Sunday, December 03, 2006

日本経済の次の動き

昨日の続きで、日本の外交、特に非米諸国への資源外交をせずに、かつ鎖国的な米国との一国外交しかしないとどうなるか。親米石油国家は全部米国資本が占めている。日本が持っていたサウジのカジフ油田の権利も米国に奪い取られている。日本は中東に90%も依存しているが、自国権限分はほとんどない。
いつか資源が枯渇すると、米企業は自国優先にならざるを得ないことになり、日本への石油割当量を減らすことになる。これは当然ですよね。米国政府も石油がなくなることに国民から批判をされることになるので、いかんともしがたい。
日本は当然、石油が入らないことになる。そう想定するしかない。国家の一番の役割は、危機管理である。一般企業は平和が確保されているという前提で行動して、国に富を齎すが、石油が日本に入らないという前提ではビジネスができない。このため、国家しか危機管理はできない。エネルギーの同じような危機管理が必要になっている。
だが、緑の党が蔓延ったドイツは原子力発電所も作らずに、風力発電でドイツのエネルギー需要をカバーしようとしたが、風任せは定常的に必要なエネルギー確保には無理であり、エネルギー不足の解消にはならないことが判明している。このため、水力か原子力か石油かしかない。これが現実である。自然エネルギー依存だけではエネルギーが不足することは明確になっている。
そして、円とドルは現時点、同時に他通貨に対して下落している。ドルが基軸通貨でいられるのは、石油とドルが結びついているからであるが、湾岸地域国は統一通貨を制定して、2010年まではドルにリンクするが、その後はユーロなどに分散させるとサウジの外相なども宣言している。そして、このドルを米国国債で一番持っているのが日本である。中国は持っているドルで世界の石油企業を買収している。
ドル暴落と石油価格の高騰がさけられない事態になってきているが、ドルの急激な下落は世界経済に悪影響を及ぼすので、緩和処置としてドルの緩やかな下落を世界の中央銀行総裁と経済閣僚たちは目指している。その緩やかな下落に円も乗っている状態である。日本の財政赤字と株価の下落と資源外交をしないことが原因である。資源枯渇に対応した行動を日本はしないことで不安視されている。
中国やその他主要国家は、石油の手当てを世界的にし始めているが、日本はしない。米国の顔色を見ているだけ。日本独自の資源外交で、田中元首相が潰されたことが今でも影響しているようだ。
しかし、このことで石油が来なくなるという危機管理ができないことになった。このため、石油に変わる代替エネルギーも考えることが重要である。フランスは原子力発電所を建設し、周辺諸国に電気を輸出している。日本も石油がなくなることを想定して、中小水力と原子力発電所を積極的に推進する必要があると感じる。
日本は優秀な原子力技術がある。日立がGEの原子力発電所設備を作り、この実績が認められて合弁企業を作ることになっているし、東芝がウエスティングハウスを買収し、三菱が米国メーカから弾き飛ばされて、仏アルパと提携した。仏アルパより日本の原子力技術の方が上のようである。増殖炉もフランスはできなかったが、日本はできていた。しかし、ナトリウム漏れで中止になったが、原因は判明しているので再開可能な状態である。日本はフランスの技術より上であることがこのことでも明確になっている。
そして、今、原子力発電所が世界的なブームになっている。スエーデンやノルウェーなど北欧諸国も環境保護の観点から原子力発電所を積極的に作っている。石油火力が中心であったが、硫酸ガスで森林が枯れる問題で、北欧はエネルギー政策を変更している。
中小水力発電所を各電力会社は廃止している。これはもったいない。この水力発電所のタービンを最新技術にすれば、2倍から3倍のエネルギーを得ることが出来る。どうか、日本のエネルギー資源の危機管理を考えて欲しいですね。中小水力は地方の活性化にもなるので、その面でも推進することが必要でしょうね。
石油資源のもう1つの側面が、材料である。この材料も石油由来の物が多くなっている。この対応を考えると、リユース・リサイクルしかないことが見える。この面は、欠乏した時では間に合わないので、準備しておくことが必要である。日本はショックがないと動かないが、それでは手遅れになる。今回が石油ショックではなかったために順応する機会を逸している。

