことは、精神面での日本文化がなく
  なったことでしょうね。国を愛する心や滅私奉公という気持ち
  や凛とした姿勢などの日本文化(論語の姿勢)の良さを捨てて
  しまったことで、悪質な事件が多くなっている。特にマブチモ
  ータ親子強盗殺人事件の犯人たちは日本人ではないですね。
  日本人の精神荒廃がここまで来たかと感じましたね。
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対中感情さらに悪化

「親しみ」32%で過去最低
韓流ブームにも陰り
内閣府の外交に関する世論調査  世界日報掲載許可
 内閣府が二十四日発表した「外交に関する世論調査」によると、
中国に「親しみを感じる」と答えた人は前年比5・2ポイント減の
32・4%で、この質問を始めた一九七八年以来、最低を記録した。
「親しみを感じない」とする人も5・2ポイント増の63・4%で
過去最高。小泉純一郎首相の靖国神社参拝に対する中国政府の反発
や、四月の反日暴動などが影響し、中国に対する国民感情が急速に
悪化していることが浮き彫りになった。
 調査は毎年行っており、今回は十月六日から十六日まで全国の成
年男女三千人を対象に個別面接方式で実施。有効回答率は58・5
%だった。
 韓国に親しみを「感じる」とする人は過去最高だった昨年から
5・6ポイント減少して51・1%。一方「感じない」と答えた人
は5・1ポイント増の44・3%となり、韓国ドラマなどによる「
韓流ブーム」にも陰りが見え始めた格好だ。
 また、日中、日韓関係が「良好」と答えた人は、日中が8・4ポ
イント減って19・7%、日韓は15・9ポイントの大幅減で
39・6%。逆に「良好ではない」は、日中が71・2%、日韓は
50・9%で、昨年と比べるとそれぞれ10・2ポイント、16・0
ポイントの大幅増となった。
 一方、北朝鮮に対する関心(複数回答)については、「拉致問題
」が0・7ポイント減の87・6%でこの質問が始まって以来四年
連続トップ。以下「核開発」(63・9%)、「ミサイル」
(52・2%)が続き、これらの順位は昨年と変わらなかった。
 このほか、日本の国連安保理常任理事国入りに賛成と答えた人が
5・7ポイント増の68・3%で三年ぶりに上昇に転じた。国連へ
の財政負担に関しては「発言力に見合ったものに改めるべきだ」が
37・5%で最も多く、「現状通りでよい」は32・3%だった。
Kenzo Yamaoka
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中国、潜水艦戦力を増強 米議会報告書「米海軍の主要な脅威」

 【ワシントン=古森義久・産経新聞】米国議会調査局は二十四
日までに中国の海軍力増強の実態を詳述した報告書を作成した。議
会の政策指針となる同報告書は米海軍が中国の海軍増強を脅威とみ
ていることを明らかにし、特に中国が潜在敵の海軍艦艇を攻撃する
各種ミサイルを大幅に強化する一方、潜水艦戦力では「世界でも最
も野心的な拡張」を進めているとして議会に防衛政策面での対応措
置の必要を訴えた。
 「中国の海軍近代化=米国の海軍力への意味」と題された約八十
ページの同報告書は上下両院議員の法案審議の資料として作成され
た。報告書は国防予算を審議する同議会にとっても中国の軍拡は主
要な懸念の対象になったと冒頭で明記、ジョン・ウォーナー上院軍
事委員長が「米海軍にとって中国海軍はチャレンジ」と定義づけた
うえ、米海軍のベルン・クラーク作戦部長が同軍事委員会に「米海
軍にとっての主要な脅威は中国海軍であり、その動向には重大な懸
念を抱いている」と報告したと記している。
 報告書は米国にとって最も意味の大きい中国海軍関連パワーの近
代化としてまず、「台湾や日本の目標に照準を合わせて中国側に配
備された合計七百三十基ものCSS6、CSS7などの中・短距離
弾道ミサイルの多くが複数機動型個別誘導弾頭(MaRV)ミサイ
ルへと改造されつつあり、将来は海上の艦艇をも攻撃できるように
なる」と警告した。
 さらに中国が新配備あるいは開発している海軍関連攻撃兵器とし
て(1)地上攻撃巡航ミサイル(2)対艦巡航ミサイル(3)地対
空ミサイル(4)艦艇攻撃の航空戦力-などを指摘した。
 同報告書は中国の潜水艦戦力の増強が米側に深刻な懸念を生んで
