Sunday, December 03, 2006

米国覇権体制の崩壊

米国の覇権が揺らいでいることは、イラク戦争で勝利できないとか自動車メーカが倒産の危機に直面しているとか、経常収支の赤字が1年で1兆ドルにもなり、このままではドルの基軸通貨も崩壊して、ドル札を印刷して赤字に対応することもできなくなることが明白になっている。
ブッシュ政権は、クリントン前政権が進めたITベンチャーの推進や金融産業では米国経済が立ち行かないと、石油産業と軍事産業の2本柱で米国経済衰退を止めようとして、石油の埋蔵量が大きいイラクとカスピ海の石油をインド洋に運ぶためにアフガニスタンに侵攻したが、その石油確保の戦争政策が失敗したことが明らかになっている。
ブッシュ政権は軍事費の削減をして、安価な軍隊にするために世界にいる米軍を撤退して、危機的な状況になった時に駆けつける体制にすると、米軍再編という名の軍縮をしている。
ラムズフェルドは陸軍を大幅に削減したために、イラク戦争で防弾チョッキや装甲車が不足した。また、韓国に指揮権を返還するとか、アジアの拠点を沖縄からグアムにする。22万人もいたドイツからもほとんどを撤退した。今あるのは陸軍の病院である。この陸軍の病院にイラクで傷ついた兵隊を送っている。
覇権維持には軍事力と経済力が必要であるが、その2つの要素が不足してきたことと、覇権に必要な世界からの支持が、ブッシュ大統領が世界で一番危険な人物と英国の世論調査で出てくるし、イスラム諸国での米国が嫌いの声が大きくなって、米国がその政治力も無くなっていることで、覇権維持もできなくなってきた。
この米国の覇権崩壊を見越した動きが出てきている。中国がASEANやアフリカなど世界と結びつきを強めるとか、ロシアがEUに資源外交を仕掛けて、EU内部に入ろうとかの動きとして見えきている。戦車隊をシベリア鉄道で数日で中東でもアジアでも持っていけるためにロシアの地政学的な位置は非常にいい。ロシアも中東の石油諸国もドルから離れる意向を示している。ユーロへシフトしている関係からユーロが高くなっている。
米国の衰退が明らかになると同時に中ロのユーラシア連合ができている。このユーラシア連合にインドやドイツなどが参加する可能性もある。しかし、中国とロシアはもともとは仲が良くない。中国とロシアは非米国諸国連合で米国を覇権から追い落とすまでは、連合を組むことになるのでしょうね。
そして、IMFに痛めつけられた南米諸国が反米、非米になって米国の支配権が効かなくなっている。南北アメリカをまとめる米州機構が機能不全になっている。米国の支配権を南米諸国が拒否している。米国はAPEC諸国に擦り寄ろうとしているが、ASEAN諸国の内、マレーシアとインドネシアはイスラム教国であり、米国の評判が極端に悪い。無理なような状態である。
日本は米国との同盟関係が強固であるとしているが、米国の覇権が崩れていることで、中国やロシアの台頭を米国はどうすることも出来ない状態になっている。
米国から自主独立する次の戦略を日本は立てることが必要であるが、日本はまだ、その準備ができていないと見える。さあ、日本はどうするのか、そして、どのような役割を世界に果たせばいいか、本を読んでください。
目次1.米国衰退の始まり2.覇権とは3.国際政治を考える原理4.現在の国際的な問題5.世界の動向と今後6.覇権崩壊での日本の役割

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