日本経済の構造変化と政治について

日本経済を主導している企業の構造が変化してきている。この構造変化が、契約社員・パートなどを生み出し、かつその構造がないと日本企業は中国などの企業に負けることになっている。
世界市場の変化が起きている。製造業は世界的に拡散しているためにその付加価値が低くなっている。一方、資源が偏在して、かつ少ないために付加価値が増している。このため、資源が高騰して、工業製品が下落することになる。この変化で日本のように資源が少なく加工貿易で生きてきた豊かな国は、大きな試練に突き当たる。
中国の企業を見ていると、日本の製造業より元気がいい。中東やアフリカなど発展途上国向けの商品は飛ぶように売れている。しかし、日本製に比べて30%程度安くても、中国企業は大きな利益を得ている。
中国企業は中国の政府関係者に定常的にワイロを贈り、かつ基礎資材や電子部品の多くを日本などから輸入しているのにである。この秘密が労働コストが日本の10分の1以下であることであり、そのために利益が出るし、労働率が高いアセンブリや繊維、靴製造などが優位になる。
この日本のもう1つの問題点が日本は米国一国にしか、目が行っていない。他国の動向も米国経由でしか見ていない。その意味では江戸時代の鎖国体制でオランダ経由でしか世界を見ていない体制に近い。
江戸時代は多くの日本の商品が欧州や世界に輸出された時代でもある。鎖国していたのに、日本伊万里焼のような製品は優秀で欧州の貴族は争って買っていたし、ルノアールやゴッホなどは日本の浮世絵を真剣に研究していた。このように世界に日本はその製品力で圧倒していたが、鎖国をしていた日本は目立たない。この意味でも今の日本に近い。トヨタ製の自動車が世界に売れる。
日本の技術がそれなりに世界から評価をされているが、最終製品はノキアやサムソンであるために、日本の優秀な部品を使って出来たとは見えない。一方、NECや富士通の携帯電話は世界に売れていない。この意味でも目立たない江戸時代の日本に近い。このため、日本経済は世界の投資家から見えなくなっている。外国人投資家は日本から投資を引き始めている。よって株価もさえない。
そして、江戸時代は世界とは関係なく、国内消費で済んでいた時代でもある。どうも今の日本も感覚的には、世界とは関係なく生きていると多くの国民は錯覚している。それが、プログなどに見る極端なナショナリズムを起こしている理由なのでしょうね。今の生活が世界と直結していると見ない。見えない。
しかし、日本の経済は世界と直結している。このため、中国との関係や米国との関係が、直ぐに日本企業の業績に反映されるし、日本の食卓の材料に影響を受けることになる。外交も米国だけしか見ない。それが国民に大きな影響を与えている。
そして、日本の経済は自立できなくなっている。中国との競争や今後、タイ・ベトナムとの競争もあり、安い非正規社員を多くしないと企業は競争できない。この非正規社員が多くなることで、国内での購買力は大きく落ちることになる。正社員でも年功序列の給与体系ではなくて、成績が悪いと給与は上昇しない。薄給のままで年だけが上がることになる。貧富の差が激しくなって、多くの庶民は子供も生めない状態である。子供を生んでも教育費が嵩み、高等教育を受けさせることが出来にくくなっている。国立大学も独立法人になって、授業料は大幅に値上げさせている。機会の平等を確保できない社会になってきている。日本人の平均的な知能劣化に結びつく可能性が出てきている。
社会人になって学費を工面する夜間大学もあるが、今の日本企業は最終学歴として、その夜間大学を認めないようだ。正規社員でかつ入った年次と、その前の学歴が重要なのである。その意味では年功序列的な人事体系のままである。一度、非正規社員になると、もう少し悲惨な状態になる可能性が高い。このため、新卒でいい会社に潜り込むことが重要になっている。
しかし、ハッキリしているのが日本は食べる物には困らないし、今の生活で欲しい物は何もないというように最低限の必要な物は揃っている。人口減少になると親の家財道具を貰う貧乏家族が増え、国内需要が大きく後退して、日本市場だけでは企業は利益を得られなくなる。1960年代、70年代のような国内消費で高度成長をした時代が2度と来ないことは確かである。
このため、企業としては、益々世界に出て企業活動をする必要が出てくる。企業は積極的に世界に投資している。それも中国やロシアなどの資源国家や中進国家で、経済成長の大きな国に投資をしている。この投資が高収益の基盤である。企業は政治的なリスクが高い国家への投資が一番利益が出て、欧米などの政治的な低リスク国への投資では利益が出ない状態である。
日本製品の輸出が減っているのに、企業利益が増えるのは、日本で生産している分より、海外で生産している製品の方が多くなっていることに起因している。それだけ、日本国内の製造業は空洞化しているとも言えるのだ。
しかし、企業利益が復活したことで、日本の税収は大幅にアップする。また、米国国債や米企業の社債を日本は大量に持っているが、この金利が上昇しているために、日本に入ってくる利子も大きい。日本も過去の蓄積で優雅な生活をしている西欧に近い状態になってきているように感じる。
日本の経常黒字は石油高騰を受けても高い水準を維持している。このため、30ドルから78ドルと大幅に石油が上昇したのに感覚的な意味で石油シュックを今回は経験していない。それだけ、国民が貰う企業の給与は1975年当時に比べて、高くなっている。
しかし、高学歴でない一般庶民は日本国内にいるしかなくて、スーパーや工場や保守などの国内企業の低賃金でかつ非正規社員に甘んじるしかない。このため、景気回復感が一般庶民にはない。
そして、一般庶民は不満が高じるが、その不満をぶつける先がなく、中国や韓国など近隣諸国へ不満をぶつけるナショナリズムに陥ることになる。しかし日本企業は投資をしている世界、特に中国、タイ、ベトナムなどの低賃金労働や市場としての欧米、ロシア、中国などの先進中進国家といい関係を保つ必要があり、この意味で一般庶民感情と日本経済を推進する企業の利害や感情が相反してくることになる。
ここに、次の日本の政党の思想ポジショニングが存在するように感じる。国内優先か、世界優先か、ローカル対グローバルの対立点が存在する。世界と向き合う企業は世界的な問題とも向き合う必要が出てくる。この解決には現実主義で望むのか、理想主義で望むのかの2つが出てくる。
日本の政治は、日本の国民感情と企業利益がぶつかり、米国の政治状況と似た状態になると見ているが、どうなりますか??