いるとして、中国がいま同時に少なくとも五種類の潜水艦を取得し
ようとしていることは「世界でも最も野心的な潜水艦拡張の努力」
と判定し、特に最近の動きとして「中国は九〇年代に購入したロシ
ア製のキロ級潜水艦四隻に加え、さらに同八隻を取得中」と述べて
いる。そのほかに新規に開発中の潜水艦として(1)戦略弾道ミサ
イル原潜094型(2)攻撃型原潜093型(3)攻撃型通常潜水
艦041型「元」級(4)攻撃型通常潜水艦039型「宋」級-の
四種があげられた。
 報告書はさらに既存の潜水艦として最近、日本領海に侵入した攻
撃型原潜「漢」級や戦略弾道ミサイル原潜「夏」級、旧式の「明」
級、ロメオ級などをあげ、中国は世界の「潜水艦大国」を目指し、
このままだと二〇二〇年までに三十五隻の新潜水艦を取得して、合
計五十隻以上の新鋭攻撃型潜水艦を配備、米海軍を圧倒すると予測
した。
 報告書は中国海軍がロシア製のソブレメンヌイ級駆逐艦や敵艦の
電子機能を破壊する電子爆弾の配備をも進めているとしてその軍拡
の異常なまでの規模と速度を強調し、その狙いは「台湾攻撃の際の
米軍介入の阻止」「アジア地域での軍事主導権の主張」「中国の海
洋領土、経済、エネルギー権益の防衛」などだとしている。

中国脅威論の弁解

2206.日中経済関係も悪化で日本と中国の間で、経済関係もお
かしくなっていると指摘した。24日の日経新聞にも政冷経涼にな
っていると出ている。日中情報通信担当相会合を突然、延期したと
の知らせが来たようだ。このように中国は政治政策で動くのであり、
経済主導では動かない。政経は分離していない。不分離である。
しかし、ASEANや日本からの中国脅威論には、反論せざるを得
ない状況になっている。今度の東アジアサミットでも日本の小泉首
相の靖国神社参拝問題を中国は関係悪化の原因と強調したが、韓国
以外、そのことで日本を非難したASEAN諸国はなかった。以前
に批判したリー・シェロン・シンガポール首相も小泉さんを非難し
ていない。
この原因が中国の軍事拡大に伴う脅威論で、これは日本が各国と脅
威論を共有した結果である。このように今度の東アジア・サミット
で、中国の日本異質論は敗れ去ったのですが、中国のメンツ上日本
をさらに追い詰めたいのでしょうね。
今まで経済的な発展の原因である日本からの投資を拒否し、日本製
品や日本との共同研究を止める方向に中国は一歩踏み出したようで
ある。
しかし、前回言葉たらずでしたが、いろいろな人から日本からの輸
出も止めると主張しているのですかと聞かれるが、違うと答えてい
る。あくまでも、中国市場を開拓するために、中国で工場を立てて
、その製品を中国市場で売ることを目的としている投資をとめるべ
きと主張しているのです。
ユニクロなど日本に中国製品を輸入するために中国から安い商品を
買っている場合や日本から製品を中国に輸出している場合は違う。
これはどんどんやればいいのです。日本のためになっているからで
す。中国本土に多額の投資をしていないために比較的安全である。
ASEAN諸国の脅威論支持のため、中国は脅威論に反論する必要
になっていた。それと日本企業が中国から撤退すると中国発展の原
資がなくなる。この両面で中国は対応策をとり始めた。
その反論の最初が、「平和発展白書」である。軍事拡大で将来強大
になっても、覇権を唱えないと強調している。軍事拡張でも経済発
展でも中国は周りの国と問題を起こさないとしているが、天然ガス
問題で日本と問題を起こしている。また、前原民主党代表の訪中で
示したように親中政治家としか中国の首脳は会わないこともハッキ
リした。
2番目に中国軍は米国に勝つと宣言した人民解放軍最強派のひとり
、熊光楷参謀総長が失脚したようだ。また米国への核先制攻撃を辞
さずと発言の朱成虎将軍に罰則を適用したようだ。胡主席は米国と
友好関係を維持したいので不都合な将軍を切った。それと日米の中
国脅威論はこの2人の発言から強調されたのです。
3番目に中国外交学院の呉建民院長は21日、新華社のウェブサイ
トで「世代を超えた中日友好の確立こそ私たちの目標だ」と指摘、
中国国内での反日感情の高まりに強い懸念を表明し、日中関係の重
要性を訴えた。新華社は中国共産党の新聞であり、党としては、日