米国覇権体制の崩壊

米国の覇権が揺らいでいることは、イラク戦争で勝利できないとか自動車メーカが倒産の危機に直面しているとか、経常収支の赤字が1年で1兆ドルにもなり、このままではドルの基軸通貨も崩壊して、ドル札を印刷して赤字に対応することもできなくなることが明白になっている。
ブッシュ政権は、クリントン前政権が進めたITベンチャーの推進や金融産業では米国経済が立ち行かないと、石油産業と軍事産業の2本柱で米国経済衰退を止めようとして、石油の埋蔵量が大きいイラクとカスピ海の石油をインド洋に運ぶためにアフガニスタンに侵攻したが、その石油確保の戦争政策が失敗したことが明らかになっている。
ブッシュ政権は軍事費の削減をして、安価な軍隊にするために世界にいる米軍を撤退して、危機的な状況になった時に駆けつける体制にすると、米軍再編という名の軍縮をしている。
ラムズフェルドは陸軍を大幅に削減したために、イラク戦争で防弾チョッキや装甲車が不足した。また、韓国に指揮権を返還するとか、アジアの拠点を沖縄からグアムにする。22万人もいたドイツからもほとんどを撤退した。今あるのは陸軍の病院である。この陸軍の病院にイラクで傷ついた兵隊を送っている。
覇権維持には軍事力と経済力が必要であるが、その2つの要素が不足してきたことと、覇権に必要な世界からの支持が、ブッシュ大統領が世界で一番危険な人物と英国の世論調査で出てくるし、イスラム諸国での米国が嫌いの声が大きくなって、米国がその政治力も無くなっていることで、覇権維持もできなくなってきた。
この米国の覇権崩壊を見越した動きが出てきている。中国がASEANやアフリカなど世界と結びつきを強めるとか、ロシアがEUに資源外交を仕掛けて、EU内部に入ろうとかの動きとして見えきている。戦車隊をシベリア鉄道で数日で中東でもアジアでも持っていけるためにロシアの地政学的な位置は非常にいい。ロシアも中東の石油諸国もドルから離れる意向を示している。ユーロへシフトしている関係からユーロが高くなっている。
米国の衰退が明らかになると同時に中ロのユーラシア連合ができている。このユーラシア連合にインドやドイツなどが参加する可能性もある。しかし、中国とロシアはもともとは仲が良くない。中国とロシアは非米国諸国連合で米国を覇権から追い落とすまでは、連合を組むことになるのでしょうね。
そして、IMFに痛めつけられた南米諸国が反米、非米になって米国の支配権が効かなくなっている。南北アメリカをまとめる米州機構が機能不全になっている。米国の支配権を南米諸国が拒否している。米国はAPEC諸国に擦り寄ろうとしているが、ASEAN諸国の内、マレーシアとインドネシアはイスラム教国であり、米国の評判が極端に悪い。無理なような状態である。
日本は米国との同盟関係が強固であるとしているが、米国の覇権が崩れていることで、中国やロシアの台頭を米国はどうすることも出来ない状態になっている。
米国から自主独立する次の戦略を日本は立てることが必要であるが、日本はまだ、その準備ができていないと見える。さあ、日本はどうするのか、そして、どのような役割を世界に果たせばいいか、本を読んでください。
目次1.米国衰退の始まり2.覇権とは3.国際政治を考える原理4.現在の国際的な問題5.世界の動向と今後6.覇権崩壊での日本の役割

中国の内政について

中国の内政はたいへんな物があるが、どうしてそうなるのかを考察しよう。         中国の内政は共産党と行政府の二重統治体制にあり、行政経費が日本の数倍になっている。国民は重税に苦しんでいるはずが、そうでもなく感じているようである。もう一つ、中国は外に拡大する傾向にある。歴史的に見ても、中国は拡大している。権力国家で外に目が行く。しかし、内政を見ると多くの国民は貧困であり、一部のビジネスで成功した裕福な人と共産党幹部だけが金持ちである。
日本は逆で、外交に目が行かず、内政に目が行く。このため、鎖国的な対応を知らぬ間にしている。内政では平等を心がけてきたし、行政経費が少しでも高くなると、住民パワーで非難されてきたことで、行政経費は中国に比べて格段に少ない。日本は内政国家で、中国は権力国家ですね。
今の中国は、住民から税金を取らなくても、元札を印刷するとドルと交換できるので、それでぼろ儲けしている。しかし、元の価値を低く抑えているので、国民が輸出で儲けられる価値より低い価値しか貰っていない。そして、元を低くするために、国が為替交換でドルを買い占める。このことは間接的に国民から搾取していることになっている。
元を意図的に安くすることで、富を政府が取っているとも取れる。この元と交換で得たドルを使って、海外に援助したり、石油資源を買ったりして、政府は利益を売ることが出来る。今の中国はこのようにして、大国化を志向している。
経営というセンスではなくて、搾取というセンスで利益を得ている。資本主義の経営は、命令ではなくて、自主的なセンスが重要であり、そう簡単に身に付くものではない。封建時代に藩が多数存在し、かつ藩の経営を請け負った藩の経済官僚たちが、明治時代に経営幹部として活躍したり、村経営を任された庄屋出身の経営者が出るなど、封建制度は経営者を作ったのだ。
この封建時代がない中国は、当初台湾人や米国から帰国した中国人を経営者に起用したし、多くの外資が経営をしてきた。しかし、それでも多くの国営企業は依然として党幹部の子弟である太子党を起用してきた。共産党は計画経済であり、経営に依然国が口を出している。しかし、外資に自由な経営を縛る規制を掛け始めている。自由な経営に懐疑心があることが見える。
中国は国内の工業を育成するための研究開発の投資から資源などの経営的に楽な企業経営にシフトする方向で海外にシフトしているように感じる。昔から中国人は商業民族であり、その方が体質に合っているのでしょうね。国内産業は汚染の防止も無く、黄河が血のように赤く染まったというニュースが流れている。
中国国内の工業製品は、依然として海外製品のコピーに終始している。部品まで海外製品の部品のコピーであるから、どうしようもない。しかし、それしかできないのでしょうね。
しかし、その中国市場は拡大している。理由は国民というより、政府の役人と党幹部が豊かになり、その数も多いことによる。その拡大した市場に、日本企業は商品を輸出して供給している。このため、日本企業は大きな利益を出している。海運会社も中国への資源や中国からの製品輸出の運搬で空前の好況状態にある。
企業家は中国の内政に対して、文句を言えない状態にある。さあ、どうなりますか??