本の政治は悪いが、日本企業や国民とは友好関係にあると言いたい
のでしょうね。
4番目に問題の中国浙江省であるが、不合格を取り消せないために
、問題を緩和するためにソニーの問題対応が的確であるという発言
をしている。再度検査をするとも言っている。この問題が日本で騒
がれたために、中央政府から指導があったように感じる。
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前原民主党代表の訪中成果を消滅させようと必死な中国
 対中戦略を検討する場合、現在の中国はどの方向に進んでいるの
かを見極める必要がある。世界の安定と発展に寄与する民主主義国
家になるのか、覇権国家になるのかである。そして、今回の前原代
表の訪中はその見極めの役割を見事にはたした。
 中国は「靖国問題」を解決すれば、他に問題がないと盛んに発言
し続けている。これに対し、前原代表は「靖国参拝は行わない」と
公言した上で、日中間の諸問題について取り上げるテーマを事前に
公表して訪中した。対日政策が硬直化している中国首脳は、想定外
の展開に会談を拒否した。これは、中国の政治的優位(覇権)を認
めない者には謁見はしないという中華帝国的態度を見事にあぶり出
した。
 さらに、前原代表が述べた「自分たちに都合の悪いことを言う国
会議員には会わないという姿勢なら、仮に靖国の問題が解決したと
しても、日中間の問題は永遠に解決されない。口だけ友好と言い、
本質的問題を先送りしてきた今までの親中派と違い、言うべきこと
を言い、互いの共有の利益を模索する」ことに中国側からまともな
反論がない。これは、中国が覇権国家指向であるとの判断材料とし
て十分に役だった。前原代表は小泉首相以外で、はっきりとした戦
略・戦術を駆使した政治家だ。
 今後の中国の対日政策は、この前原代表の成果(中国が覇権国家
を目指していることが証明されたこと)を消滅させることに全力を
上げてくるだろう。一つは、覇権問題が浮彫になることを避けるた
め親中政治家以外との会談を全て拒否する。次に、日本の世論を親
中に誘導するために、新春のマスコミの対中解説に発展する中国の
魅力を書かせ、中国が覇権を求めていないと思わせる記事を載せる
だろう。
 新春の政治家の行動とマスコミ記事で、どの政治家とマスコミが
日本の国益を中心に置いているかが容易に判ることになる。
 現在の日本は、国家の舵取りの転換点いる。先延ばしや裏取引が
政治だと思いこんでいる旧態依然とした政治家に、国民は国家の命
運を預けることはできないと感じている。これは何も、外交だけで
なく国内政治でも同じだ。夏の衆議院選挙がその答えだと思う。
 佐藤 俊二
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中国が「平和発展白書」…脅威論に反論
 【北京=末続哲也】中国政府は22日、「中国は平和的に発展す
る」という国家戦略をPRする「中国の平和発展の道」白書を発表
、「中国の発展は、いかなる脅威にもならず、世界に一層の発展の
機会や市場拡大をもたらす」と強調した。
 日米など海外で高まる軍事・経済面での「中国脅威論」に反論す
るのが狙いだ。
 白書は、「中国は、過去も、今も、将来強大になっても、覇権を
唱えない」と強調。科学技術研究開発費が国内総生産(GDP)に
占める割合を2004年の1・44%から2020年に約2・5%
に引き上げるなど、科学技術力強化、資源節約、環境重視、内需拡
大などの自助努力を通じ発展を目指すとした。
 また、中国の対外貢献として、<1>最近の約4年間で毎年平均
5000億ドル近い商品を輸入、関係国・地域に約1000万の雇
用を創出<2>14の国連平和維持活動で軍人ら延べ3000人以
上を派遣<3>今後3年間で途上国に特別融資や輸出信用供与とし
て100億ドルを提供――などを挙げた。
(読売新聞) - 12月22日21時8分更新
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反日感情に懸念表明 中国元外交官、友好訴え
 【北京21日共同】中国外交学院の呉建民院長は21日、新華社
のウェブサイトで「世代を超えた中日友好の確立こそ私たちの目標
だ」と指摘、中国国内での反日感情の高まりに強い懸念を表明し、
日中関係の重要性を訴えた。
 呉院長は駐フランス大使などを務めた元高級外交官。小泉純一郎
首相の10月の靖国神社参拝を受け対日感情が極度に悪化している
中国で、著名な学者が反日世論を批判するのは異例。
 呉院長は「日本で中国に反感を持つ人が増えているが、中国でも
同じことが起きている」とした上で、「一部の中国人も反省すべき
だ」と指摘。小泉首相の靖国参拝を批判しながらも「日本に軍国主
義復活の兆しなど見えない」などと、サイト上のやりとりで日本を
非難する質問者の説得にあたった。
 質問者からは「日本を許すわけにはいかない。経済制裁を加えた
らどうか」などの指摘が出ていた。
(共同通信) - 12月21日21時56分更新
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中国GDP、今年世界5位の公算・3次産業育成道半ば(nikkei)
 【北京=吉田忠則】中国国家統計局が20日発表した2004年の国内
総生産(GDP)の修正値は中国経済の膨張ぶりを示すとともに、
サービス業の育成など経済構造改革が道半ばにあることを鮮明にし
た。GDPの額は05年にはフランスを抜いて世界5位になる公算が大。
一方で中国経済の工業への依存度がなお高いことも判明し、資源浪
費体質の是正など多くの課題に直面している。
 今回のGDP修正で中国経済の世界における存在感は一段と大き
くなる。修正値をもとに試算すると05年にGDPは2兆1000億ドルを
超え、フランスを抜いて5位に躍進し、4位の英国に迫る可能性があ
る。 (07:01)
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成17年(2005年)12月22日(木曜日)
           通巻第1336号
人民解放軍最強派のひとり、熊光楷参謀総長が失脚の模様
 舟山諸島から仙頭(広東省)へ台湾侵略の前線空軍部隊は前進か?
 ロイターが21日に伝えた速報によれば中国軍内にあって最強硬
派と目され、また日本の反日謀略の中枢にいるとされる熊光楷将軍
(参謀総長)が引退に追い込まれた模様である。
 表向きは「定年」が理由で熊将軍は66歳。しかし超法規的な人
知の国家が、65歳の年齢制限を言い出すのはその場の都合による
理由に過ぎず、胡錦濤執行部とはそりが合わないからだろう。
 熊将軍は日本の防衛関係者が訪中すると、必ずでてくる反日論客
としてしられ、また95年には米国のフリーマン国防次官補に対し
て「台湾海峡で紛争あるとき米国の介入があれば核兵器の先制使用
を米国に対してもなすことが出来る」と問題発言をしたことがある。
後継総参謀長には章泌生・副参謀長の名前が取りざたされていると
いう。
 台湾侵略の最前線は、これまで人民解放軍の空軍は舟山諸島とさ
れている。
ところが香港情報に依れば、空軍第9師団の根拠地が広東省の仙頭
付近へと移動し台湾侵攻の最前線基地をぐっと台湾寄りへ前進させ
たという。
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成17年(2005年)12月24日(土曜日)
        通巻第1338号  
(速報)
 米国への核先制攻撃を辞さずと発言の朱成虎将軍に罰則を適用か
  中国外交に悪いイメージを与えた、と理由付け
 ロイター電によれば、中国は朱成虎将軍が国防大学より、「管理
上のデメリット」であるとする理由により職務停止一年の罰則が適
用された、という人民解放軍筋の内部情報を伝えた。
 中国軍のなかで、「管理上のデメリット」による懲罰は一番軽い
ものでしかないが、これ以上の出世は望めない。
朱は一節に革命元勲・朱徳将軍の孫ともいわれる。
 米国への核兵器使用を公言したのは、この朱成虎と、さきごろ引
退がつたわった熊光楷総参謀長らがいるが、米国が中国政策をしず
かに、しかし大きく舵取りを変えているため、過渡的に取られた措
置と考えられている。
 米国の政策変更は「戦略的競合者」から「戦略的パートナー」に
。ついで、ことし九月のゼーリック国務副長官が用い始めた「利害
関係者」(STAKE HOLDER)へと格上げが著しく、胡錦
濤は、この米国にぶら下がり、当面は表面的平和路線を偽装してゆ
くことになるだろう。